IT技術者Tさんの話から

IT技術者のTさん=20代後半が“見学”に来ました(10月25日)。
Sさんが「てらネット」で知り合い、来るように誘ったことによります。
ITに関係する技術的なことをいくつか聞きました。それ以上に、彼が現在は飲食関係の仕事でバイトをし、しかも仕事時間が短くなって十分な収入がない状況を知りました。どうすべきか迷っていて、第2のバイト先を探しているようです。
IT関係の技術はどんどん進んでいきます。その仕事に就いていないことがますますIT技術を生かす仕事に就きにくい条件になります。
これは彼の問題ですが、日本の多くの青年の状況でもあります。日本社会が人を育てる社会的な条件を失っているとはこのようなことです。即戦力を求めたこと、むしろ求めすぎたことが技術を持ち社会を支える人の層をすり減らしているようです。
Tさんには、「生活するために働く条件をつくること」とともに、自分の環境条件において、特に好きな分野のIT技術を生かし、伸ばせる形を提案しました。パソコンがあればそれはある程度可能ですし、不登校情報センターのウェブサイトもそれに役立てることが出来るかもしれません。
帰るころになって社交辞令でなくTさんから「今日は参考になりました」といわれ、こちらが思っている以上に彼が行き詰まり感を持っていたと感じさせました。それは「てらネット」からつながりが出来たことですでに感じていたことですが…。

なおTさんの話しを聞きながら、社会からの“避難方法”として引きこもっているように見える人の姿も考えられる気がしました。これはまた別の機会にします。

引きこもり親の会11月例会

いくつかの場において改めて、引きこもる子どもと親の関係を考える機会がありました。
そこで新小岩親の会の11月例会(11月13日)にはこの点を少し話そうと思っています。
「親の気持ちがなぜ通じないのか?」として、引きこもる子どもはなぜ外に出ないのか、人と会わないのか、仕事に就けないのか…。一方、子ども=当事者の側から見れば、なぜ親はわからないのか、理解しようとしないのか…。そして、どういう親子関係、家族関係が求められるのか、を考えてみます。

親の会には通常は数名の当事者も参加します。参加する親側のことが中心になります。そういう具体的なことを当事者の体験や意見を挟みながら具体的に考えます。

日時=2011年11月13日(日)13:00~16:00。
場所は不登校情報センターの事務所(JR総武線「新小岩」南口7分)です。
参加費=会員外1500円、会員500円。当事者は無料。初めて参加される方も歓迎いたします。

引きこもり“後遺症”の現象

長期の引きこもり経験者のなかに、週5日のフルタイム就業が困難と訴える人がある割合でいることを何度か書いてきました。それに関して対人関係・社会性の停滞だけではなく身体的な成長の停滞を招いているためではないかと推測を書きました(10月11日の「身体的成長も停滞してはいないか」)。
その続きです。
個人の状態像として「集中力がない、継続力がない」のが一般的なものと思います。作業をしていると「神経が衰弱するような感覚」と表現できるようです。
その疲労感を表現するのは難しいようで「勉強した後や運動した後の疲れとは違うもの」といいます。
10分や20分の横になる休息では回復せず、ある程度の仮眠をしてようやく作業を回復できる気分になるとのことです。
思春期や青年期前期において身体的成長が停滞する中心点は、神経系の成長に関わるのではないかと感じています。これが長期の引きこもり経験によるものではないかと観察します。

もちろんなこれは推測の域を超えるものではありません。その上さらに不明な点があります。私は、引きこもり経験者の多くが可能な就労状態をハーフタイム労働と名づけてきました。それは主に3つのパターンがあります。
(1)1日2~4時間、週5日の就労をつづける。
(2)1日7時間、週2~3日の就労をつづける。
(3)数か月間のフルタイム就労とその後の数か月間の無就労状態をくり返す。

この3つのパターンとの整合性が必ずしもうまくありません。特に(3)項がそうです。
原因と結果がまったく合わないとは思えませんが、十分に説明できないと考えられるのです。
この3パターン以外にはないのか、このようなパターンわけが適しているのかを含めて検討すべきものがあります。
そんなわけで調査し、より真実に近づきたいと希望しています。協力者が現れるのを期待するゆえんです。