次が就業時間の長さに関係します。
ひきこもりから動き出し始めたばかりの人には、いきなり働くこと自体はお勧めではありません。もちろん一般論の範囲で例外はありますが…。
まずは外の空気というか、世の中の空気を、人の醸し出す雰囲気に慣れる期間が必要です。そのあとで短時間の仕事らしいものに取り組むのがお勧めです。といっても世の中にはそれにうまく適合する条件の場はできていないのも確かです。
居場所とかカフェなどの受け入れてくれそうな場を探さなくてはなりません。この探す過程こそが重要で、能率よくそういう場所がセットされていると期待すると、期待疲れになります。なかなか見つからないと思い、ゆっくり世の中をうろついてください。世の中の空気にこころとからだを慣らしていく時間です。大事な時間です。
こういう経過をたどって安定期に入った場合を見て感じることです。長期のひきこもりを経験している人には少なくとも週3日か週4日の就労が分かれ目になる人が多いように思います。
いろいろと飛ばしますが、そういう短時間で働ける条件を見つけましょう。ここでもう1点、続けたいことがあります。
私が18歳で働き始めたときは週6日が標準の就業日数でした。土曜日は半日就労で、実際は午後1時の退社が多かったと思います。現在は週5日が基準ですが、将来はさらに短く週3日とか週4日に向かうでしょう。
しかし、そういう時間のレベルとは違う質的な変化が生まれます。ひきこもり経験者は、意図しないままここを準備したのです。それは、仕事と趣味(あるいは遊び)の壁を低くしました。既にそういう人は世の中に多数いるはずです。趣味が仕事というか収入源になります。仕事をしている感覚はないのに生活自体が仕事のようになる人もいると思います。
仕事時間は苦痛であっても、それ以外の趣味の時間は何ら苦痛でなくなります。仕事以外は休息ではなく、趣味の時間が多くを占めるのです。
遠い将来に人の多くは苦役としての労働から解放されるでしょう。それにはAI(人工脳)の発展とともに、このような仕事と趣味の壁がなくなることが関係していると私は考えています。ひきこもりはそのあたりまで考える要素を提供してくれます。
日別アーカイブ: 2016年11月19日
仕事の内容の面から「働きづらさ」を話す
13日の働きづらさを話す会を終えた後もメンバーが多少入れ替わって、その手の話が続いていました。私はその場から離れたのですが、食事会も終わったころその内容を聞くことになりました。やはり働きづらさに戻ったようです。
少なくとも3つの面があります。仕事内容と仕事時間の長さ、それに人間関係です。
Nくんの例でいうと、子どもと一緒に遊んだりできるのが楽しい仕事です。けれどもスタッフのなかで年長になり、毎月の計画とつくり、関係者に連絡をとって場所を確保するなどの役割が回ってきます。そうすると職種が違ってきます。これが苦痛です。好きで始めたことなのに途中で中身が変わる…そういうのもあります。
世の一般の話ですが管理職につきたがらない人が増えたとよく聞きます。会社に入ったけれども予想した仕事内容が違い退社する話も聞きます。これらはつながっています。自分のしたいことははっきりしていて、関係はあるけれどもそれとこれとは違う感覚なのです。
かつては何かしたいことがあると、仕事を覚えながら周辺の人との関係を築いて(例えば3年後に退職して)本来したいことに向かう人が多かったと思います。それをすぐに手掛けようとしていると思えます。この辺は「違う話」と思う人もいるでしょう。
私なぞは古いタイプの人間で、周辺事情がわかった方がスムーズに本来のしたいことに向かえると思えます。しかし、それがベストではない、いやそれは無駄な時間の浪費になるとか、我慢できないということかもしれません。
特に管理職になるとまるで別の職種です。プロ野球を見ると現役の選手をやめた後、コーチや監督になるというのは、身体能力の面から理解できます。ですが身体能力に関係しない職種においては、管理職と一線の技術者や販売員や作業員では同じようにならないと思います。