12月1日付けの会報『ポラリス通信』は、事情があり1日早くできました。
年末を迎え、あわただしい雰囲気が感じられます。やれそうなときにやっておこうと会報づくりも急ぎました。事情というのは、29日に居場所づくり主催の講演・懇親・相談会があり、藤原宏美さん大空生子さんが相談員として行くので間に合わせるためです。
内容は、本田夏惟人くんの「大学生のときの引きこもりを卒業して」の2回目、「メンタルフレンド・力」は連載9回目、松田武己は「20代後半以上の人への訪問活動の特徴」など8ページです。
*本田夏惟人くんの「大学生のときの引きこもりを卒業して」は、全文を12ページのミニパンフにしました。申し出があれば送料100円で差し上げます。
必要な方には会報も送料100円で送ります。
月別アーカイブ: 2015年11月
国内にいる外国人と外国人学校の不利益解消を提起
日本国内にある韓国学校初等科(小学校)を卒業したまま中学校に進学できないまま学籍のない生徒がいます。この小学校の卒業生はほとんどが韓国学校の中等科(中学校)に進学するのですが、この生徒は6年生の途中から不登校状態になり、そのまま卒業しました。しかし韓国学校中等科への進学を希望しませんでした。
そのまま新年度の4月を迎えました。親はある本で「いじめで学校にいけない状態なら学校に行かなくてもよい」というのを見て、中学校への進学は子どもの状態がよくなるまで待とうと考えたのです。
秋になって子どもの方が、学校にいけないでいる状態に耐えられなくなりました。韓国学校中等科ではなく、日本の中学校に進学を考えました。ところが日本の中学校では、韓国学校初等科卒業の生徒は小学校卒業と認められず、中学校への入学ができないと言われます。
確かめたところ、韓国学校初等科から日本の中学校に進学するときは、特別のやり方ができていました。6年生の3学期までに日本の小学校に転校し(初等科と小学校の転校は可能)、日本の小学校を卒業した状態で中学校への進学をする、というものです。
この生徒が中学校に進学するには、日本の小学校(6年生)に入りなおすところからやり直さなくてはならないのです。これは子どもにとっては別の高いハードルであり、中学校に入学できる道は閉ざされたままです。
問題の所在を広くとらえると、次のように考えることができそうです。
①、韓国学校を含め中国・朝鮮系の学校は民族学校と称され、欧米系のインターナショナルスクールとは別に扱われてきました。最近はアメラジアンスクール(アメリカ系アジア人)や南アジア系のインターナショナルスクールができて複雑になっています。
これらの中等科(中学校)と日本の中学校への転校や入学が“イレギュラー状態”になっているようです(小学校・初等科の間では転校などは可能なはずです)。学校により状態も違うので、一律にはできないようですが…。
②、この“イレギュラー状態”を改善しても、両親の片方が日本人で子どもが日本籍になる場合もあります。日本籍の子どもだから日本の小学校を卒業していないと中学校に進学できないかもしれません。韓国籍なら“イレギュラー状態”をなくせば可能になるとしても。両親とも外国籍で子どもが日本籍などいくつかのケースが想定できます。
③、入学できる私立中学校はあるのでしょうか。学校制度の違いをカバーする仕組みができればその中学校には制度的に入学可能なのでしょうか。それは違法でしょうか。
④、中学校卒業の時はどうでしょうか。民族学校中等科、インターナショナルスクール中等科に相当する課程の卒業生は日本の高等学校への入学資格はあるのでしょうか。日本の中学校に途中で転校しておかなくてはならないのでしょうか。
⑤、高校に相当する課程の卒業生は、以前は大検(現在の高卒認定)資格をとるのが大学入学資格を得る条件でした。現在は改善されて民族学校高等科、インターナショナルスクール高等科に相当する課程の卒業生は大学入学資格があると理解していますが、いいのでしょうか。
これらは子どもが選んだものではありません。「子どもにとっての最善の利益」から考えることです。上に書いた状態は、国籍やそれに基づいて入学している教育機関により選べる幅が制約されています。国籍差別、民族差別につながりかねないです。長きにわたって続いてきた慣行でしょうが、もはやそういう時代ではないと思います。
欧米系のインターナショナルスクールとの関係はこれほどの状態になっていないようなので、改善の余地はあります。学校間の段差があれば進学、転校したところでその段差を補正する仕組みにするのが正当であると思います。
日本への同化政策にするのではなく、民族性や各国の国情を認めながら段差を少なくする補正に向かうのです。これはいろいろな外国人が来日し、居住し、国際化が進む日本において、子どもの教育制度面から将来を見すえた対応策になるでしょう。
しばらく前に受けた相談を参考に考えてみました。
『詩の教室』5冊と『講座現代詩』2冊
贈られた本を整理しています。贈られた本とはいえ不登校情報センターの活動に関係するものが多く、むろんそうは言えない本も含まれますが、全体としてある傾向が示されます。整理の方法としてアマゾンのアフィリエイトでそれらをネット上で紹介しています。
その贈られた本に飯塚書店が1956年から1957年にかけて出版した『詩の教室』5冊(定価各180円)と『講座現代詩』2冊(定価各200円)がありました。発行年代から見てアマゾンでは扱われていないと予想しました。しかし、新刊ではありませんが『講座現代詩』は出ています。手にしてみてこれは素晴らしい出版企画によると実感します。
架空の古本屋店主というよりは古本愛好家としては、手元におく価値があるものです。しかし私以上にこの本の価値を評価する人がいれば降参しましょう。これを送料込み1万円で販売します。1万円はそういう値段です。…
いろいろな本が手元に届くたびに、自分は本が好きなのだと改めて思いなおします。これらを一つひとつ書いていたらきりがありません。それでもたまには何か書きそうです…。
「告知型バナー並立型DM」という広報企画
カウンセリングルームを運営しながら、研究機関で活動をする方から広報面での協力を求められました。
不登校情報センターにできることは、
(1)多数の相談者などの名簿があること(門外不出でも利用可能)
(2)巨大になったサイトを運営している(活用が可能)
(3)学校・相談室・などの支援団体と相応のつながりがある
(4)独自の訪問サポート部門がある
(5)取材や聞き取りに応じてもらえる当事者に呼びかけられる
これらの組み合わせでどんな調査や広報が可能でしょうか。そういうスタンスでお話を聞きました。
協力依頼の内容は、不登校や引きこもりの家族を対象に呼びかける内容です。
以前にある教育機関から不登校経験者にアンケートを取りたいと依頼を受け実施しました。この回答率は2%強でした。
準公共機関からも「発達障害に関するアンケート調査」の依頼があり、一緒に取り組んだところ回答率は10%強でした。
他にも似たことはありますが、回答を得るには答えやすい内容かどうかにも左右されるようです
今回の依頼を受けて協力方法を話した中で、「告知型バナー並立型DM企画」とでも称すべき方法が浮かんできました。サイト上に呼びかけるバナーを作り数か所から案内します。アンケート項目のページを作成しバナーと結び付けます。
この形を提案にし、検討することになりました。私の方でも「告知型バナー並立型DM企画」として、定式化を図ります。
『天地明察』と『塵劫記』の文庫本
『塵劫記』(じんこうき)という岩波文庫が本棚にあります。いつ手に入れたのかは覚えていません。1977年発行ですが、実は江戸時代初期(1620年代)に書かれたものの現代版です。事典に手を出しやすい私が、安いものだからとりあえず手に入れ、捨てずにとっておいた本というところです。
おおよそは当時の数学書というべきですが、校注をしている大矢真一さんの解説によると「江戸初期経済生活の百科事典と言うことができる」(258ページ)そうです。読み散らかしては乱雑な書き込みをする私の手持ちの本にしてはそれらしき書き込みが皆無です。読むよりも事典なのでそうなっているのでしょう。原著者は吉田光由という人です。
この本の意味を意外なところから知る羽目になりました。
最近、ある人から多数の本を寄贈されたのですが、その中に『天地明察』という角川文庫の上下2冊があります。作者は冲方丁(うぶかたとう)さんといいます。
江戸時代の初期に大和暦(貞享暦)をつくり(1684年採用)、旧来の宣明暦を廃した渋川春海の物語、歴史創作物語です。物語には『塵劫記』だけではなく当時のいくつかの数学書(当時はまだ数学という言葉がなかった)や、和算の創始者・関孝和なども出てきます。
科学という言葉がなかった当時ですが、自然に関するかなりの理解が進んでいたことを教えてくれます。高校時代の教科書に関孝和の名前があって西洋の近代科学に続く数学(ライプニッツやニュートンなど)に比べて、和算は実用的な学問ではなかったと教えられたのですが、あれは何だったのか。教科書をつくった人の無理解だったのかと思います。
手元の『塵劫記』を見るに、日本人の学問の歴史は、風土と生活に根ざし、西洋におとらず独自の発展を遂げていたと思わずにはおれません。『天地明察』の2冊も捨てがたいです。暦作成の過程以外にも、当時の時代認識や神道の見方が斬新に思えます。
山村留学的学園から「ゆべし作り」の案内
長野県天竜村にある山村留学的などんぐり向方学園から体験学習「ゆべし作り」の案内が届きました。漢字では“柚餅子”と書くようです。
<どんぐり向方学園です。12月10日に当学園恒例の体験学習「ゆべし作り」を開催します。…
長野県最南端の天龍村神原の坂部地区にて天龍村柚餅子生産者組合の関京子氏の指導のもと、子供たちがゆべしを生産します。開校当初より10年以上継続して体験させて頂いております。昨年は柚子の不作の年で体験出来なかったのですが今年は比較的豊作で2年ぶりにゆべし作りを体験します。
当学園は不登校と発達障害の子どもたちが中心に在籍しており、脳の前頭葉を鍛える教育により改善へと進んでおります。また今回のように地域、天龍村と密着した体験活動もおこなっております。今後も多くの子どもたちを受け入れ、進学先や社会へと羽ばたかせていかせたいと思っております。
学校法人どんぐり向方学園 企画広報部 福田
郵便番号399-1202
長野県下伊那郡天龍村神原3974
電話0260-32-3755>
各地の学校や教室の取り組み案内を送っていただいています。今回はメールで送っていただいたので、コピーして概要をお知らせしました。
別に「不登校・引きこもり・発達障害のイベント情報」というページがあり、メールで書き込みにして申し込むページもあります。そちらを使っていただいてもいいのです。ご活用ください。〔超忙しいときは掲載が後回しになりますので、その時はご容赦ください〕
http://www.futoko.info/…/%e6%8e%b2%e8%bc%89%e3%81%97%e3%81…/
『学校なんてやだもんね』の水野香苗さんから連絡
本を書いたのは1998年で、18歳か19歳のときです。今はお母さんとして子どもたちを応援しています。この本は手元に数冊ありさっそく送ることにしました。
<いま、長男が中学生になりました。いろいろ、多感な時期です。
あの時の私の本を、もう一度手に入れたいのですが、残念ながら、現在の私の側には誰も持っておらず、ご連絡させていただきました
もし、学校なんてやだもんね がまだ手にはいるようでしたら、ご連絡ください。
よろしくお願いしますm(__)m>
http://www.futoko.info/…/%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%B4%E3%83%…
教委と教育相談室、適応指導教室の依頼状況が進展
全国の市町村教育委員会と東京都の区教育委員会への「不登校への対応の情報提供依頼」作業の中心部分を終えました。おおよそ1800か所になるはずです。
残っているのは、
(1)番号はあっているけれども未達になったところ、20か所たらず。
(2)適応指導教室と教育相談室の情報を既にいただいている教育委員会への情報の更新依頼で、これは80か所あります。
(3)都道府県教育委員会とその教育事務所、100か所以上はありそうです。
合計して200か所あまりですが、最終は12月中旬までかかりそうです。
(4)受け取った回答は40か所程度ですが、回答までに一定時間が必要ですから、推測で100か所以上にはなるとみています。これをサイト上に掲載すること.
(5)この新規の情報掲載分の校正も作業の重要部分です。
全体状況を判断するには数字的には不十分かもしれませんが、情報更新の個所を含めるとおおよその傾向はみてとれるものと考えています。
「“冬ソナ”と韓流のもの」などシリーズ本を安く売ります
音楽家の團伊玖磨さんが書いています。
「僕は色盲である。従って、実に、実に悲しい思いを、僕は色に関する限り堪えて来ねばならなかった」。
対する私は色弱。色に関する悲しい思い出は……これというものを思い出せません。…
これをもって色盲と色弱の違いとするわけにはいきませんが、色盲の人の経験する一端を聞いたことになります。
團さんのこの一文は文庫版エッセイ集『パイプのけむり』の中にあります。なんと團さんのエッセイ集『パイプのけむり』シリーズは全部で17冊もあります。
寄贈を受けた本を整理していたら、シリーズやテーマとしてまとまったものがあります。
一世を風靡した感のある“冬ソナ”と韓流のものは31冊に及びます。
それらのシリーズやテーマ別のものをまとめて安く販売することにしました。何しろ保管の場所などに制約があります。第1弾のいくつかのシリーズは年内の12月25日までにします。それまでに注文がなければ、廃棄する予定です。
注文により誰かに読み継がれればいいのですが、希望者はいませんでしょうか。
〔直売中の本〕
http://www.futoko.info/…/%E7%9B%B4%E5%A3%B2%E4%B8%AD%E3%81%…
高校に戻って意味のある学校生活をしたい20代
20代になり全日制の高校に入学したいという人から相談がありました。
聞いてみるとこれまでのいきさつや思いに深いものがあります。
この方は中学校を卒業したあとすぐに高校(全日制)に入学しました。しかし何かが違い「得体のしれない絶望感に陥り」、休みがちになります。電車通学がつらくなって通信制高校に変わります。
うつ状態に近いなかで何とか取得単位数を重ねて74単位までなりました(必修科目を含むと74単位で高校は卒業になります)。しかし、それで高校卒業するのは納得できなくて卒業にはしませんでした。
自分には集団生活の経験がない、集団生活を通して得られる社会性がほしいと思っています。そこで改めた全日制の高校に入りたいけれどもどういうところがあるのか。これが相談の主旨です。
通信制高校で74単位を取っているので、すべてをやり直すことはないと思うのですが、この人にはその経験を通しての社会性を身につけたいのです。高校生活を体験してそれを得たいのです。
過年度生を受け入れている高校はかなり多いです。実際に入学する生徒は多いとは言えませんが珍しくもありません。しかし、その一般受験の前に何かの情報を得ておきたいと相談に来たのでしょう。
この相談者の感受性の中で、5歳ぐらいは違う同級生たちと高校生活をできるのか心配なところがあります。自分でもそこを予感しているのでしょう。
生徒の年齢差のある「定時制高校は?」と聞いてみると、バイトの関係で昼間でないとダメなようです。昼間定時制(多部制)については対象になるようです。
私は何度か、高校を卒業している、高卒認定試験や大検に合格している人から、高校生活をやり直したいという相談を受けたことがあります。思いは各人で微妙に違うかもしれませんが、高校生活・高校時代の空虚さをうずめ直したい気持ちがあるのです。私には十分に納得したとは言えない面もありますが、人の思いの深さを感じたので少し変形して紹介しました。