前を歩く若い男女2人をゆっくりと追い越した先で、左側から光を感じて急ブレーキをかけました。光は自転車のようです。夜道なのでそこに四つ角があるとはわからず来たのです。雨は上がっていましたが道はまだ濡れていました。信号のない四つ角ですが歩道も少し傾斜がついています。
乗っていた自転車は滑りながら倒れました。とっさに左手を出し転倒するのを避けました。自転車の前に取り付けられた物入れからはカバンと傘がとび出しています。
「大丈夫ですか?」。さっき追い抜いた2人が声をかけてきました。「大丈夫です」と答えましたが、どこかに痛みを感じます。「運動神経がいいですね」と言われましたが、どうやらそういうレベルのことではなさそうです。
ゆっくりと自転車を起こしてまた乗りました。2人は確認したのか先に進んでいきます。右側の車道は車が行きかいますが、歩道は暗く人通りはほとんどありません。急がずに行こうと思い直します。急にあくびが出ました。はて、これはどういうあくびなのか…そうしたらまたあくびが出ます。5、6回はあくびが出たでしょうか。どこかに異変が出るかもしれないと少し覚悟して、自転車をこぎ、その先に続く橋にかかる長い坂をゆっくりと登りました。10分ほどであくびは収まりました。
そのころにはからだに感じた痛みの正体がはっきりしていました。転倒するのを避けるためについた左手の薬指あたりです。それと右足のひざの上あたりを打撲していました。
もう年ですから、運動神経のよしあしよりも、骨の老化が影響するのです。気をつけなくてはいけないと改めて思いました。