「薬物削減カウンセラー」の行方?

「私はなかば冗談ですが「薬物削減カウンセラー」になろうかと考えています。たぶん薬事法とか医療諸法に抵触しないと確信すればそうしたいと思います。薬物の服用は、短期的な効果を求めて長期的・基本的な目的を見失っていると思うからです」。
4月11日のブログでこんなことを書き、ある方にその趣旨について尋ねました。
<これまでも何人かの人に、薬を減らすように担当医に相談してみたら…、そのお医者さん薬が多いと思いますが…、こんな話をしたことがあります。
自分で強引に服薬をやめた人もいます。かなり大変だったようですが、自分なりに工夫をして(自己カウンセラー療法とでもいいましょうか)いまは薬がなくても安定している状態と見受けられます。相当の人が少なくとも現状の服薬状態は不要であると思います。薬物削減を系統的に勧める手段があってもいい、それを私なりに試してみようと考えたわけです。
問題は長期に服薬している人に継続的に薬を減らすように勧めることです。その法的な問題でわかることがありましたら教えていただけませんでしょうか。>

いただいたお返事の趣旨は次のとおりです。
<やはり基本は医者のアドバイスのもとに減薬を進めることになります。悪化した場合の責任が一方的に向けられるからです。
問題は本人ではなくその家族です。本人は薬を嫌がって減らしたくても、家族がそれを許さないというケースがあります。「医者ではない人の無責任なアドバイスで薬を止めて悪化した!!」と大騒ぎされかねません。
ですから「医学的なアドバイスをするな」が鉄則となっています。訴えられる危険性があるとしたらその部分です。
ただ、松田さんのご意見には全面的に賛成です。多くの人々が単に減薬、断薬できるだけでものすごく回復するでしょう。減薬を本当に指導できる医師がほとんどいない現状では、多くの患者が袋小路にはまっています。
松田さんが単独で「薬物削減カウンセラー」となるよりも、医療機関と連携するという形をとった方が安全だと思います。>

地道な啓蒙活動をつづけ、医学・薬学上の大きな変化を待つしかないようです。医療機関との連携は、現行の医療保険制度のなかでは心細いかぎりです。

シンポジウム内容に質問あり

「シンポジウムで聞いてみたいこと」(4月16日)に対して、およそ2傾向の質問・疑問が寄せられています。
(1)一つはシンポジウムの形式として、予定した質問に答えるよりもまずパネラーが話して、それに会場の人から質問を出してもらい答えていく方式がいいのではないかというもの。
(2)もう一つは用意されている質問の意味がよくわからない。答えるとしたら難しいのではないかというものです。
まずは(2)の質問内容の意味がわからない点に少し立ち入ってみます。

質問(3)「人との関係づくりで自分にとって必要なことはなんでしたか」。
私が聞いた実例を一つ紹介します。
「みんなからも好かれるようにしてきた。あるときこの人ならいい友達になれそうな気がする人がいた。実際にその人とはいまはいい友達になったと思います。向こうはどう思っているかはわからないが。結局、“みんなと親しくしなくてはならない”と自分を縛っていたように思う。それが自分を引きこもりにしたのではないか。全員と親しくならなくてもいい、ただ気の会う人と親しくすればいい」。
人との関係づくりで自分の経験したなかで大事だと実感する自分の実例を紹介してください。

質問(4)「1対1の人との関係から複数の人と関わるようになったのはどんな状況ですか」。
特に男性の場合、気分を楽にして話せる人が数人いると自分の状態を話していく中で自分自身の特徴を理解することがあるといいます。はじめは友人が1人できるところから始まりますが、次の一人、さらに次の一人と知り合いになるのに初めの人とはまた違う小さな壁を感じるようです。それを聞いて見たいと思いました。初めにできた人の友人知人関係により広がったとか、別のきっかけにより友人関係が広がったということを話してもらえれば…。

質問(5)「相談者や支援者といわれる人との関係では何が大事だと思いますか」。
支援者・相談者とは話せるようになるけれども、その居場所に集まる同世代の人とはなかなか話せない状態がはじめのころは多いものです。
自分と支援者の縦関係はできるが、同世代の当事者との横関係はできにくい、と言われるものです。
この状態を改善するにはいろいろな面の対応が必要ですが、それを引きこもり当事者と支援者の関係で考えてみようとする質問です。

質問項目(7)と(8)は、同じと見て間違いないでしょうか?
<質問(7)「これまでの仕事体験で、残念ながらやめざるを得なかったものはありませんか。なぜやめざるを得なかったですか」。
質問(8)「職場体験のなかで、日常の仕事以外の付き合い、派閥的なこと(仲間やグループ)への参加はどうしていたのか、上司との関係、お客さんとの関係などでうまくいったこと、苦手なこと、切り抜ける方法などはありませんか」。>
人によっては同じことを答えることになると思います。仕事を続けていく上での障害は職場の人間関係が多く、その実例を挙げると(8)項目の質問内容のことがあるからです。
これは質問の仕方を工夫しましょう。

質問(9)「引きこもり状態から抜け出るときにできた人間関係はいまも生きていますか」。
引きこもりから抜け出るときとは友人関係ができるときと、だいたい同じことです(家から外に出ることではなくて)。
時間がたってかなり動ける、特に仕事につくようになると物理的にそのはじめにできた人との関係が少なくなっていきます。
それでもメールや電話で連絡しあい、時には会っていると気分が転換できて助かる…そういう話をよく聞きます。そういうものはないでしょうか。

質問(番外)「一番肝心な「親との関係」にまったく言及されていません」。
<ひきこもりが社会に出るにあたって、一番大事なのは、やはり親との関係だと思います。
すべてのひきこもりにとって、親子関係は決定的に大事です。会場に来る親御さんも、必ずそれを訊いてきます。親子関係に関する話を、絶対にするべきだと思います。>
これは提案として、親・家族の関係の質問事項を考えます。

* シンポジウムの形式についての答えはしばらくお待ちください。
答えというよりはどういうシンポジウムにしたらいいのか、上記の質問事項の変更を含めて考えてみます。