ニューヨークの新しい市政に注目

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2025年11月4日、ニューヨーク市長選で民主的社会主義を掲げるゾーラン・マムダニ(34歳)が勝利しました。資本主義の牙城のアメリカ(USA)の最大都市での左派の勝利はそれだけで大きな出来事でしたが、NYの新市長成立は他にも注目すべきことがあります。今回はそれを書きます。

私が注目するのは、新市長が左派とか民主的社会主義者ということではありません。経済的・社会的な格差が大きく広がるNYで、とくに住民の中で社会的に弱い立場の人たちの生活の改善を基本から変えようとする主張です。それを毎日実感している人たちがこの選挙に参加していました。民主・共和二大政党が対立しているUSAで、両党とも賃金面では巨大企業が担い、その政策的意向を反映した“対立”構造を長く続けてきました。この構造を打ち破った点が第一。マムダニ勝利のために動いた10万人のボランティアが、賃金面でも行動面でもこの構造に対応しました。

第二にはマムダニの掲げる公約——高騰しつづける家賃凍結、市営バス(公共交通)の値下げ・無料化、保育の無料化、物価高対策などです。その新しいNY市政への移行のために支援団体「生活できるニューヨーク市の求める私たちの時代」が発足しました。そして市政移行チームは5名、いずれも女性が指名されました。

メンバーの一人は、バイデン前政権下で連邦取引委員会(FTC)委員長を務めたリナ・カーン氏です。同氏は委員長在任中、巨大企業による不正や人権侵害から国民を守るとして大企業の規制を推進。インターネット通販最大手アマゾンを提訴しました。

カーン氏は市長選の結果について、「大企業の力やお金が私たちの政治を支配することに対して、市民は明確な拒否を示した」と指摘。労働者や中小企業が成功できる市政を目指すと語りました。

市政移行チームを統括するイラナ・レオポルト氏は、2010年代に格差是正に取り組んだデブラシオ市政のもとで政策作りに関わりました。いま妊娠中だというレオポルト氏は、「子どもが受け継ぐ社会は可能性と機会を保障する社会であってほしい」と強調。物価高対策や保育の無償化に取り組む意欲を語りました。

市民生活を支援する民間団体の責任者でチームに入ったグレイス・ボニラ氏は、トランプ政権による過剰な移民取り締まりを批判。「新市政は常に市民の側に立ち、政権による迫害と闘う」と表明しました。

移行チームの他のメンバーも女性が生活に関わる行政や制度づくりに関わることが用意されている点が評価できるのです。社会の全体構造や軍事関係ではなく、市政という住民の日常生活に近い部分では、女性の意見が求められており、それを実現しようとしていると思われます。USA連邦政府(トランプ共和党政権に限らず、他の共和党であっても民主党であっても)との関係にも注目します。

同じ11月4日、USA西部の大都市シアトルでも「社会主義者」ケイテイ・ウィルソン(43歳・女性)が市長選挙で勝利しました。細かな事情には違いもあるでしょうが、共通する変化を感じます。

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