先日アラフォー世代の女性から電話がありました。
久しぶりに長電話です。彼女をN1さんとしましょう。
十数年前に1人の女性が亡くなりました。
N1さんはその女性N2さんと親しかったのです。
電話の中でそのN2さんについてかなり話しました。
N2さんが亡くなった原因は事故か自殺かははっきりしません。
しかし、私は同じようなものだと思っています。
酒類と薬をかなり大量に一緒に飲んだ形跡があります。
死ぬつもりはなかったけれども、死んでも構わないという精神状況ではなかったかと推測しています。
N1さんと電話をして改めてそれが裏付けられたように思います。
N1さんとN2さんはよく話をしていたそうです。
通り魔による事件や自然災害などで誰かが死亡したときは、「私が代わってあげてもよかった」という気持ちになると語り合ったといいます。
ビルの屋上に上がったとき、一緒に飛び降りる気持ちになったこともあったといいます。
その時はもう1人いたのでその人が止め役になりました。
死ぬつもりはなかったが、いつ死んでも構わないという気持ちは同じであったといいます。
N1さんとN2さんには、その生育過程に共通性があります。
この日、N1さんが話したのはこの点です。
簡単に言えば、厳格な父親と過干渉的な母親のもとで育ったということです。
こういうとひどい家庭を思い浮かべるかもしれませんが、社会的に言えばちっともひどい家庭ではありません。
そこにN1さんもN2さんも自分が理解されない理由が隠されているのです。
厳格な父親と聞けば違った想像をするかもしれませんが、一人の社会人としては普通です。
2人の父親がどの程度の人なのかを正確に表わせませんが、社会的にはかなり責任ある立場です。
N1さんの父親はある大手企業の幹部クラスの人と聞いています。
N2さんに父親も普通以上の社会人といえます。
母親が過干渉的と聞くと、何か否定的な雰囲気を感じてしまうかもしれませんが、周囲の人の印象はそうではありません。
しっかりと家庭を築いているお母さんです。
父を尊敬し、父には逆らわない母でした。
その母のめざす女性像に向かって育てられたのがN1さんとN2さんです。
そこからはみ出すことは許されず、そのつど自分の何かが少し削られ、少し曲げられた気持ちで過ごしてきたようなのです。
子ども時代のN1さんとN2さんが、この家庭状況をだれかに伝えてようとしてもうまくは伝わりません。
娘である自分がその家庭でつらい思いをしていることなど本気にしてもらえないのです。
いい父親であり、いい母親である。
その印象を子どもの力で覆すことはできないのです。
N1さんとN2さんに似た家庭環境や生育過程を通った人はほかにもいます。
最近また、そういうタイプと思える相談を受けています。
これまでかかわり、相談を受けた経験を生かしたいと思います。