GDP基準の開発計画の歪み

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私は中学時代に社会科で2つの珍しい経験をしました。1つは教師から質問をされる前に答えたこと、もう1つはテスト問題配点10点のところ20点をもらったことです。1960年のころであり、この中学校の教師たちの雰囲気が表われていると思います。このエピソードは自作エッセイ集『アスペルガー気質の少年時代』(2025年4月,500円・送料210円)に所収。
宮脇先生は理科担当ですが、近くにきたとき「きみは社会科が得意というので聞くけどね…」と話しかけてきました。私は瞬間にフッと感じるものがあり、質問される前に「コルホーズですか」と返していました。当時は農業の集団化が話題になり、ソ連の集団農業コルホーズが教師の中でも話されていたと考えられるのです。理科の教師であることも1つのヒントで、社会科に関してはそう細かなことは尋ねられないと思ったのです。
コルホーズ、農業の集団化はその後失敗しました。ソ連邦崩壊の遠因の1つでしょう。しかしそれはソ連(ロシア)だけのことではなく、中国の人民公社、タンザニアのウジャマー村なども失敗しています。この点は改めて述べます。
もう1つの「テスト配点10点のところ20点」は社会科の期末テストで担任は山崎先生でした。設問は「加工貿易国日本の未来」。テスト用紙の下方に10㎝幅の空白があり、そこに文章で答える形でした。私の回答はテストの裏面にまで及び、たぶん20行近くになったと思います。どのように書いたかはうろ覚えです。「後進諸国で工業が発展しても日本はさらに先に進むので、加工貿易国はしばらく続く。遠い先はわからないがその時には別の条件が出てくるので解決策は出てくるだろう」。回答内容は今になって推測はです。山崎先生はこの部分に20点をつけました。別の個所でミスがあり満点ではありませんでしたが、テスト合計は100点を超えました。
工業化や重工業化は、とくに発展途上国の経済開発政策として多くの国が採用しました。しかしその結果は必ずしもうまくいったとはいえません。それは各国の経済生活の基本である第一次産業、とりわけ農業の発展とのバランスが大事であり、工業化もまずは軽工業である繊維産業や食品加工業を大事にしなくてはならなかったのです。現実にその部門で働いている人々の状態、現実や意見を取り入れないで理想を語る政治指導者の指令によって進めたことに関係する——これが私の得た感触です。
この2点は猪木武徳『戦後世界経済史』(中公新書,2009,940円)を読みながら浮かんできたことで、GDP(国内総生産)の増大を優先した経済開発によります。私はGDP偏重の経済開発策の限界を見る思いがします。

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