社会参加支援の方法の取材を受ける

ある新聞社社会部の記者の取材を受けました。
引きこもり経験者の社会参加に、不登校情報センターはどのように関わるのかが取材のテーマです。
(1) ①家から出られないなどの状態には訪問活動、②出られるようになった人にはフリースペースに、③それに続くのが就業支援、この3つの段階があります。

(2) ③の就業支援に関しては、当事者の関心による方法と手段の違いがあります。(a)中心は不登校情報センターのスペースに来て作業をします。主にホームページ制作や文書入力です。作業をしながら対人関係づくりの訓練をし、将来を探る状態です。(b)そのほかに創作活動をする人がいます。文芸的なもの・絵画的なものの作品制作です。装飾品や日用品を作る人もいます。これらの人には作品発表の展示会と作品販売会の機会をつくります。これが不登校情報センターの役割です。しかしこの取り組みの到達状況はまだ初歩レベルです。
(c)今年になってから始めたことは、自営業的な方向をめざすものです。

(3) (c)の自由業的方向について、いちばん詳しく話しました。メイクを仕事にしようとする人、自営の整体師をめざす人がいます。訪問サポートをする人、パソコンの教師、編み物教師などが特徴的です。これらに共通するのは、対個人サービスの仕事です。これが引きこもり経験者のある割合に適合する職業であると確信できたのが今年の収穫です。
就職型の会社勤めは、社員間の人間関係が壁になります。ところがサービス対象の相手の人とはとてもいい関係ができるようなのです。その結果が自営業型の対個人サービス業です。
各人の性格や関心によってどんな職業を選ぶのかは任されます。営業や広報活動をする企画部を不登校情報センターが担当していくものです。

おおよそこのような方向を話しました。これが実情ですが、しっかりした道が整っているわけではありません。当事者と共にこの道をつくろうというわけです。それが仕事起こし、仕事づくりの社会参加の方法です。
新聞でどのように報道されるのでしょうか。それはたぶん数日後にはわかるでしょう。そのときはまたこのページでお知らせいたします。

通信制高校の宣伝に思う

インターネット上の広告に通信制高校を紹介するものが目に付きます。
不登校情報センターとしては悪い気はしていません。かつての不登校生や中退生の行き先がない状態からは相当に改善を感じます。
しかし心配もあります。誇大広告や根拠のないキャッチフレーズです。
「ナンバーワン」、「最適」を謳うところもありますが基準は不明です。
各学校の恣意的な宣伝文と考えられるものもあります。「卒業率100%」は一つの基準になりますが、その分逆に教育内容を評価する点では危うさを感じます。
生徒数、卒業者数、大学・専門学校進学者数と率、就職者数〈常勤的アルバイトを含む〉と率などが基準に考えられるのでしょうか。
一方、卒業生の45%が無業者になるという政府発表から見れば、卒業生の1年後の「大学・専門学校在籍者数+就職者数」を基準にするというのも考えられます。
広告業界的な基準がわからないだけに各校の慎重さに期待します。

新聞の取材と報道へのお礼

11月5日の読売新聞の取材と報道に関して思うところがあり、取材の記者にお礼の手紙を送りました。

読売新聞江東支局 様
先日は不登校情報センターの活動紹介の取材と告知報道ありがとうございました。
おかげをもちまして、11月6日の活動発表会には読者の方が多数参加されましたし、参加されないけれども不登校や引きこもりの子どもさんのいる家族から多くの問い合わせが続いています。

実は訪問サポート活動は、これまではほとんど新聞報道の対象にはなってきませんでした。それは不登校や引きこもりの親の会があまり新聞報道の対象にならないのと似ています。
「親の会に参加すれば子どもは学校に行くようになりますか」「訪問サポートは子どもを学校に行くようにしてくれるのですか」…という問い合わせがありますが、そういう気持ちがあると思います。要するに即決ではなく、まどろっこしい方法なのです。
新聞記者さんはそこまでは考えているとは思えませんが、何らかの反映をしているものと私は見ています。
今回、取材の過程を振り返り、訪問サポートはどんな意味があるのかを明確にしなくてはならないと改めて感じたところです。すぐに効果が出ないのであれば、どういう意味があるのかを提示しなくてはならないのです。
エネルギーを引き出すことです。家族以外の人と接触する、信頼関係のできる人はいる、そういう実際の体験をすることで人は心のうちに動き出す力がわいてくるのです。
このことを訪問サポートは不登校の子どもに対して働きかけているのです。再認識したところです。
取材と告知報道ありがとうございました。