このブログ10月16日付「感覚の鋭さや感度のよさが不登校の基本的な背景です」の続きです。次のように書いたところです。
<感覚の鋭さや感度のよさという言葉に隣にいたお母さんがちょっと反応して、「うちの子もそうでした。小さなころお医者さんからこの子の子育ては大変になるかもしれない」と言われたのです。
別のお母さんも「うちは保育園のころ同じようなことを言われました。でもそれって親はどうしたらいいのかはわからないのですよね」と続けます。>…
幼児期に子育てが難しいと言われました。なぜ難しいのかは聞いた人も聞かない人もいたようです。なぜ難しいかの理由は「子どもの感覚が鋭く感度がいいのでいろいろなことによく反応する」ためです。それは細かなことに心を動かしやすいとも言えますし、それに疲れ果てて無反応状態になりやすいためでもあります。この点はここまでにします。
「親はどうしたらいいのかわからない」というのが主な点です。
幼児期の子どもであれば、子どもを信頼してかわいがることでしょう。特別にあれこれ細かく教えることはいりません。いろいろなことを感じる、それは子どもにとって避けられません。「気にしなくていい」と言われた人がいます。それはそういう感度を持たない人かそういう時期を自分なりに乗り越えてきた人のように思います。
感度がいい人には、感度が普通であるとか感度の低い人の状態はわかりません。比べようがないので自分が普通であると思うだけです。「気にしなくていい」を真に受けて気にしなかったために裏目に出た人もいます。そういう他の人の感度で自分の受けとめ方の尺度を決めるやり方は上手くいきません。
親にもそれらは判断しづらいことです。いろいろあっても子どもを信頼して感じたことには子どもなりの理由があります。それを信じて肯定することです。幼児であれば「そうだね」「~ちゃんはよくわかるね」と肯定してあげるのがいいのです。
子どもが学齢期になる、思春期になる、20代になる…年相応の対処はありますが、対応の基本は同じです。子どもを信頼して、尊重すること、話を聞く機会があればできるだけよく聞くことです。不登校や引きこもりを経験した子どもには感覚の鋭さや感度のいいことが背景理由にあることが多いのです。
親にできることは、子どもに代わって子どもの進路を探すことではありません。情報の提供はしてもいいし、相談的なことには答えるのがいいと思います。それを超えて子どもがすることを子どもに代わってしないことです。そうした場合はある時点で「自分が選んだことではない」ということを言われます。
「でもあの時は同意していた」と言う方もいますが、そのときは「Noと言えなかった」とか、その時点での押しつけに子どもは逆らえなかった証拠でしかありません。この面もいろいろありますが、ここで止めます。
もう一つの面もあります。ある程度成長した子ども側はどうするのかの点です。「本人はどうしたらいいのか」もよく聞かれたことです。
自分という人間、感覚の精度が高い自分をよく理解することです。そして「自分で自分を育てる」ことです。この2つの面を並行して進めることです。この点もまたいずれ話す機会があるでしょう。
「不登校」カテゴリーアーカイブ
感覚の鋭さや感度のよさが不登校の基本的な背景です
中学3年生のPくんのお母さんが様子を話しました。それをめぐってしばらくあれこれ話し合います。ちょっと一段落した感じになったところで、私はこう話しました。
出自の後の子ども時代の周囲との記憶が少ないと不安になる
ある記者Nさんから「中学時代から不登校になり、その後もひきこもり生活が長くなっている人」の話を聞いてみたいと言われました。問題意識を確かめてもわかりにくいのですが、私なりに解釈すると記者Nさんの言葉の中にある「帰属」になるかもしれないと考えました。
<学校という帰属がなくなることがどのような意味を持つのか、社会のありようまで考えるきっかけにしたい。まだ漠然としており、不登校の歴史とか現状とか、着眼点なども聞きたい…>と。
中学時代の不登校から始まり長期のひきこもり体験のあるTuくんに聞いてみました。訥々した話を思い切り要約するとこうなります。<余りにもわからないことだらけで何がわからないのかわからない。自分が世の中のどこにいるのかがわからない。何ができるのか、何をしたいのか、何をしなくてはならないのか、それらをどう表現すればいいのか、それらがわからない。>
これは何でしょうか。その日の夜、布団に入ってTuくんの話をぼんやりと思い返していました。最初に浮かんできたのは「ルーツ」というアメリカに奴隷として送られた黒人の子孫クンタ・キンテが自分の先祖を探す物語でした。次に戦時中に中国に残された“残留孤児”が連想されました。そして記憶喪失になって自分の名前もわからなくなった人の場合です。
人は今の自分(の帰属・所属)がわかるには周囲の人を見ても十分とは言えないようです。自分の出発点はどこなのか、来歴の記憶も必要としているのではないか。生まれた時点はわからないけれども、物心のついたときには、母がいて家族がいた。そこから自分の来歴が始まります。その来歴がさっぱりわからないと今いる自分の存在の根が見つからない、それが自分の帰属・所属の不安になり、確かめたくなるのではないか。「ルーツ」も残留孤児も記憶喪失もそうでしょう。
Tuくんの話は、その後に積み重なる子ども時代のことです。生まれた後の子ども時代の家族や子ども世界での経験です。ここに帰属感覚の次の源泉があると思います。生まれてからの帰属感覚の源泉につながる順序や内容はそれぞれでしょうが、積み重なって人間の現在をつくるのではないか。これが人になること、人格の形成ではないかと思いました。
Tuくんの場合は中学時代の不登校以来の経験不足が、対人関係、社会関係、社会生活に必要な知識や技術の少なさになっています。子ども時代に学校やそれに代わる子ども世界の経験が少ないことは、この蓄積の乏しさであり帰属意識をつくりづらくしているのではないか。その不安感やつかみどころのなさが、Tuくんの話の「わからない」に示されていると思いました。
映画監督の山田洋二さんがどこかで話していたことです。
子ども時代の風景は強い記憶として残るもので、この記憶が残っていることは人として大事ではないか。正確ではないけれどもこんな趣旨です。
私も子ども時代に住んだ町や海辺の風景が鮮明に残っています。その意味で山田監督のいうとおりですが、それがだれにも通用することなのかは確信できないできました。
子ども時代の風景さえも人が自分の存在と帰属意識(感覚)を形づくる、それに影響していると考えてもいいのでしょう。
通信制高校の新しい傾向
この25年間の通信制高校の質と量の変化には大きなものがあります。
不登校生や中退生を積極的に受け入れることによって、それまでの通信制高校とは大きく変わりました。特に広域通信制高校(82校ある)はその中でも大きな役割を持っています。
通信制高校の数も3倍ぐらいに増えましたし、その周辺にある学習センターやサポート校を入れると千校を超えると考えられます。…
その一方では旧来型の通信制高校のいくつかが姿を消しました。
もうひとつ新しい傾向があります。通信制高校が不登校生や中退生の受け入れに限らない性格を持ってきている点です。
数年前にある通信制高校から、不登校情報センターのサイトから削除してほしいという依頼がきました。それまでは通信制高校は不登校生の受け入れ先として先方から個別の紹介情報がない場合も、都県単位のところには学校名と所在地や電話番号だけは掲載していました。申し出はこの掲載の取り下げでした。
同じ事態が続出とはいえませんがその後もいくつかありますし、各校の個別紹介の情報提供があまり増えない理由とも考えられます。
その1つの理解のしかたはこうです。不登校生や中退生の受け入れに限らない通信制高校の方向を意図的にめざすものです。以前はスポーツや芸能活動をする生徒の受け皿的なものかと考えていたのですが、さらに一般的な生徒を受け入れようとしているように感じられます。高校卒業資格の取得という目標を超えて、大学進学を目標とする通信制高校もすでに生まれています。
もちろんこの動きは通信制高校の動きの中ではわずかなレベルだと思います。しかし、時の経過とともに大きくなっていくと予感します。
〔通信制高校群の拡大と広域通信制高校=2014年4月16日〕
http://www.futoko.info/…/%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%88%B6%E9%AB…/
YouTubeで自殺防止キャンペーンに参加したZくん
25日にかつしか区民大学「当事者が語る不登校」がありました。壇上に並んだ3名の不登校経験者の一人Zくんが、司会の奥地圭子さん(葛飾シューレ中学校校長)に促されて発言しました。
Zくんは、9月1日の自殺防止のキャンペーンに参加しました。十代のこの世代がよく見るのはYouTubeではないか。そう思ってYouTubeを使いこの取り組みに参加したのです。夏休み明けは子どもの自殺が多い傾向を見て、いろいろなところが取り組みをしています。Zくんの参加は動画発信によります。
これによる効果がどれだけなのかはわからない、報道関係のいろいろなメディアが取材に来て、それが報道されて関心が高まったのではないか、というのがZくんの感想です。
私にとっては予想外のときにその話が出てきたので、その発言が私の探していた内容に照応すると気づいたのは、後になってからのことです。
ネットやSNSを使って、不登校や悩んでいる同世代の子どもに働きかけている一人が目の前にいたわけです。休憩時間になってから、Zくんに私の意図のほんの概略伝え、このあとどうすれば連絡できるのかを確認しました。
「全国若者・ひきこもり協同実践交流会」を準備する実行委員会の場(9月17日)で、私は「ひきこもっている人にネットを使って働きかけている実践者がいたら発表してほしい」と、提案したのですが、Zくんはその有力候補になりそうです。
9月25日の「当事者が語る不登校」は、かつしか子ども・若者応援ネットワークと葛飾区教育委員会生涯学習課主催です。事前の申し込みよりもかなり多い参加者が会場の葛飾区亀有地区センターのホールに集まりました。
不登校生が学校を相対化し徐々に変えてきた
9月4日に「中高受験相談会」(東京都足立区)がありました。多数の学校から学校の案内パンフを預かりこの会場で配布しました。その各校に報告をしましたが、状況報告として次の感想を書きました。
今回の進路相談会は主に一般生徒のためですが、そういう生徒のなかにも通信制高校やサポート校に関心を寄せる人がいました。「通信制高校と不登校の関係がわずかずつ下がっている」―これが感想です。不登校傾向はさらに広がり一般生と重なる部分が多くなり、「不登校」とは別の言葉で表した方がいい生徒も出ています。…
学校の集団の中で勉強するよりも一人の方がしやすい、という生徒もいました。この生徒は不登校というよりも“選択登校”とでもいったらいいかもしれません。進級や卒業に最低限の登校をすればいい、本当はそれだってしたくない程度の気持ちでしょうが、そういう生徒もいました。きわめてまれな例だとは思いますが、象徴的です。
私はかなり昔に「不登校生が新しい教育と教育制度をひらく」という意味のことを書いたことがあります。
今回目の前にしたことには、これに相当するものがあります。初めは例外として、形のはっきりしない不安定なものとして生まれ、それが徐々に制度としても確立していくのです。人間に必要な教育において、これまでの学校制度が相対化されてきたのです。まだ端緒的なところですがさらに進んでいくでしょう。
一般生徒が参加するこういう場では、不登校生中心の進路相談会とは違ってこういう体感もします。社会の大きな変動はまずは子どものところで表面化し、不登校とはその現象であったといえるのです。
〔登校拒否は教育と社会をゆるがす=1993年〕
http://www.futoko.info/…/Center:1993%E5%B9%B42%E6%9C%88%E3%…
「未来マップの受験相談会」で学校案内パンフを配布
あす9月4日は「未来マップ 中高受験相談会」の日です。
主催は未来マップ事務局で、不登校情報センターは「不登校などの相談コーナー」担当として参加します。松田武己と訪問部トカネットの藤原宏美さんが相談員になります。会場は足立区北千住のマルイ11階、午前11時から午後4時までです。
私が準備したのは2点です。…
1つは不登校生や中退生を積極的に受け入れる学校の案内パンフを配布できるように多数集めました。正式には20校の案内パンフが集まりまいたが、以前から預かっている学校もありますので50校以上になります。
もう一つは、会場で配布する相談コーナーの案内資料をつくりました。これは8月の葛飾区の進路相談会でも配布したものの改訂版です。なぜ通信制高校が不登校生を受け入れられるのか。これは昨年のこの相談会で改めて説明する意味があると感じたところです。見開き2ページのなかに11項目の用語説明を短く正確に書き改めたつもりです。昨年版よりはよくなったと思います。
〔高校はこんな学校・教育制度が関係します〕
http://www.futoko.info/…/%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%88%B6%E9%AB%…
秋の不登校・生活・進路相談会
2学期が始まりました。
来春の高校進学が近くなり、高校も動き始めました。
特に不登校の中学3年生の高校探し、不登校状態の高校生の転校先探しなど、親子ともに選択の時期に入ります。
状況には多くの面がありますが、それらを含めて「秋の不登校・生活・進路相談会」とします。
9月18日(日)13:00~15:00
10月10日(祝日)13:00~15:00
11月は未定
場所:不登校情報センター(JR総武線平井駅南口から5分)
東京都江戸川区平井3-23-5-101(普通の民家です)
TEL:03-5875-3730
FAX:03-5875-3731
メール:open@futoko.info
相談は、松田武己(情報センター代表)、藤原宏美(訪問サポートトカネット)など。
定員:5名(1人だけでも行います)。
参加費:500円。
9月4日(日)北千住マルイで「未来マップ 中高受験相談会」
日本インターネットスクール協会主催の「未来マップin 北千住 中高受験相談会」が9月4日に開かれます。会場は足立区北千住のマルイ10階シアターテンです。時間は午前11時~午後の4時(10時30分開場)。
不登校情報センターはこの取り組みの協賛団体であり、また「不登校生等の相談コーナー」担当としてこの会に出席します。訪問活動をするトカネットの藤原宏美さんも一緒に相談(兼会場案内役?)を担当します。
都内の公私立の高校を中心に多数の学校が説明・相談のブースを開きます。昨年の参加者は500名という大規模なものになりました。今年も同規模のものになりそうです。…
不登校情報センターは、個別相談のかたわら、学校案内パンフを展示します。不登校の中学生・高校生や高校中退生を受け入れる学校紹介パンフを持ち帰ってもらうためです。昨年はこれがかなり好評でした。不登校生の行ける高校情報はまだよく知られていません。案内パンフの展示希望は不登校情報センターに至急連絡お願いします。TEL:03-5875-3731,メール:open@futoko.info (未来マップの件としてください)。
その準備として案内パンフのない学校に連絡をとるこの数日です。学習の遅れ、発達障害、メンタルフレンドの相談もあると思います。
会場で配布する相談コーナーのチラシには「通信制高校と連携校の平易な説明」を書きました。“全日型通信制高校”、“通学型通信制高校” というのが重要な不登校生の受け入れなのですが、なぜそれが可能なのかを簡略に説明しています。
〔未来マップin 北千住〕はこちら
http://miraimap.asia/
進路フェアで配る「相談コーナー」案内をつくる
そのなかで8月6日の「かつしか進路フェア2016」の説明がありました。
ネットワークとしては昨年に続き「相談コーナー」の一部を担当します。当日は2500名を超える参加者です。昨年はそれを聞いて前日に急きょ案内資料をつくって配布したのですが、今年はもう少し準備したいと考えていました。
この全体会の場で、A4版4ページになる「相談コーナー」の案内を提案しました。20日にこの進路フェアの準備会があるので、それに間に合うよう帰ってからその案内(試案)をつくりました。見本も数部つくってみました。20日朝9時になって送りました。
内容は、「相談コーナー」の場所、相談内容、相談担当者の説明、これらが表紙で1ページ分。いちばん時間をとったのは「高校はこんな学校・教育制度が関係します」という通信制高校、高卒認定制度などを平易に解説する記事の見開き2ページです。最後に「宿泊施設があり不登校生の受け入れを公表している全日制高校」のリスト1ページ分を加えて一応完成です。
〔高校はこんな学校・教育制度が関係します〕
http://www.futoko.info/…/%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%88%B6%E9%AB%…