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中高年ひきこもり人数・2018年

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中高年ひきこもり人数・2018年

内閣府調査の中高年ひきこもり「推計61万人」報告で見えた、人は何歳からでもひきこもる現実
■やはり多かった「中高年のひきこもり」 きっかけのトップは「退職」
内閣府は29日、2018年12月7日から同24日にかけて実施した、40歳から64歳までの5千人を対象にした「生活状況に関する調査」の報告書のなかで、中高年のひきこもり者の数を推計61.3万人と公表した。
調査は、層化二段方式で無作為抽出した199市区町村200地点で実施。調査員による訪問留置・回収方法で、有効回答数は3248人(65%)だった。
このうち、外出の頻度を訪ねた質問で、6ヶ月以上連続して、「自室からほとんど出ない」、「自室からは出るが、家からは出ない」、「近所のコンビニには出かける」、「趣味の用事のときだけ外出する」と回答した「広義のひきこもり群」は、自営業や身体的な病気、専業主婦の一部の状況の人等を除くと、47人。
出現率は1.45%で、対象年齢の人口4235万人から推計すると、あわせて61.3万人だった。
2015年12月に内閣府が実施した15歳から39歳までを対象とした同種の「若者の生活に関する調査報告」では、同群の推計数は54.1万人だった。
その前回調査からは、3年間のずれがあり、同群の抽出条件もやや変えている。
このため、単純には合算できないものの、内閣府の北風幸一参事官(青少年支援担当)は、「正確さは欠くが、15歳から64歳までの全年齢層を足すと、約115万人。大切なのは、全国で100万人以上の人がひきこもっていることがわかったことだ」と話した。
39歳までの調査では、ひきこもったきっかけのトップは、「不登校」と「職場になじめなかった」だったが、今回の40歳以上の調査では、「退職」ということがわかった。
定年退職のほか、なにかの事情で仕事を辞めてから、社会とのつながりがなくなっていった人たちの姿が見えてくる。
一部の項目を詳しくみていく。
<性別>男性が76.6%と、4分の3以上を占めた。
今回の調査からは、セクシャルマイノリティの人を調査から取りこぼさないために、性別欄に「その他」を設けられたが、回答はなかった。
<年齢>5歳ごとにみて、40歳から44歳と、60歳から64歳の割合が最も高く、それぞれ25.5%。
45歳から49歳は12.8%、50から54歳は14.9%とやや小さいが、年代ごとの極端な差はない。
<家の生計>主に本人が生計を立てているという回答が最も高く、約3 割にのぼった。
次いで、「父」、「母」、「配偶者」と続き、「生活保護など」は8.5%、「きょうだい」という回答も6.4%あった。
<通院や入院経験>複数回答で、「精神的な病気」を挙げた人は、広義のひきこもり群以外では、5.6%だったのに対し、今回対象の広義のひきこもり群では31.9%と多かった。
一方で、「その他の病気」「あてはまるものはない」と回答した人も多かった。
<就労状況>「勤めている」という回答は、正社員、非正規雇用・パート・アルバイトを問わず、なし。
一方、無職という回答は76.6%だった。
また、「35歳以上での無職」を経験した人は、53.2%にものぼった。
さらに、対象者のほとんどが、正社員を含めて何らかの形で働いた経験があることがわかった。
<就職>現在就労していない人に対して就職や進学の希望を訪ねた質問では、「希望していない」という回答は60.9%。
実際に就職活動をしているのは13%にとどまった。
<ひきこもり期間>3年から5年という回答が最も高く、21.3%。7年以上と回答した人が46.7%。
<初めてひきこもった年齢>14歳以下と30歳台の割合が低いが、全年齢層にわたっての回答がみられた。
多い順に、60歳から64歳が17%、25歳から29歳が14.9%、40歳から44歳が12.8%。
<ひきこもったきっかけ>複数回答で最も多かったのは、「退職」。
次いで、「人間関係やうまくいかなかった」や「病気」、「職場になじめなかった」が挙がった。
<関係機関への相談>「相談したい」という回答も、「思わない」とする回答も約5割で、約半々の結果となった。
また、複数回答で、「無料で相談できるところ」になら相談したいという回答が多かった一方で、「あてはまるものはない」「どのような機関にも相談したくない」という回答も多かった。
相談機関先として、「病院・診療所」の回答が最も多かった。
<家族との状況>「家族は温かい」「家族とはよく話をしている」「家族は仲がよい」「家族から十分愛されている」の4項目の全てで、広義のひきこもり群があてはまるとした回答(複数回答)は、広義のひきこもり群以外の人の半分以下の割合となった。
■「どの世代でも、どの世代からでもひきこもりはあり得る」
北風参事官は、当初、中高年のひきこもり調査には反対したという
「40歳以上のひきこもりが、その下の世代よりも多かったことに驚いている。そもそも我々のなかでは、『自室にひきこもってひざを抱えている若者』というイメージが強かった。『ひきこもり』に『若者』という言葉が付随し、そのイメージに引きずられていた。けれども、客観的な指標で見たところ、どの世代でも、どの世代からでもひきこもりはあり得る」
調査報告の会見で、北風参事官はそう答えたが、内閣府の青少年支援担当が、今回の40歳以上の調査結果を、今後の施策に直接反映できることはそう多くない。
ひきこもりの支援は、長年、子ども・若者育成支援推進法に基づき、青少年の就労支援を主軸とした労働政策寄りの施策が実施されてきた。
しかし、2015年4月に生活困窮者自立支援法が施行され、年令に関係なく、福祉で取り扱えるようになった。
以来、ひきこもりの支援は、根拠法が2つにわかれたままになっている。
2つの法律が想定する当事者像は、当然異なる。
このことは、地方公共団体のひきこもり相談窓口での、混乱を生んでいる。
若者路線、就労支援路線から切り替えられていない自治体を中心に、中高年層からのひきこもり相談が、断られたり、たらい回しにされたり、若者にしか使えない情報を紹介されたりして、行き場を失う例も少なくない。
今回の調査結果では、中高年ひきこもり者の多くが働いた経験がありながら、今は就職を希望していないという現状や、半数の人が現在の状態を関係機関に相談したいとは思っていないことが明らかになった。
また、家族との関係に関する回答からも、家族との温かいつながりを感じられている人は少なく、当事者が、社会だけでなく、家族の中でも孤立しがちな様子が伺える。
■「半歩踏み出せる居場所が社会の中にほしい」
こうした中高年の当事者の傾向や意向を、さらにあぶり出すような調査内容ではなかったが、地方公共団体は、相談や支援のゴールを、「就労」や「自立」に一律に設定してきた若者支援とは違う方策を本格的に模索する必要があるだろう。
例えば、2017年12月に地元の家族会につながるまで、約30年間ひきこもっていた青森県弘前市に住む51歳の男性は、「長くひきこもっていると、『仕事しろ』という言葉には、こわばってしまう。家から出て、人と話ができる段階を踏んで、初めて、次が考えられるようになるのでは。私のように、長年声を上げられなかった人たちが、半歩踏み出せる居場所が社会の中にほしい」と願う。
それぞれの地域にいる、当事者や家族が本当にありがたく思う支援はなにか。
それを探るためにも、まず、当事者や家族の声に耳を傾ける必要がある。
また、今回の中高年調査で、北風参事官が、「ひきこもり=若者」という誤解や偏見を改めたように、「人は、どの世代でも、どの世代からでもひきこもる」という前提を、啓発していく必要がある。
しかし、今回の調査を実施した内閣府が、こうした啓発活動を担うことはないという。
40歳以上のひきこもり当事者推計61.3万人という数字が、どこまで支援や相談の現場に危機感として届くか。引き続き見守っていきたい。
加藤順子 ライター、フォトグラファー、気象予報士
学校安全、防災、対話、科学コミュニケーション、ソーシャルデザインが主なテーマ。災害が起きても現場に足を運ぶことのなかった気象キャスター時代を省みて、東日本大震災の被災地に通い、営みや試みを追う。
〔2019年3/29(金) 加藤順子 ライター、フォトグラファー、気象予報士〕

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