親の会「大人の引きこもりを考える教室」に初めて参加した人が「精神科に受診させたらいいのかどうかを迷っている」と発言しました。
「生活の中で症状や状態はどのように表われますか?」と聞きますと、人を怖がるところがあります。しばらく前に「あの人は要注意」と“予告した”人が公共料金を徴収しながら納めず、手製の領収書を持って来るようになってバレたことがありました。そういう人物を事前に察知したのに驚いたというのです。
引きこもっている人には感覚(視力や聴力などの感覚に加えて全体の雰囲気をとらえる力)が優れていることがあります。直観力はこの延長で見ることができます。
それが対人関係では裏目にでることも珍しくありません。考えすぎと言われ、過剰反応になることもあります。極端な場合は医療が必要なこともありますが、普段はそこまでの問題ではないです。けれども当人は自然に感じているので止めることができません。これらの感じる程度が強いこと、反応が敏感であることが対人恐怖の背景事情です。
対人不安、対人恐怖的な状態は引きこもりのかなり多くの人にみられます。それは自己防衛方法の1つです。人を見かけや雰囲気から小さな子どもが見分ける能力に似ています。
この分野で有名なのは森田療法です。カウンセリングの対応もあります。薬物療法は極端な場合になります。
私がめざす方法は、心を成長させることです。多くの人が成長過程で身に着ける方法です。体の成長が食べ物、睡眠、運動を重要な要素とすれば、心の成長は友達関係や社会的な経験が構成要素になります。友達関係づくりや社会的な経験を重ねる場の設定です。対人不安、対人恐怖に対して「心を成長させる」アプローチは教育的な方法といえます。友達関係や社会的な経験を重ねることで育てる方法になるから教育になります。
成長して自分を維持していく力(攻撃的なことを感じてもダメージを下げられる状態)がつけば、対人的なところでの防衛的なエネルギーを使わなくてすみます。それを「心が成長する」というのです。
「大人の引きこもりを考える教室」の第一の対象は引きこもりの当事者ではありません。当事者に有効と思えることを参加する親にも広げようとしています。各人の具体的な事情を聞きながら、共感と共通性をベースにして互いに学ぶ場になります。それで教室としました。