Angelさんは20年以上前から『ひきコミ』にイラストを投稿してきました。それ以来ときどきイラストが届いていたのですが、昨年夏ごろ私から「いつか作品集にしませんか」と呼びかけました。その気になったようでイラスト送付の回数が増えました。
回数が多くなった他に、内容も徐々に変わってきました。「ねこちゃんとうさぎちゃん」という2匹が登場することが多くなり、全体に前以上にファンタジーの色彩が強まったと思います。それに比較的短い文章が添えられることが多くなりました。
Angelさんはこのイラスト送付のときに便箋1枚ほどの手紙を付けてきました。私は作品集をまとめるのに、これら手元に集まる作品をどう整理するのか考えました。それで今年(2025年)正月期間に、古くからのイラストや手紙を含め、時間順に並べて全体状況を表わす“素材集”をつくりました。
この“素材集”を基に年内に作品集をつくるつもりで作業を始めました。ところが3月に入ってから「文学フリマ・東京40」に出展する企画を知り、Angelさんの作品を準備していたのでこれに間に合わせようと考えたのです。
長い期間にわたり描きためた作品であり、その経過において作風や目的が変動してきたこと、仕上げともいえる時期に入って文章を加え、書き直す作業が加わったこと、しかも最後にはこの文章を手書きのものから活字にしようという事態が生まれました。
こういう事情で、掲載作品は50点ほどですが、編集製作作業は相当に複雑なものになりました。
細かなことは省きますが、こうしてAngelさんの作品集は、イラスト集やカット集とは違うものになりました。世に「絵手紙」という絵と短文を組み合わせたジャンルがあります。それと似ていますが文章は手紙ではなく、あるときは説明文でしたが、やがて見る側の人に絵の表現する様子を想像してもらおうとする意図さえ感じるものになりました。文章は説明というよりはファンタジーへの導入になってきたのです。ですが私はこれを「絵文集」と呼ぶことにします。
絵文集というのはAngelさんにとっては最終形ではないかもしれません。今現在は一定のテーマを感じさせ推測させる短文集というあたりです。このようなジャンルは私の勝手な推測の域を出ませんが新登場の可能性があるとしておきましょう。
作品集の名称をAngelさんは「BONHEUR」(ボヌール/よろこびの花)としたのは、こういう流れ見ると私なりには了解できます。確かにイラストやカット絵を超えた心の表現をめざしていると思います。
イラスト愛好者にとってはこのような変遷は参考になるのではないでしょうか。参考に見てほしいと思います。