引きこもりからの変化のとき

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長期の引きこもりのなかでの変化はどんな様子になるのでしょうか。
およそ10年の引きこもり状態がつづいている30代前半の女性、電話で相談をしてきたのはお母さんです。その相談からみましょう。
先日来、家の近くに一人で住むようになりました。以前にも同じようなことがありましたが、そのときは数か月で自宅に戻ってきました。今回もそうなるのではないかと心配しています。
先日も訪ねてみると部屋の中が片付いていないし、食事もどうしているのか心配です。
加えて気になるのは、娘はとても敏感になっていて、私が机を少し動かそうとすると、やめて! と過剰な反応をしてきます。そうかといえば中学生のころの事を持ち出してきて「こうなったのはお母さんのせいでしょ!」と攻め立ててきます。精神的にとても不安定な感じがするのです。
家に連れ帰った方がいいでしょうか。……
私のほうで他の実例を加えてわかりよく脚色をしていますが、おおよそこのような内容です。

私がこれを聞いた第一印象は、娘さんは本気で動き出そうとしていると思えることです。多くの引きこもり状態から動き出そうとする人に共通する様子が感じられます。このようなとき、穏やかな動きばかりではありません。
これまでの「動かなかった空白」と対照的に空白を取り返すかのように「動きが脱線気味に大きくなる」人も多数見られます。過去をほじくり返して親の忘れているようなことをあげつらい攻撃する、というのも少なくない例です。
親が忘れていることは確かだとしても、子どもにとっては忘れがたい“事件”なのです。親が無頓着にしてきたことが、子どもの何かを妨害し、破壊した可能性があると考えてみましょう。
親にとっては、次々にいろんなことを言って攻めてくる感じでしょうが、子どもにとってはそういう実感があると考えていいのです。
親は思い通りに子どもを育てようとしたけれども、子どもの自然な素質を伸ばそうとしなかった子育ての歴史が潜んでいるかもしれません。子どもに思い違いがあるとしても思い違いは末端のことで、中心は子どもが感じているほうに正当性がある、と思います。

こういう状態の親子関係は多かれ少なかれあるレベルの共依存関係になっています。相談されたお母さんもこの共依存関係になっている点は認められました。
娘さんにそういう意識があるかどうかはわかりませんが、拘束しあい、依存しあい、つぶしあっている感覚はありそうです。それを言葉でうまく表現できないから、依存関係を断ち切ろうとして暴力や攻撃的になりやすいのです。依存から抜け出したいという気持ちがあるとみなくてはなりません。
人は目前に迫ったことを優先して受けとめやすいものです。しかし、引きこもりの人に表われる動き・言葉には遠い昔のことがつい先日のことのように表われ、反応することがあるのです。引きこもり生活の変化のときは、それが特に出やすいと思います。

一人暮らしをどうするのかは娘さんが決めることです。「本当に困ったことになったら戻りなさい」というあたりが自然ではないでしょうか。

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