“社会が障害者に近づく”状態にたどり着きたい

“社会が障害者に近づく”状態にたどり着きたい
「日本発達障害ネットワーク第7回年次大会」その2

「日本発達障害ネットワーク第7回年次大会」に参加し、発達障害に関わる教育、福祉等の取り組みの着実な広がりを感じました。ここまで取り組みが広がっている背景には母親たちの粘り強い運動の成果があると思います。しかし、就職に向けての取り組みをきいていると、社会への適応と就職できる状態に傾いている気がしました。
はじめに出席した「壁を避けずに乗り越えよう―テクノロジーを使って、学び、働く」講座などでは“社会が障害者に近づく”方向も提起されましたが、教育や就業支援の現場では“障害者が社会に近づく”あれこれの話で占められていたという思いがあります。それも現状ではやむをえない面もあります。

そうじゃない、“社会が障害者に近づく”方向を主張したいものです。だがそれには多様な方法での多くの実例が必要です。そうでなければ発達障害の当事者も家族も納得させることができません。障害者が社会に近づく道に納得しても、それは不条理な、自分には責任がない苦難の道です。
あれこれの取り組みを聞きながら、不登校情報センターを引きこもり(発達障害を含む)を経験した成人による安定的な経済単位として確立させたい思いを本当に強くしました。そういう実例がなければ、当事者は支援を受ける対象に向かうしか流れはできそうにありません。
他にも“社会が障害者に近づく”動きはあると想定しますが、私は自分の持ち場をそうしたいです。その動きがあちこちで生まれていなくては、学校や福祉の取り組みは、理念としては“社会が障害者に近づく”方向を認めても、日常の実践の主流は“障害者が社会に近づく”方法にならざるを得ないのです。
“実践優位による理論と実践の統一”を考えれば、実例をつくるしかない! でしょう。

発達障害の診断を臨床心理士に広げる感触

発達障害の診断を臨床心理士に広げる感触
「日本発達障害ネットワーク第7回年次大会」その1

「日本発達障害ネットワーク第7回年次大会」に参加しました。いくつかのことを比較的短いコメントにして感想とします。
日本では学生のなかで障害者が0.27%、アメリカは10.80%といいます。これを単純に比較はできません。日本でも大学が障害者の準じる処遇をしているのはこの2.5倍はいるそうです。そうしたからといって日米の大きな違いがなくなるわけでもありません。日本では大学がそうしているだけで、学生が診断を受けてはいないのです。日本の場合、大学が独自に処遇して大きく増えるのが発達障害者です。

これは発達障害者の診断をアメリカでは心理士がしている事情があります。日本は医師にしかできません。それが背景にあります。
ネットワークの年次大会での発言者は次のようの言ったはずです。“発達障害の診断を医師にばかり任せることはできない。日本の場合、臨床心理士の公的資格にすることが必要であり、その方向に進んでいる感触がある”。すなわち発達障害の診断を臨床心理士にも広げていこう、といっているように聞こえました。

さて私は引きこもりに関して、引きこもりの認定者を次のようにすることを訴えています。
引きこもりの判定基準を明示した上で「引きこもりの支援にかかわっている支援者、たとえば保健所保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、就業支援にかかわる専門職、地域若者サポートステーションの相談員、居場所(フリースペース・ワークスペース)の支援者などに、「引きこもり」を見立てる認定者の条件を持たせる」ことです(「「引きこもり」認定者を実情に合わせて設定」2011年6月)。
もちろん発達障害と引きこもりは違う概念ですから、私の主張をこれによってすぐに取り下げることではありません。発達障害者の認定に関しては、私よりもさらに慎重にして確実な歩みと言えそうです。注目すべき見解を聞いた気がします。

トップカウント件数50万件

不登校情報センターのウェブサイト・トップページのアクセス件数が50万件を超えました。この数字はおおよその動向を知る上の参考になるものです。
カウンターの設定は2004年11月21日、初めての公式サイトがほほできたときがこの日で、そこを起点にしています。7年間で50万件ということです。
最初の頃のアクセスは1日60、70件でした。その時期以降は年間おおよそ8万件(1日当たり200件あまり)になります。
今年2011年は、トップページの変更し、それ以外のページを大幅にWikiページに移行しています。カウントを考えるときにそれ以上に影響したことがあります。カウント表示の玄関ともいうべきところが実質的に複数できました。Wiki Futoko(Wikiのトップページ)、イベント情報、センター便りなどを入り口とし、正面玄関を通らずに中に入る人も多いように思います。今年のカウント数はトップページのカウントだけでは比較できなくなったということです。
50万件とはいえ実数を表していないものになりました。一応の参考です。