●文通番号15-08  見極める眼、取捨する腕

シホ 〔滋賀県近江八幡市 女 27歳 無職〕

 『ひきコミ』は親が勝手に買ってくる。勝手に読む。というかパラパラめくってる。腰入れて読まない。「自分と一緒」的な感情移入とか、傷のなめ合いっぽい事とか避けたい感じで。かつ近ごろ違う姿勢もあり。意の向くモノを意志もって読む(例えば本誌でフロムミーなど。共感しているのか反感のところもあるのか。何とも言えず考え詰めていきたい気)。

 自分(達?)は負け犬ではない。「ひきこもり」という括りに反発しつつ安住もしつつ。でも“助け”の要る状態って、ある。ネット時代、玉石混交の情報を自ら取捨選択する能力がものいう。と言われるけどこの「取捨」(価値基準と価値の見極め)が、諸々の場で鍵になると考えられ、。自分に必要な“助け”をえらんで活性にすること、肝心と思える。“助け”が玉石混交、存在するとして。

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●文通番号15-04  かけがえのない貴方へ

ちー坊 〔東京都青梅市 女 35歳 不登校の子のボランティア〕

 私! みんなの投稿読んでて思いました。せっかく生まれてきたので自分大事にして下さい。せっかく生きてここにいるのだから、貴方のしたいこと好きなこといっぱいいっぱいしてください。じゃなきゃ貴方がかわいそうです。

 私も最近まではやく人生を終えたいと思ってました。だけどじゃああと1週間で人生終わりなら何したい? っと思って考えついたことに、私は子どもの頃母に焼かれたマンガを思い出しました。

 いっぱいマンガよみたかった。お金もあまり使っちゃいけないと思っていたので買うことも出来ず、やりたいこともないと思っていました。でももうなんでもいいからやりたいこと自分にやらしてあげようと思ったんです。

 だってじゃなきゃ自分が苦しくてさびしくて悲しくてつまらないし、やることもやりたいこともなくなっちゃうから。

 そしてマンガを読み始めて私は嬉しくて嬉しくて、この世に生まれて良かったと思いました。

 そしてなるべく古本屋の大安売りの時に(けなげでしょ笑)たくさん買いこんで読んでました。だけどやっぱり途中、こんなことしてていいのかとか、何かお金になることをしないととか、外に出て人に会わなくてはとかいろいろ思ったりもしました。

 だけどやりたいことを続けました。

 そして古本屋へいく自分がいつのまにか、うれしくってつい顔がにやけてしまったりして、レジのお兄さんはもしかして自分のことが好きなんじゃないかとかかんちがいさしてしまったこともあったかもしれない……。(笑)

 そんなこんなでだんだん私はマンガの中にでてくる人たちみたいに、優しくしたりされたりドキドキしたりわくわくしたり感動したり感激したり頭をなでてもらったり、人を好きになったり人に好かれたりしたいと思うようになりました。

 そして新しく“何か”を始めたいと思うようになりました。

 そうするにはどうしたらいいんだろうか、また、考えました。自分はどんなことがしたくてどんなふうなこと、どんな所で何をしたいか。

 そのための自分の世界のこと。たとえくだらなくてもバカバカしくてもムリでもいいんです。自分が本当はどんなことがしたいのか。親にいわれて良いらしいと思うことでなく、ダメといわれてやめてしまったたくさんのこと。

 それらは貴方の夢のカケラだよ! 貴方自身のかけらでもある。本当にしたいこと、自分が自分として生きてゆくこと。この世に生まれた意味、意義。自分自身のための人生。

 自分の人生はだれも代わってくれない。代われない。たとえ他の人になりたくても貴方は貴方でしかいられない。貴方のことが出来るのは貴方しかいないんです!! だから貴方の本当にしたいことして下さい。それは必ず貴方だけでない貴方の周りの人も含めた“みんな”を幸せにするのだから。

 貴方のしあわせは私もしあわせ。

 私のしあわせはあなたもしあわせにする。私の願いはそれです。

 君が悲しいとボクも悲しい。自分だけうれしくてもうれしくない。君がうれしいとボクもうれしい。……忘れないでね!

 君のことあいしているyo! 君はひとりじゃないからね。

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●文通番号15-01  Letter下さい

パンダ 〔三重県員弁郡 女 26歳 家事手伝い〕

 みなさんお元気でしょうか? 私は三重に住んでる26歳のパンダです。女です。

 そううつ病に不眠症で、病院に通院してます。でも元気な時は出掛けたりします。一番最近は1月23日に東京まで舞台を見に行き、

帰りに“ひきコミ”で知り合った人と新宿で会いました。

 手紙だけでは伝えきれない会話をたくさんしました。考えている事は似てました。5、6時間話していても疲れませんでした。会った後も文通は続いています。

 私は1人っ子だけど、仲間みたいな気がして心強いです。他にも文通してる人は何人かいます。1人じゃないんだーって思える所がいい所です。近くの人に言えない事も聞いてもらえて、嬉しいです。

 返事は出します。あなたの事も教えてくれませんか? あなたからのお便り待っています。

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●2002年4月1日  第14号

◆ひきコミ・第14号

●文通・・・「古典の世界」/他・38通

●アルバイト体験記「対人恐怖と葛藤(その5)」

●手記「逆ひきこもり」

●五十田猛「傷つきやすい心の背景」

◇心の手紙交流館(編集)  

◇株式会社子どもと教育社(発行)

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●文通番号14-07  古典の世界

色メガネ君 〔東京都世田谷区 男 26歳〕

『方丈記』

 世にしたがえば、身くるし、したがはねば、狂せるに似たり。いずれの所を占めて、いかなるわざをしても、しばしも、この身を宿し、たまゆらも心を休むべき。わが身、父方の祖母の家をつたえて、久しくかの所に住む。その後、縁欠けて身衰へ、しのぶかたがたしげかりしかど、つひにあととむる事を得ず。

 三十あまりにして、更にわが心と、一つの庵をむすぶ。これをありしすまひにならぶるに、十分が一なり。

 居屋ばかりをかまえて、はかばかしく屋をつくるに及ばず。わずかに築地を築けりといへども、門を建つるたずきなし。竹を柱として車をやどせり。(続編)

 世にしたがえば、心、外の塵に奪はれて惑ひ易く、人に交はれば、言葉、よその聞きにしたがひて、さながら心にあらず。

 人に戯れ、物に争ひ、一度は恨み、一度は喜ぶ。

 その事定まれることなし。分別みだりに起りて、得失止む時なし。惑ひの上に酔へり。

 酔の中に夢をなす。走りて急がはしく、ほれて忘れたる事、人皆かくのごとし。

 未だまことの道を知らずとも、縁を離れて見を静かにし、事にあずからずして、心を安くせんこそ、しばらく楽しぶとも言ひづべけれ。  以上

『伊勢物語』

 昔男ありけり。身は癒しながら母なむ宮なりける。長岡といふ所にすみ給ひけり。

 子は京に宮仕しければ参ずとしけれど、しばしばえ参です。さるに十二月ばかりに、とみの事とて御文ありと言へばいよいよ見まくほしき君かな。  おしまい

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●2002年2月1日  第13号

◆ひきコミ・第13号

●文通・・・25通

●体験手記「私の物語(6)」

●アルバイト体験記「対人恐怖と葛藤(その4)」

●訪問サポート「役割は親と子の間の架け橋」

●五十田猛「父親のアプローチ、母親の役割」

◇心の手紙交流館(編集)  

◇株式会社子どもと教育社(発行)

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●2002年1月1日  第12号

◆ひきコミ・第12号

●文通・・・「引続き文通希望」/「「ありがとう」」/「人生七転び八起き」/「親愛なるわが友レウカへ」/他・25通

●体験手記「私の物語(5)」

●アルバイト体験記「対人恐怖との葛藤(その3)」

●母親の手記「わが子はN君に心をひらいた」

●五十田猛「対人関係の反応感知能力」/「ゼロからの居場所(当事者の会)づくり(その2)」

◇心の手紙交流館(編集)  

◇株式会社子どもと教育社(発行)

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●文通番号12-25  親愛なるわが友レウカへ

ミズキ+Shi 〔東京都八王子市 男 37歳 無職〕

 早いもので1週間が経とうとしている。あの夜、それまでリアイバ号の船室にいたはずの乗員数名は、一瞬後には夜の大海原に放り出されていた。幸いそれぞれ板切れにつかまり命拾いした私たち2人も、じきにお互いの姿を波間に見失った。最後に見たのは荒波の彼方に遠ざかる船影に手を振りながら叫ぶ君の姿だった。

 君は私を怪我で気を失ったものと思ったかもしれない。しかし私の意識はむしろいつになく冴えていた。私が君と一緒になって助けを求めなかったのは月明りに暴かれたあの光景を見てしまったからなのだ。

 「沈マザル船」リバイア号のすでに朽ちかけた舷側にいくつもの空いた無残な大穴。その穴から1人、また1人と海へ落ちて行く乗員たち。必死で助けを求める遭難者、懸命に救助の手を差し伸べる甲板員。しかし船が停まることは決してない。「常ニ前進セヨ」という「船ノ意志」は絶対なのだ。甲板からは舷側の大穴は見えない。見えるのはただしだいに数を増しつつある転落者たちのみ。

 「レウカ! あの穴を見ろ、リバイアはもう駄目だ! この板に賭けよう! 」。私は君に呼びかけた。だが、私の声は助けを求める君の声にかき消されその耳には届かなっかたようだ。あるいはまだ解けぬ「船ノ意志」の呪縛が君の目を覆い、耳を塞いだのか……。

 仮にリバイア号がこれからも沈むことなく航海を続けるとしても私には戻る気はない。あのとき船に追いつこうと泳ぎもせず、君と違って助けを求めもしなかった私は、「嵐二乗ジ船体ヲ破壊シ、逃亡ヲ図リタル奴隷」と見なされ罰を受けることだろう。

 奴隷? そう、あの船に乗員などいるものか。船長までがいつしか「船ノ意志」に盲従する奴隷になってしまっていた。しかし私は奴隷ではない。「船を捨てたおまえなどもはや船乗りでもない」との謗りは甘んじて受けよう。しかし私は決めたのだ。船の奴隷であるより自分の主人であろうと。今となってはこの板切れこそが命を共にできる私の船である。さらば! 呪われし不沈船よ。

 あの後私は数日間の漂流の末、無人の孤島にたどり着き、無事こうして今まで生き延びた。あれから君はどうしただろうか。今なお辛うじて航海を続けるリバイア号に拾われ、今頃は1日の苦役を終え、支給の酒に酔っているのか。それとも……。

 願わくは運よく生きのびた君が、私と同じようにどこか美しき孤島で、あるいは仲間と漂う筏の上で読んでくれることを祈って、このビン詰めの手紙を海流に託すことにする。よい新年を。

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●文通番号12-14  人生七転び八起き

とべないホタル 〔石川県河北郡 女 30歳 通信大学生〕

 暗闇の中、私達を守り、照らしてくれるお月様。神々しく光輝く、ひっそりとでもたしかな存在。どんなに暗くでも不安でも大丈夫だよって言ってくれている気がする。

 太陽なようなまぶしいほどの強い輝きはないけど、月には太陽にない輝き光がある。形を変えながらいつも遠くから見つめていてくれる、応援してくれる。

 光と影の二重奏、いつも光輝くばかりでなく、相手を支えることのできる人でありたい。

 夢見がちな少女だった私は、丸いお月様の中にうさぎさん達がもちつきをしていると信じて疑わなかった。そんな私もずい分大人になったもんだね。いくつもの出来事の中いろんなことを学んだ。どんな時にも私の側には、私を支えてくれる人がいて、私は幸せ人間なんだろうね。夏が終わりもう季節は秋。朝晩はだ寒くなりカゼをひいてしまった。みんなはどうですか。元気ですか。体を大事にしてね。

 今夜もお月様が顔を出し笑顔で新しい門出を応援してくれている。母と犬のカツと力を合わせ、これからも元気で明るくいきていこうね。今までの分も今まで以上に幸せになろうね。

 人生七転び八起き。生きていたら何が起こるかわからない。今流行の熟年離婚。私の父と母が離婚し、新たな人生が始まる。どんな困難も一つ一つ乗りこえていきたい。大変だけど、自分達の選んだ道を信じて。前進のみ……。

 私の部屋の窓から見える山もずいぶん秋色に染められきた。季節の移り変わりは早いものだね。誰に教わることもなく、不思議だね。

私の住んでいる所は、とても自然が豊かでのどかな町です。私の大好きな海がすぐ側で、波を音が聞える。悲しいこと辛いことがあると、ふと散歩にでかけて、浜辺でひざをかかえその場で座りこむ。ただひたすら波の音を聞いているだけで、なぜか不思議と心がいやされ、安らぎをもらい、おだやかな気持ちになれる。小さな頃、お母さんに抱かれて眠っていたあの頃にタイムスリップするかのように……。

 優しく私を包みこんでくれる。犬のカツをつれて散歩は最高のリラクゼーション。眺めのよい部屋から望遠鏡でいろんな風景を眺めるのももう一つの楽しみ。いろんな家々が見えたり、かわいい小鳥がときどき遊びに来たり、美しい花が咲いていたり、心のごちそうです。

 この時期、山にでかけ、たくさんの秋の自然の恵みが実る。かきやくり、きのこにあけびなど。どれも私の大好物。特に栗ご飯が大好き。

 一番食べ物のおいしい時期でつい食べすぎてしまったり、太ってしまったり、体をこわさないよう気をつけてね。

 夜、秋の夜長。

 お風呂にゆっくりつかり、心身の疲れをとる。いろんな入浴剤を集めるのも一つの楽しみ。パジャマに着がえ、毛布をかぶり、あったかい一杯のココアを飲みながら本を読んだり、もの思いにふけったり、私だけの秘密ノートをつけたり、一日の中で一番大好きな大切なひと時。私が私であれる時。

 みんなはどう過ごしますか。貴方だけの過ごし方、秘密教えてね。

 またね、バイバイ。

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●文通番号12-07  「ありがとう」

スピカ 〔埼玉県上尾市 女 30歳 家事手伝い〕

(自己紹介として第1・3・6・8号を参照して下さい)。

 『模索の会』を去った人達がいる。単に仕事が忙しい人もいれば、何らかの感情のもつれで去った人もいる。人の集る所はトラブルは付き物、ソリが合わない人もいる。魅力的な人はみんな去っていく。いい人はみんな私から離れていく、さみしい。でも引き留める権利はない……。『会』を卒業出来できた人にこそお話しを伺いたいのに……。

 登らなければならないガケがある。下から見上げて、高く険しく恐ろしい。先に登った人からは導いてもらいたい、と思うのはわがままだろうか? または支えてあげられないだろうか? もっと早く『模索の会』に行けてたら……。

 『会』で中学の友人と再会した。あの人この人もっと話したかった人、もっと早く知り合って親しくなりたかった人が、たくさんいる。なぜ行けなかったのか? 『会』の存在を知らなかったのと、病が重くてほとんど動けなかったから。とても悔しい。

 せっかく会えても近づけない人がいる。恐怖で壊れそうなとき、「大丈夫だよ」と抱き締めてもらいたい人がいる。切ない。

 「うつだ」と言った電話に嫌な顔せず(?)長時間付き合ってくれた人達。「(私から)勇気をもらった」と手紙をくれた人、最近は私の方が励まされてる。そして、『会』で温かく接してくれた人達、直接いうのは恥かしいのでこの場を借りていっちゃいます。

 「ありがとう」

 手編みの相談受け付けます(老若男女・随時)。

 「編み方わからない」も「編んでくれ」」もOK(詳しくは第9号見てね、応相談)。

 えっ、センターで編み物教室? 受講料要るけど、希望者います?

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