オノマトペによる状態・動きの表現について(感覚を伸ばす日本語③)

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オノマトペとは、擬態語、擬音語というもので、古典ギリシアの演劇に使われ始めたとされています。日本語にはその語がきわめて多く(一説では数千に達する!)、ものごとの様子を表わす形容詞的・副詞的役割をするものです。

「雨が降る」というのと「しとしとと降る」、「ザァーザァーと降る」、「ポツリポツリと降る」…英語で「Its rains」の降り方を具体的に仕分けして表わします。多くは「しとしと」「ザァーザァー」「ポツリポツリ」と2回くり返すことが多いのですが、そうではないものもあります。「桃が川をどんぶらこと流れてきた」という「どんぶらこ」もその様子を表わすオノマトペと考えられますが、2回くり返さなくても意味は通ります。川の流れにそって浮き沈みする様子を描いています。

日本語におけるオノマトペ表現の多さは、ものごとの様子を細かく具体的に直観的に表現します。これはものごとを感覚的に察知し細かく表わす日本語の特徴の1つとなっています。

すなわち日本語話者がものごとを繊細に感知する結果であり、また細かく表現しようとする原因になっているのです。「周囲の様子を感覚的・感受性ゆたかにものごとを細分化して表現する」日本語の特色はこうして生まれたものと思います。

その数はとても多くて、オノマトペ表現だけでものの形容およびそれを感知する日本語話者の感覚の鋭さを示しています。

さて次は私の仮説です。私の仮説の論拠となるものを見たことはなく、思いつきです。日本語の起源にあたる言語系統は、「不明」「謎」あるいは「特定できない」という論をいくつか読みました。確かにこれという決め手になるものは(少なくとも現在は)なさそうです。

私の仮説は、日本語の発生の起源にものごとの様子をその(聴覚による)音や動き(視覚による)を表わす日本列島に住み始めた人たちの音声が重要な役割をもっているのではないかと思います。多くの言語は、ものの名前(名詞)や動き(動詞)が重要な役割をもったと推測されているようです。それを否定する理由はありませんが、日本語においては、オノマトペ的なものの様子を表現する言葉が言語発生の始めから比較的大きな役割をもっていたのではないか。これが私の推測する仮説です。

たぶんオノマトペ的なものの表現は、とくに日本語においては現在も新たに発生しているのではないでしょうか?

オノマトペ表現によるものごとの様子の表現は、日本語話者による感覚的感性の鋭さを反映しているとみるのです

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