通信制中学校の記録映画『60年の空白を越えて』

夜間中学が注目されていますが、通信制中学というのもあります。
東京の神田一橋中学校と大阪の天王寺中学校です。
その神田一橋中学校を舞台とした映画の案内が届きました。
メーリングリスト「なくそう! 子どもの貧困ネットワーク」作者の太田直子さんが投稿したものです。
なお、中学校卒業程度認定試験というのも毎年、実施されています。

映画上映『60年の空白を越えて 通信制中学』
http://www.futoko.info/zzevents/2016/11/16/

ひきこもりが生活困窮者支援に解消され霧散してしまう?

来年3月予定の全国若者・ひきこもり協同実践交流会の準備に関わってきました。途中からの参入ですからあまり強いことを言うつもりはありません。
関わるなかで「当事者や現場の実践者の視点」を取り入れようと考えました。行政的視点、研究者的視点からの協同実践交流会になるかもしれないと違和感をもったからです。
ここにきてこの違和感の中心は浮かび上がってきました。全国若者・ひきこもり協同実践交流会はひきこもりを起点に考えられてきたと思ったのが、違うかもしれません。準備の中心は生活困窮者支援の活用に傾いてはいないか。
生活困窮者支援にはひきこもりへの対応が含まれます。それは前進であり、引きこもりと周辺の社会問題を統一的に取り組むのは理想的だとも考えました。ところが運動は生活困窮者支援に重点が動き、ひきこもり当事者の感覚とは別物になっているのではないかという疑念がわいています。
「発達障害やニートや貧困や震災被害などが発生するたびにひきこもりの問題は後回しにされている」。これは以前にあるひきこもり経験者がふともらしたことばです。そんな中で生活困窮者支援法になってようやくひきこもりが対象に入りました。直接かかわるうちのひきこもりの理解とか対応も向上すると予測しました。
しかし、そう簡単ではありません。ひきこもりが生活困窮者支援のなかに取り込まれ、そこに解消され、霧散してしまう雰囲気を感じています。ひきこもり経験者がふともらしたことばはいま私の感覚です。
連帯を拒むつもりはありませんが、ひきこもり当事者の根を置いた取り組みを心がけるしかありません。本音というよりは実感です。

10月26日午後に「周辺ニュースの記事集め」グループ会を開く

「周辺ニュースの通信員を募集」を呼びかけました(10月15日)。
その後でいくぶん活動が重なる「周辺ニュースのセレクター役」も考えました。こちらは業界紙、機関紙などから情報を集める役割です。メーリングリスト「なくせ! 子どもの貧困」からの情報は、主に新聞(全国紙,ブロック紙、県紙、タウン誌)ですが、それ以外の業界紙(教育新聞、農業新聞など)、機関紙(社会団体、福祉団体など)からも情報を集めたいと思います。どれほど集められるのかはやってみないと分かりません。
業界紙、機関紙といってもきわめて多数あります。その中では「ひきこもり・不登校の周辺」に取り込める記事は限られるでしょう。

ニュース好き、書くの大好きな人、歓迎します!
「ひきこもり・不登校の周辺」は、初めはある程度の広い範囲を扱いますが、徐々に収れんし絞っていけると予測します。ひきこもり、不登校、いじめ、ニート、発達障害に関することが中心です。それを取りまく子ども・若者、産業(就業)、教育、福祉(障害など)、医療・心理…等に分類される記事集めになる見込みです。
このメンバーを集めるために、「周辺ニュースの通信員」と「周辺ニュースの“セレクター”」を説明する場を設けることにしました。「ひきこもり・不登校の記事集め」グループ会です。情報集めに関心のあるニュース好き、書くの大好きな人なひきこもり等の経験者およびその家族を対象にする説明会です。
日時:10月26日(水)13:00~15:00
場所:不登校情報センターの事務所(江戸川区平井3-23-5-101、JR総武線・平井駅南口5分)。
参加者:3名程度(希望者が1名いましたら実施します)。特に不登校情報センターの会員を歓迎します。説明は松田武己、参加費は無料です。

〔周辺ニュースの「記事集めグループ員」〕
http://www.futoko.info/…/%E3%80%8C%E5%91%A8%E8%BE%BA%E3%83%…

さくら国際高等学校の『ラオスの学校(まんが)』

さくら国際高等学校から『未知なる体験 ラオスの学校(まんが)』の冊子が送られてきました。同校は1998年にラオスに学校をつくる計画をし、その過程をまんがにしたものです。今回の冊子はその増刷版で作者の森生文乃さんによると13年前に描いたまんがの加筆・修正版です。
冊子はA4版48ぺージ、内まんがは43ページ。まんがは日本語とラオ語(ラオスの国語)が併記され、ラオ語には読み方がカタカナで振り仮名がついています。ラオ語というのは隣国タイのタイ語と方言関係にあり、タイ語、タイ文字を知るテキストにできるかもしれません。
東京国際高等学園(サポート校)から出発したさくら国際高等学校が取り組む地に足の着いた国際的な活動として素晴らしいものです。

感覚の鋭さや感度のよさが不登校の基本的な背景です

中学3年生のPくんのお母さんが様子を話しました。それをめぐってしばらくあれこれ話し合います。ちょっと一段落した感じになったところで、私はこう話しました。

Pくんはこれまで闘って来たし、いまも闘っているんです。何にたいして闘っているのかというと風です。自然の風ではなく人から発せられるいろいろな感情や気分の風と闘っています。
多くの人はそういう風があるのを知らないように、やり過ごしたり、半分にして受けとめています。
しかし、Pくんはそのほとんどを受けとめてしまうんです。いろいろな人が発するいろいろな気持ちや気分をいっぱい受け止めてしまうんです。そういう感覚の鋭さや感度のよさがあります。
それを処理する力を付けようとしているけれども間に合わない。一生懸命に処理しようとしているけれども扱いきれない。フリーズに似ています。ここでちょっと休みたい、それがいまの不登校なんでしょう。
感覚の鋭さや感度のよさという言葉に隣にいたお母さんがちょっと反応して、「うちの子もそうでした。小さなころお医者さんからこの子の子育ては大変になるかもしれない」と言われたのです。
別のお母さんも「うちは保育園のころ同じようなことを言われました。でもそれって親はどうしたらいいのかはわからないのですよね」と続けます。
感覚の鋭さや感度のよさを持つことが不登校やひきこもりの背景にあるというのは、最も基本的な理由です。優れているために不便になっているのです。
この子どもたちにとってはその優れた能力を使いこなすための成長を遂げないと持て余してしまいます。そういう力をつけるために闘っているのです。そのために休憩を必要としているのです。
不登校の子どもを持つ親の会の場の状況です。この日の様子の一部を少し変えて報告しました。

出自の後の子ども時代の周囲との記憶が少ないと不安になる

ある記者Nさんから「中学時代から不登校になり、その後もひきこもり生活が長くなっている人」の話を聞いてみたいと言われました。問題意識を確かめてもわかりにくいのですが、私なりに解釈すると記者Nさんの言葉の中にある「帰属」になるかもしれないと考えました。
<学校という帰属がなくなることがどのような意味を持つのか、社会のありようまで考えるきっかけにしたい。まだ漠然としており、不登校の歴史とか現状とか、着眼点なども聞きたい…>と。

中学時代の不登校から始まり長期のひきこもり体験のあるTuくんに聞いてみました。訥々した話を思い切り要約するとこうなります。<余りにもわからないことだらけで何がわからないのかわからない。自分が世の中のどこにいるのかがわからない。何ができるのか、何をしたいのか、何をしなくてはならないのか、それらをどう表現すればいいのか、それらがわからない。>

これは何でしょうか。その日の夜、布団に入ってTuくんの話をぼんやりと思い返していました。最初に浮かんできたのは「ルーツ」というアメリカに奴隷として送られた黒人の子孫クンタ・キンテが自分の先祖を探す物語でした。次に戦時中に中国に残された“残留孤児”が連想されました。そして記憶喪失になって自分の名前もわからなくなった人の場合です。
人は今の自分(の帰属・所属)がわかるには周囲の人を見ても十分とは言えないようです。自分の出発点はどこなのか、来歴の記憶も必要としているのではないか。生まれた時点はわからないけれども、物心のついたときには、母がいて家族がいた。そこから自分の来歴が始まります。その来歴がさっぱりわからないと今いる自分の存在の根が見つからない、それが自分の帰属・所属の不安になり、確かめたくなるのではないか。「ルーツ」も残留孤児も記憶喪失もそうでしょう。

Tuくんの話は、その後に積み重なる子ども時代のことです。生まれた後の子ども時代の家族や子ども世界での経験です。ここに帰属感覚の次の源泉があると思います。生まれてからの帰属感覚の源泉につながる順序や内容はそれぞれでしょうが、積み重なって人間の現在をつくるのではないか。これが人になること、人格の形成ではないかと思いました。
Tuくんの場合は中学時代の不登校以来の経験不足が、対人関係、社会関係、社会生活に必要な知識や技術の少なさになっています。子ども時代に学校やそれに代わる子ども世界の経験が少ないことは、この蓄積の乏しさであり帰属意識をつくりづらくしているのではないか。その不安感やつかみどころのなさが、Tuくんの話の「わからない」に示されていると思いました。

映画監督の山田洋二さんがどこかで話していたことです。
子ども時代の風景は強い記憶として残るもので、この記憶が残っていることは人として大事ではないか。正確ではないけれどもこんな趣旨です。
私も子ども時代に住んだ町や海辺の風景が鮮明に残っています。その意味で山田監督のいうとおりですが、それがだれにも通用することなのかは確信できないできました。
子ども時代の風景さえも人が自分の存在と帰属意識(感覚)を形づくる、それに影響していると考えてもいいのでしょう。

周辺ニュースの通信員を募集します

不登校情報センターは、今年になってからメーリングリスト「なくせ! 子どもの貧困」に送られてくる新聞記事を「ひきこもり・不登校の周辺ニュース」として系統的に集め、サイトに掲載しています。福祉の関係が比較的多く、全体では500件を超えました。メンバー個人から寄せられる催し物案内は「イベント情報」ページに掲載しています。
さらに充実させるために、不登校・引きこもりの当事者、家族および支援者による通信員を設け、継続的に支援団体の見聞記事として掲載します。
その基本を次のようにします。
(1)支援団体の助けになる動向を通信員から直接に集めます。情報はできるだけ公平性を期し、批判的であっても攻撃的にしないことです。情報の範囲は、不登校、引きこもり、発達障害とそれに関係する周辺の団体や学校・塾などの様子、取り組みです。
(2)サイトに掲載する記事の最終責任は不登校情報センターとします。
掲載する情報は原則として文字情報で500~600字とします。記事とは別に団体等の名称、代表者、所在地、連絡先(電話、FAX、メールなど)を付けます。将来的には写真の掲載も視野に入れます。
(3)不登校情報センターは通信員制度の事務局を務めます。通信員は、原則として本名以外の通信員名をつけます。通信員名は本人が提案し、事務局の承認を受けます。
(4)ほかにも考えることがいくつかあります。関心のある方は連絡をください。

〔ひきこもり・不登校の周辺ニュース〕
http://www.futoko.info/…/%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%B4%E3%83%…

廃棄物処理の現場における就労支援のリアル

廃棄物処理の現場にひきこもりの経験者を誘っているエンジさんの話は絶妙です。長くひきこもり、仕事に就く前に社会に入るのが大変な状況の人にたいして雇用する側の人に参考になると思います。
ひきこもりの経験者に対人訓練を重ね、好きと思える職業上の技術や知識を習い、バイト(またはボランティア)などの中間的な仕事体験をして、徐々に生活サイクルの中に“働く”という要素を持ち込んでいく…こういうプログラムの難しさや危うさとは別の道を教えてくれます。
ひきこもりから就職に向かう前に、履歴書をどう書くか、面接の心得や予行練習…などがいかにハードルの高いものか(決して否定するつもりはありませんが)、それをいかに段差の低いものにするか。
仕事に誘うエンジさんはひきこもりの経験者です。その彼が廃棄物処理の現場で働きながら、そこで働くひきこもり経験者をメンバーとして募集しています。
さて行きがかり上、Oさんの就職面接に同席しました。Oさんが仕事に就く現場にも出かけ様子を見、一緒に働く先輩社員との関係や仕事内容について緩和役をします。
会社の方はこのあたりの役割をどれほど意識しているかはわかりませんが、結果的には受け入れています。社員の多くは60代以上で、若い人(40代でも十分に若い!)を募集しても入ってきません。働くのに特別の資格はいらないし、扱う商品は廃棄物、すなわちゴミですがこれは都市資源になり、利潤率は低くはありません。儲かっている業種です。
働く人にはバイトであっても健康保険、交通費の支給などの条件は整っています。労働内容はそれ程つらくはない(現場によって状況は違いますがひどいところはありません)。くさい、汚い、給与は安い、休みが少ない…というデメリットはありますが、概して労働条件は悪くはありません。

エンジさんはレポートを書いてきました。全文を公表するのは適当な時期を待つべきでしょう。こういっています。
「実際に社会と接点がない方々が実際に社会に出て労働をするという流れにおいては、今後の超高齢化社会における日本の示す方向性のヒントになるのではないか。
からだの動く働き盛りの若者および中高年がこれほどいて、かつ企業側は人材不足を叫ぶのであれば外国人に頼るのではなく、社会と接点のないからだのまだまだ動く人の力を借りる整備を国および支援機関そして企業が三位一体となって行うべきではないでしょうか」
1つの例ですが、特殊というだけではなく国の政策、雇用する企業の取り組み方を考える材料があり、参考にできるでしょう。ひきこもりの人が“異議申し立て”をしている社会を変えていく方向が隠されています。
次の廃棄物業界の現場で働くエンジの話を聞く会は11月15日(火)です。

〔ゴミ置き場管理人エンジの日常〕
http://ameblo.jp/jfdsajfdsa/

保健所における相談・訪問・家族会の広がり状況

不登校情報センターは数年前から、保健所などの公共機関がひきこもりにどのような対応をしているのかをアンケートの形で調査してきました。さいわいかなりの公共機関から回答をいただいています。
来年3月予定の全国若者・ひきこもり協同実践交流会には居場所、訪問、相談について可能な企画提案をしたいと考えています。その材料としてまず保健所の状況をまとめました。回答をいただいた保健所は130か所あります。
保健所は従来から精神障害への保健師の訪問を含む対応をしてきました。保健師はそのために精神保健分野の研修を行い、それが今日の精神保健福祉士の資格制度につながったと理解しています。その対応の延長がひきこもりや発達障害への保健所の対応になっているのです。
それがひきこもりへの対応に自然につながった所もあるし、また精神障害への対応の色合いを残しているとも感じる所があります。
また精神保健福祉センターとの領域分担のしかたや、さらには発達障害者支援センタ-の設立による発達障害領域の移管により、現在は移行期のいくつかの状態が表われています。

〔保健所におけるひきこもりと発達障害への対応形態の調査〕
http://www.futoko.info/…/%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%89%80%E3%81%…

Skypeを使い国際的なゲーム交流会

昨日のゲーム交流会はちょっと変わったことをしました。
Skypeを使い、オーストラリアのグラハムくんにも参加をしてもらいました。
こちらには7名が席に着き、Skypeを通してグラハムくんに会場を伝えます。グラハムくんには自室から画像を送ってもらいました。
こちらに映るパソコンの画像は小さいので、プロジェクターを使い、拡大画像をふすまに映します。
ゲームではカードは使えません。3種類のゲームをしました。言葉によるもので、1問目はiPhoneとアンドロイドを話すものです(ゲーム名は忘れました!)。
3問目は、うろ覚えですが「日本国内の地上波TVで放映されたジブリ作品の総数はいくらか?」を答えます。正解というよりも各自が見当(あてずっぽう)で答え、中央値の人が100点、最大と最小に人が-50点です。このような問いを10問出して合計点数を競うものです。これもゲーム名を忘れました、というよりは聞いていない! このような会話によるものはSkypeを通してゲームができます。実験成功ですし、けっこう楽しめました。
ボードゲームになると場に参加する人の手元を映せばできるでしょうが、もう一台カメラが必要になります。できそうなものもあります。カードゲームでもほかの人に中身を見せないようにSkypeで送ることができればできそうですが、この日は実験できません。
台湾出身のRさんも参加し、internationalなゲーム交流会ができました。
来月は11月12日(土)午後4時からです。