こういう場合はどうでしょうか。
家計の大黒柱となるご主人が亡くなりました。
残ったのはかなり多額の借金と成人家族3名です。
年老いた母、事情があって定職につけずときどきバイトの1人。
そのなかでひきこもり傾向の1人が重大決意をして働くことになりました。
しかし、彼1人の収入で家族3人の生活を支えることは困難です。
彼1人なら生活できるけれども、大人3人は無理です。
自治体窓口に行き相談をしました。
彼が1人別に住み、残った2人に対してならば生活保護などの制度利用が可能かもしれないという説明です。
借金はどうなるのか。
これは年老いた母が遺産相続をしたうえで自己破産手続きにするしかない…。
とてもきびしい状況です。
それが示さた現在の制度で可能な最小限の(?)方法。
何とか改善策ができないかと思うこともあります。
家族3人が同居のまま、生活支援を受けられる制度があってもいいのではないか
(場合によっては別住まいがいいかもしれません)。
3名が2世帯に分かれるのは、それだけで不都合や不便や別の負担が発生する可能性も考えられます。
すでにある制度を最大限利用して危機を切り抜けなくてはなりませんが、それだけでは十分とは言えません。
ひきこもり高年齢化の状況の中では、具体的な状況に合わせて新しく制度をつくる取り組みが必要と考えるのはこのような例があるからです。
そういう制度を求める運動、社会活動が必要です。
相談を受けた対応を参考にいくぶん変形して紹介しました。
「引きこもり」カテゴリーアーカイブ
ひきこもりからの社会参加(その2)
ひきこもりからの社会参加にはいろいろなタイプやレベルがあります。
それは社会の変化がひきこもりにどう表れるのか、それを見ることといえます。
ひきこもり自体が社会変動の所産でもあります。
社会はひきこもりを生み出しただけではなく、いろいろな方面でいろいろな形で時代状況を表面化させているわけです。
2002年ごろにひきこもり当事者に「引きこもりの人が望む将来生活の姿」を聞いたことがあります。
職業選択に限定した質問ではありません。71人のアンケート回答をえました(男41・女30)。
回答者は20代後半が中心で30代は3割弱(19人)でした。
回答では過半数が就職型を望んでいます。
今すぐに就職という意味ではなく、将来願望です。
他は自営・自由業・SOHO型も比較的高い割合でした。
手芸作品やWEBデザインなど広い意味でのアート指向が多いと思います。
しかし自営・自由業型になるのはハードルが高そうです。
生活できる収入ではありませんが、すでにしていることでした。
好きなこと・趣味の延長であり、それを生かすことが将来像として答えられたのです。
この傾向はひきこもりだけではなく、社会全体の傾向だと思います。
自分の好きなものに取り組み、生活できる収入になればいいのです。
なぜそれが社会全体の傾向かと考えるのか。
学校をし卒業して就職した人の3割が5年以内に辞めている、というのがその傍証です。
それを詳しくみると答えは重なるでしょう。
この傾向は少なくとも20年は続いています。
これは就職難の時代においても続いていたことです。
少なくとも半世紀前にはここまで明瞭ではありません。大きな時代の変化が表れているのです。
ひきこもりのこの状況は、来たるべき時代を無意識に先取りしています。
ひきこもりはそれを極端に、行き過ぎといえるほどに生活面・心身面で表わしたと私は理解しています。
ところで、ひきこもりの社会参加の指向はアート関係に集中したわけではありません。
好きなことをしたいというのが本質的なことです。
好きなこと以外には向かわない、その傾向が顕著に示されたのです。
ひきこもり経験者のその後の動きをみると、パソコン・ネット関係、カウンセリングや身体療法など対人サービスに関心を向ける人も多いと思います。
AI(人工知能)が進むと多くの職業がなくなる予測されている中で、なくならないと予測されている仕事です。
偶然とは思えないほど不思議な一致です。
このような社会状況に向かいは現在は進行中です。
しかし、ひきこもりの人の到達点は全般に低く、十分な収入には届いていません。
趣味的なことが特にネットにより幸運な成果もありますが、ほとんどはレアケースです。
それらが一時的なものではなく継続的なものになり、収入レベルが徐々に上がれば初歩の社会参加から、やがて生活できる収入レベルに届くでしょう。
そのような時代が開かれる扉の前で、多くのひきこもりが目立たないながら、それぞれのしかたで取り組み、ひしめいている状況を感じています。
このような様子は直線的に就職に向かうものではないという意味で社会参加として描きました。
しかし、これらの動きは無駄ではない、その多くがいつか報われる時期が近いと思います。
この社会参加の状況は別の可能性もありますが、それはまたの機会に回します。
ひきこもりからの社会参加(その1)
今年3月に第12回全国若者・ひきこもり協同実践交流会が開かれました。
その準備過程の実行委員会でちょっとした意見が交わされました。
この全国集会は当初「支援者交流会」でしたが、途中から「実践者交流会」に変わりました。
その意味を問うものでした。
要点をいえば支援対象者であったひきこもりの中から支援者側に回る人たちが相当に表れた。
この事情をより適切に表現する方法を集会名に取り入れたということです。
ひきこもりの当事者が各地の団体グループに加わっている状況は顕著のようです。
私が知りうる範囲でもいろいろ見ることができます。
私の言葉遣いを振り返るとこうなります。
20年以上前にひきこもりから抜け出す方法は「就職」でした。
仕事に就くことを目標にして人材養成バンクなるものを提示し受け入れ先事業所を探したこともあります。
人材養成バンクの取り組みの動きを終了して、しばらく後に使い始めた言葉は「社会参加」であり、ときおり「社会の一員として生きる」を使いました。
これは一面では目標の高いハードルを下げるものでしたが、実情に見合った取り組みを進めるベースにしたものです。
基本的に今日まで使い続いています。
ひきこもり当事者が支援する側に回るというのはこの「社会参加」と重なります。
それは就職し仕事に就くこととは矛盾しません。
連続する過程になることもあるし、並立することもあります。
各人の条件に合わせて仕事に就きながら、当事者が支援する側に回る状態は少なからずあります。
この状況をどう見るのか、それは何を示しているのか、その可能性を考えてみたのです。
入り口はこの2つ(社会参加と仕事)です。
そこに入る前に1つ確認しておきます。
ひきこもりは身体的な症状によるものではなく、対人関係の不全感の蓄積から生まれるものが中心です。
なので多くは医療の対象ではありません。
*身体的な症状によるひきこもりもいます。
なにしろ「いろいろな要因から」ひきこもりは生まれるのです。
それでも一般論として病気や精神病予備軍と扱うわけにはいかないのです。
2つの入り口とは、社会参加と仕事に就くです。
両者は重なる部分もありますし、矛盾するのではありません。
しかし、分けて理解するのがわかりやすいし、正当だと思います。
(1)社会参加とは、対人関係づくりから、居場所・当事者グループへの参加、社会運動的な動きまでの幅広い状態があります。
これは一連の動きです。
(2)仕事に就くとは、ボランティア活動、パート労働・アルバイトから常勤的な仕事まで、これもまた幅広い状態があります。
(3)そしてこの両側面の融合するところが仕事おこし(起業)です。
ここも幅広い状態があり、趣味的な小遣い稼ぎから生活基盤にできる自営業・自由業までいろいろな状態があります。
ここでは「社会参加」の面からこの過程を述べるつもりです。
ところで長くなるので、ページを改めます。
集会等への予約参加・予約外参加について
「ずいぶん昔のことを覚えていますね」と言われました。
13日の「予約制の意味をひきこもり経験者が参加する集会で考える」を読まれての感想です。
この集会1つのことであれば、もしかしたら記憶を呼び戻すことはできなかったかもしれません。
こういうことを記録することもなかったでしょう。
「行けたら行きます」という返事をたびたび受けました。
ひきこもり界隈のイベントについては、それは現在もよく聞かれることです。
それは態度がはっきりしないというよりも、自分の体調等を考えて正確に表現すればそうなるという意味に受け取っています。
予約制を取り入れると「予約者のある程度の割合が来ず、予約なしの参加者がある程度来る」となります。
予約するのを行動の動機を高めるために使っていると思える人もいます。
だから予約制を取り入れるのは意味があります。
しかし、予約者以外を排除するのは行き過ぎとも思うのです。
これは用意するものなど他の条件も関係しますから絶対条件とは言えませんが…。
それで、実際はどうなるのかの実数をカウントしてみたのが200年4月29日の「引きこもりの体験発表と交流・相談会」でした。
他にも調べたことはありますが、数字として残したものはありません。
生活の発見会・集談会へのアプローチを考える
少し前に東京東部地域に住む女性の相談を受けました。
一通り話をしたあとで親しく話し合える人がいる場を求めていると聞きました。
同じことは他からもよく聞くので、この8月からは「当事者の会・自助グループ」としてその充実にも取り組んでいるところです。
8月からの問い合わせ中は3領域のリストを元にしています。
その結果、サイトに紹介する了解を得たのは9月13日現在
「ピアサポ祭りの協力グループ」36、
神奈川県の「フリ・フリ・フェスタ」出展者5、
「摂食障害家族会一覧」から5です。
それ以前から不登校情報センター・サイトには300か所以上を紹介しています。
しかし何しろ全国です。分野や対象者など団体グループにそれぞれ個性があります。
誰かに勧めるにはどこが適しているのかはよくわかりません。
本人が行ってその場を体験してみるのが最後の決め手です。
サイトでは各団体を簡潔に紹介するがいいと思うのです。
この相談者は、デリケートかナーバスの周辺領域にいるとみて森田療法のグループを候補に考えました。
前にMkくんがこの会に関わり、勧めているのを聞いたことがあります。
あるいは認知行動療法の自助グループがあれば…。
森田療法には生活の発見会という集談会・懇談会があり、そこを訪ねてみてはどうかと話しました。
生活の発見会の本部は墨田区吾妻橋にあり、そこでも集談会をしています。
生活の発見会は全国各地で集談会・懇談会をしています。
これをこちらのサイトにも紹介をしたいと思います。
どう働きかけていくのか、何か手掛かりが得られればGood!
予約制の意味をひきこもり経験者が参加する集会で考える
17年前の古い記憶を紹介しましょう。
2000年4月29日の会合「引きこもりの体験発表と交流・相談会」について『論座』2000年7月号に投稿していました。
「「ひきこもり」最良の教師は体験者」という記事です。
http://u0u1.net/FQIy
そのなかで出席者について次のように記録しています。
「参加を申し込んできた人は全部で26人いたが、このうち実際に参加したのは7人で、予約なしの参加者は13人いた」、
合計20名の参加です。
今回の「ひきこもり大学in下町」の場合もやや似たところがあります。
参加予約者は46名で、実際に参加したのは36名、予約なしの参加者は36名の合計72名です。
この2つのひきこもり当事者の参加する集会を単純に比較することはできません。
取り組み方と予約方法、参加者の内訳、それに時代・時期などの違いです。
そうであってもやはり共通のものを見ることは可能でしょう。
(1)予約をしていても参加できなかった人が多数いること。
(2)予約はしていないけれども参加した人は多数いること。
この背景理由はいくつかあります。
十分な証明はできませんが、経験から次のようなことは確信しています。
その直前にならないと実際に参加できるかどうかはわからない状態の人がいること。
これまでの教訓から、予約による行動に不安感がある人が少なからずいること。
これらは必ずしも無責任ではなく、ひきこもり当事者の体質的・気質的なことと結びついていること。
必要な場合や可能なときに予約制にして取り組むことは無意味にはならないことです。
これからもこれらの点を頭の片隅に置いて予定し、判断してください。
これもひきこもり理解の一面と思っています。
地方議会の議員と意見交換しました
ある地方議会議員と話しました。
テーマはひきこもりへの対応ですが、いろいろな面に及びました。
私からは「人手の欲しい事業者と一緒にひきこもり・家族との交流の機会をつくる方法」を話しました。
関心を寄せる事業者がいましたらと、「事業所の紹介用紙」を渡しました。
議員の方からは「空き家対策」について考えていることを話していただきました。
その自治体は、外からの目視で「空き家」を確認しているといいます。
正確なことはわからないまでもある程度の様子や変化はつかんでいるようです。
この空き家を福祉の問題としてどう有効活用するかを取り上げていくようです。
それをひきこもりと結びつける可能性を見ているのです。
確かに住宅問題は重要になります。
他にも参考になることがあり、ときどき意見交換することになりました。
これはひきこもり経験者を受け入れる会社探しです
あるルートにより入手した会社リストから8社に次の文書と「事業所の紹介用紙」を送りました。
「仕事場の紹介と交流会」に参加する事業者を広げるためです。
1社でも参加が増えることを期待しています。
働き手の欲しい事業者様へのお願い
働き手が欲しくて求人しても人が来ない、そういう事業者に朗報です。
相手はニート・ひきこもりです。
これらの人には働きたくても働けないと思っている人がたくさんいます。
根はまじめです。不器用ですが誠実です。
それが裏目に出て人間関係が上手くいかずに働けなくなっているのです。
不登校情報センターは、このような人が相談に来たり、集まって作業をしています。
不器用で人づきあいが苦手でも、条件があれば、徐々に働ける状態に持っていけます。
昨年、ある事業所で求人担当になった人が来ました。
その人も長いひきこもりの経験がありEさんとしましょう。
Eさんは実に見事なリクルート活動をしました。
不登校情報センターに来て、ひきこもりの親の会や当事者のいる時間帯に一緒にいます。
毎月定例の親の会とは別に、自分の経験を話し、職場の説明もする会を提案しました。
その会にはなんと8名も参加しました。
そして、約10か月の間に4名が次つぎと彼の会社で働き始めています。
初めは週1回数時間の人もいます。初めから週6日働き始めた人もいます。
Eさんの方法から学んで「仕事場の紹介と交流会」を、この夏から始めています。
Eさんの会社は中堅規模の産業廃棄物業者です。
業種や職種を広げていかなくては、いろいろな人の要望に応えられないと思うからです。
さっそく、産直の農産物販売店と介護施設のホーム長が応えて参加してくれました。
実際に職場の話を聞いてみると、ひとり想像しているのとは違うみたいで、次つぎと質問が出てきます。
他の人に質問やそれへの返事を聞くうちに、自分にとってどうなのかがはっきりとしてきます。
普通の就職面接ではありえないことです。
もしかしたらこれは新しいタイプの、求職活動であり、求人リクルート活動かもしれません。
Eさんの方法から習った方法は、職種・業種によって加工・修正しなくてはならないでしょうが、ニート・ひきこもり対象に限らず一般の求職・リクルート活動でも参考になると思います。
この方法はリクルートする求人側には手間ひまのかかる方法です。
ですが、会社内容や仕事内容がよく伝わっているので定着率は高いと思います。
Eさんの会社で働き始めた4名ずーっと続いています。
真面目で誠実に仕事を続けているので同僚や会社側にも好評です。
Eさんも「社内での評価が上がった」と冗談めかしく話しています。
この方法に関心をお持ちの事業者には裏面の所定用紙に記入して不登校情報センターまでお送りください。
「仕事場の紹介と交流会」について連絡をさせていただきます。
企画者Sくんと「ひきこもり大学in下町」を話す
土曜日(2日)に「ひきこもり大学in下町」の企画者Sくんと確認を少々。
講演(神垣崇平さん)と当事者の体験発表の後のグループディスカッションについてです。
どうグループを分けるのか。
神垣さんを囲むグループ、体験発表をした当事者を囲むグループ、就業・仕事探しグループ、居場所グループ、それにフリーディスカッションの5つです。
参加者数によりますし、もしかしたらテーマ設定の要望もあるかもしれません。
予備として支援者の交流、仕事おこし、家族関係…を考えてみました。
グループが増えたとしても当日参加の人に協力を頼み、かつしか子ども・若者ネットワークの人にも分担してもらえば、運営はできそうです。
これらを区民大学の区の担当者の連絡しました。
ついでに聞いたところでは参加申し込みは30名以上。
参加申し込みをしていない人もいて40名規模の気がします。
最後のアピールで50名に手が届きそうです。
私の準備するものには参加者向けのアンケート作成があります。
それにもう一つ。
「ひきこもり大学in下町」を何らかの方法で継続する条件もつくりたいと考えています。
9月10日午後1時30分、葛飾区新小岩地区センターが会場です。
参加費無料、葛飾区外の人も参加できます。
「親亡き後のひきこもりの生活戦略」ページ(仮称)
会報『ひきこもり周辺だより』に同封したアンケートに1人の当事者から要望が出されました。
親が高齢化しているのに伴う生活情報です。
親の看取り方、葬儀の手配、遺産相続、あるいは生活保護や障害者年金にどうかかわるのか…。
「ひきこもり理解と支援の促進」学習会における当事者の報告(2015年1月)にはこうあります。
<親が死んだ後のライフプラン。
持ち家の維持、相続税、固定資産税におびえている当事者がいます。
それから兄弟間のトラブル、遺産相続で裁判に発展しているケースもあります。
親の介護、生命保険信託など一般の人がこうむる問題がひきこもりにも降りかかってきています。
それが外出や社会参加のトリガーになりえますが、なかなか難しいと思います。
最後に住宅問題、低所得者向けの物件、単身男性入居可能なUR、親子で入居可能な老人ホーム、東京都など各自治体が提示するアパート・マンションの物件、空き家、公設宿泊所、公営の低家賃アパート、シェアハウス、緊急小口資金貸付、総合支援資金……働きもしないでそんなことばっかり調べてるんじゃないかと思われますが、制度や情報を知っているだけでもゆとりが違うので。>
そういう情報をこれまでは意図的に集めていません。
「親亡き後のひきこもりの生活戦略」ページ(仮称)をつくるのがいいのかもしれません。
取り組みの実例から集めるのがよさそうです。
*訪問型の理容・美容・鍼灸師、パソコン教師などを含む事業者の小さなページ「家庭教師・訪問活動」があります。
これ自体がまだ作りかけのものですが、それに類することから始めるしかなさそうです。
〔会報『ひきこもり周辺便り』に載せた紹介文を詳しくしました〕