親や支援者への不満にヒント

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高年齢引きこもりへの対応(その3)  次のテーマに移る前に前項(その2)で「別に述べる」とした「当事者の動機やエネルギーが現われるときは、ほとんどが家族や支援者への不満の形です」点をここに挟んでおきます。

親や支援者への不満や“斜に構えた出方”になるのはなぜかを正確にいうことは、いまの私にはできません。これまでそのように表われたことが多いのは確かです。
しかし、自分の室内を片付けだした、家のなかを掃除しだした、という例は少なからずあります。その場合でもことばや振る舞いに親や支援者への不満を述べるのが並行することはありました。

なぜ親や支援者なのかは、支援者に対しては親への批判を口にすることが多いためです。親には関わっている支援者への批判が出てくるのが多いためです。当事者の精神生活の及ぶ範囲から問題意識が表われるためかもしれません。しかし全部そうなのかと言えばそれだけではないという感じもするのです。子ども時代にいじめを受けた体験を話す人もいました。そういうことはもっと多いし、影響はもっと強いのですが、多くを聞いたことはありません。そうとう親密にならないと話して来ないように感じます。
逆に、「これまでの引きこもり生活を深く反省しています」というスタンスで動き出す人は見かけたことがありません。引きこもり生活で失ったものや身につけられなかったものを取り戻すかのように動き出す人は少なからずいます。その人には避けられないことでしょうか、少なくとも最良とはいえません。家族はやりすぎにならないように“見守る”のがせいぜいのところです。
不満の形で表現するのは“テレ隠し”という人もいます。説明困難なのでそう言っていると思います。
これまでの引きこもり生活をすぐには否定するつもりはない、しかしその状態は終了してこれからは積極的に動くというのを両立させる方法が斜に構えた言動になるのかもしれません。
そのあたりの詮索はここらで止めておきます。いずれにしてもどれが正しい、どれが間違いということではなさそうです。

変化は引きこもっていた当事者が動き始めたことです。そこを見誤らないことが大事です。不満や斜に構えた言動は、当事者の心の中を知るヒントになるのです。
それは親が想定したこととか、望んでいた形と同じではないかもしれません。少なくともすぐに仕事につく方向ばかりではありません。家から出るようになったがどこに行くのかはさっぱりわからないこともあります。ともかく何をし始めているのか親にはわからない、つかめないことは多々あると見込んでおいた方がいいのです。
偶然、坂道を自転車で上がっている息子さんの姿を見かけて「あ! 何かがんばろうとしているんだ」と感じたお母さんがいて、「そのときは本当に感動して、涙が出ました」と言っていました。息子さんの元にはその後ときどき郵便物が届くようになりました。後でわかったことは就職活動をしていたのでした。
しかし、この方のように仕事に向かう人ばかりではありません。仕事に就こうとしている・していないにかかわらず、親は子どもを信じてほしいし、それを何らかの方法で子どもに伝えてほしいと思います。

仕事の方向に動いていない状態を見て「何をやってるんだか…」とか「不平不満ばかりは言うようになりましたね」と、動き出した子どもの様子を否定的に話す人がいます。それは子どもの足を引っ張ることになりかねません。声援するか心のうちでの応援をしてほしいものです。
「そんなことはあなたには向いていない」「やるんだったら~をやってみたらどうなの」という形で、子どものある動きをやめさせ、別の方向に誘導する人もいます。これはまずいやり方です。もしかしたらそういう親子関係が引きこもりの有力な要因であるかもしれません。最も克服したいのは親子関係が共依存的になっていて、子どもが動き出すと親が不安になる状態です。これは親の方が相談者を必要としているのです。
支援者への不満についても触れておきましょう。とはいえなかなか耳に入ってこないところです。もっと的確な支援方法があってもいいのではないかというのは予測できます。私のように働くのを勧めないといったい何をしに来ているのかは当事者にはわからないかもしれません。もし家族にぶつける支援者への不満がそのようなものなら、そのとき「どんなことをしてみたいの?」と聞いてみる機会にできるのです。不満の形で自分の要望を出していると見ればいいのです。

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