ひきこもりからの社会参加(その2)

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ひきこもりからの社会参加にはいろいろなタイプやレベルがあります。
それは社会の変化がひきこもりにどう表れるのか、それを見ることといえます。
ひきこもり自体が社会変動の所産でもあります。
社会はひきこもりを生み出しただけではなく、いろいろな方面でいろいろな形で時代状況を表面化させているわけです。
2002年ごろにひきこもり当事者に「引きこもりの人が望む将来生活の姿」を聞いたことがあります。
職業選択に限定した質問ではありません。71人のアンケート回答をえました(男41・女30)。
回答者は20代後半が中心で30代は3割弱(19人)でした。
回答では過半数が就職型を望んでいます。
今すぐに就職という意味ではなく、将来願望です。
他は自営・自由業・SOHO型も比較的高い割合でした。
手芸作品やWEBデザインなど広い意味でのアート指向が多いと思います。
しかし自営・自由業型になるのはハードルが高そうです。
生活できる収入ではありませんが、すでにしていることでした。
好きなこと・趣味の延長であり、それを生かすことが将来像として答えられたのです。
この傾向はひきこもりだけではなく、社会全体の傾向だと思います。
自分の好きなものに取り組み、生活できる収入になればいいのです。
なぜそれが社会全体の傾向かと考えるのか。
学校をし卒業して就職した人の3割が5年以内に辞めている、というのがその傍証です。
それを詳しくみると答えは重なるでしょう。
この傾向は少なくとも20年は続いています。
これは就職難の時代においても続いていたことです。
少なくとも半世紀前にはここまで明瞭ではありません。大きな時代の変化が表れているのです。
ひきこもりのこの状況は、来たるべき時代を無意識に先取りしています。
ひきこもりはそれを極端に、行き過ぎといえるほどに生活面・心身面で表わしたと私は理解しています。
ところで、ひきこもりの社会参加の指向はアート関係に集中したわけではありません。
好きなことをしたいというのが本質的なことです。
好きなこと以外には向かわない、その傾向が顕著に示されたのです。
ひきこもり経験者のその後の動きをみると、パソコン・ネット関係、カウンセリングや身体療法など対人サービスに関心を向ける人も多いと思います。
AI(人工知能)が進むと多くの職業がなくなる予測されている中で、なくならないと予測されている仕事です。
偶然とは思えないほど不思議な一致です。
このような社会状況に向かいは現在は進行中です。
しかし、ひきこもりの人の到達点は全般に低く、十分な収入には届いていません。
趣味的なことが特にネットにより幸運な成果もありますが、ほとんどはレアケースです。
それらが一時的なものではなく継続的なものになり、収入レベルが徐々に上がれば初歩の社会参加から、やがて生活できる収入レベルに届くでしょう。
そのような時代が開かれる扉の前で、多くのひきこもりが目立たないながら、それぞれのしかたで取り組み、ひしめいている状況を感じています。
このような様子は直線的に就職に向かうものではないという意味で社会参加として描きました。
しかし、これらの動きは無駄ではない、その多くがいつか報われる時期が近いと思います。
この社会参加の状況は別の可能性もありますが、それはまたの機会に回します。

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