数学教育の実践者で、自由の森学園の設立者の一人である松井幹夫先生が2月4日なくなりました。
私が特に関わったのは、出版社の編集者の時代です。『たのしくわかる小学校4年生』を執筆していただきました。『たのしくわかる』シリーズは、算数の小学校1年生から6年生までをつくることになっていました。全体の監修者は銀林浩先生で、松井先生はそのうち4年生を担当されました。
ちょうど30年前のことです。中央線の吉祥寺駅から夜の井の頭公園を横切り、先生のご自宅によく通いました。当時はまだ明星学園の中学校教師をされていました。
テストをしても点数をつけず、どこが間違い、どう考えるのかを教える機会にしていました。そういう教育実践上の話に終始して、肝心の原稿の執筆については何も話さないで戻ることもよくありました。
ご自宅を作るのに直角の立体系ではないので、模型を作ってその変則的構造を大工さんに説明したという話も聞いたように思います。
そのころから新しく高校を設立するつもりであると聞きました。それが自由の森学園高校ですが、設立後は教頭先生になり、10年ぐらいしてから学園長を勤められました。
私は正式な教育学というものを学んだことはありません。学校教育の実践者から教育を勉強させていただきました。松井先生もその一人です。