ひきこりから仕事についた“神ってる”リクルート活動

「就職面接に同席する」「仕事に就く前に現場の見学」「非公式の見回り活動」とひきこもりから仕事に就くための段取りを最近の事例を考えながら、要素として見てきました。
さらにもう1つの要素をここに加えなくてはなりません。
おそらくこれが引きこもりの当事者にいちばん欲しいものかもしれません。
それは働く前に自分の状態、ひきこもりをしてきた自分の状態を、わかっていてほしいことです。
いろいろわからないことが多いです。何がわからないのかがわからないので事前に聞くこともできません。
事前に分かってもらうといっても、完ぺきではありません。それはしようがないですが…。
仕事に就いた後、いきなりわからない場面にぶちあたります。何もできずに止まったり、うろうろするだけになるかもしれません。
そういうときに怒鳴らない、おとしめないでほしいのです。
そういうことがあると一気にひどく落ち込みます。立ち直れないかもしれません。
そういう予想があってこれまで動けなかった気がするのです。
ひきこもってきたそういう自分の状態をわかってほしいのです。
これらは履歴書には書きようがありません。
今回の“リクルート活動”をした人は自身が引きこもりの経験者です。
どこまでこのような面がカバーできたのかは本人も理解できないはずです。
それがあるから、面接場面への同席、仕事現場の事前見学、働き始めた後の非公式の見回り活動を自然に思いついたのです。
ひきこもりから仕事に就くための“支援”とはそういうものです。
仕組みを作ったからと上から眺めていても“支援”にはなりません。
30代、40代のひきこもり状態の人を総活躍させるのはそういう状態を用意しなくては空文句にすぎません。
今回の“リクルート活動”をしたエンジくんはまさに“神ってる”ほどのことをしています。
3月も「廃棄物業界にいるエンジと就労について考えてみる会」をします。参加して一緒に話しましょう(次回は3月7日)。

非公式の“見回り”活動はジョブコーチの萌芽か?

 
さて最近のひきこもりから仕事に就く動きの中で、自然に生まていると思うことがもう1つあります。
仕事についたあと、“リクルート活動”をした人が仕事に就いた人の様子をときおり見回りしていることです。
その人の正規の担当ではなく休日に仕事現場に行って声をかけるなどをしています。
一緒に働く先輩社員との間の様子なども見ているようです。
そうしたほうがいいと考えて生まれたもので内容は定式化されてはいません。
これはジョブコーチの萌芽なのかもしれません。

ウィキペデイアではジョブコーチは次のように説明されています。
<ジョブコーチ(job coach)とは、障害者の就労に当たり、出来ることと出来ないことを事業所に伝達するなど、
障害者が円滑に就労できるように、職場内外の支援環境を整える者を指す。>
非公式の“見回り”が制度化するかどうかはわかりません。
現場で作業や人間関係の円滑さを図ることを考えて生まれたものです。