Googleで「斉藤作治」先生を検索してみました。2011年9月に「下北の教師 斉藤作治」というのが出てきました。青森県国民教育研究所から『斉藤作治 高校生と歩いて学んだふるさと』という冊子が出ていて、それを読んだ感想が載っていました。
1980年代、当時の国鉄大畑線(青森県下北地方)が廃止されると聞いて、高校生と一緒にこの大畑線を歩いた教育実践で有名でした。それを教えてくれたのは正則高校(東京都港区の私学)の近津経史先生です。近津先生は地理教育研究会という教師の研究会に参加しており、その場で斉藤作治先生の教育実践を聞き、それを教えてくれたのです。
その後、斉藤先生には、たぶん原稿用紙で30枚ぐらいの実践記録を書いてもらいました。タイトルは忘れましたが、農家の生徒に聞いた田んぼの水を深くしてコメを冷害から守っている話、ヤマイモ堀りの現場に行ったことなど地域の現場に出かける行動的な教育がすごいと思いました。この実践記録には多くの写真資料が送られてきました。斉藤先生は記録をとる点でも工夫されていました。
その後、『ふるさとは大畑線に乗って』という教育実践記録の本を発行することになりました。中心は生徒と一緒に大畑線を踏破した記録です。生徒たちは途中で周辺の住民にインタビューしていくのです。
このような生徒とともに住民のなかに入る教育実践に久しくふれていません。私の多忙によるものか、そういう実践が消滅したのか、よくわかりませんが…。
高校の教育実践にはこのような高い可能性があります。大学の予備校のようになっている高校教育を見るにつけ、学校で「学ぶ」ことが知識の記憶に偏っていると思わずにはいられません。
その斉藤作治先生が4月13日に亡くなりました。ご冥福をお祈りします。