電話がなります。
S「はじめて電話をしました。不登校情報センターですか?」〔S〕は電話をしてきた方の言葉です。
M「そうです。どうかしましたか?」〔M〕は私の応答です。
S「ひきこもっている者なんですが…」、声は男性です。
M「ご本人ということですね」
S「そうです。ちょっと聞いていいですか」
声音はやや低いですがよく聞き取れます。病的なダメージは感じられませんが、気を張っているのかもしれません。
M「どうぞ」
S「もう親はあきらめているというか、どうなってしまうのか…」
M「気持ちが楽になったというよりも、困っているということですね」
S「このままではどうなるのか、ヤケになってはいないですが、心配というか」
M「どうしたいのかがわからない? 年齢は?」
S「40歳を超えています。親は両方とも70代です」
M「これまでどこかに相談に行ったことがありますか?」
S「何度かは、いろんなところに。でもどうにもわからなくて」
M「どこから手を着けるというか、始めるかがわからないのでしょうね。ここまで来るのに往復で千円程度ですが、来られますか?」
おおよその住所を聞いたので、交通費の見当がつきます。
S「相談料みたいなのがなければ行けると思います」
ほとんどの人が小遣い程度のお金しかありません。交通費があればいいので不登校情報センターに相談に来るように誘ってみます。
この人の場合は「どこから手を着けるか」を、来てもらい何かをしながら、それを探そうということになります。
30代から40代になっているひきこもり当事者から直接の連絡が徐々に増えているように思います。
不登校情報センターのネット情報を見て電話をしてきたと推測できます。
10分程度の電話時間で、少し省略し変形をしました。
「引きこもり」カテゴリーアーカイブ
ひきこもり当事者の居場所の様態について=福祉部長への返事
4月24日、江戸川区福祉部長と面会の機会を得ました。
そのご部長より「事務所になる所を探すので条件を聞かせてほしい」という電話連絡がありました。
電話で即座にいくつかのことをお答えしたのですが、心づもりとして区の取り組みに合わせたひきこもり対策をいくつかを分けて具申する予定でした。
事務所=居場所になるのが不登校情報センターです。
そこで先ほど「ひきこもり当事者の居場所の様態について」という文書にまとめ、改めて福祉部長あてに送りました。
またサイト内に「江戸川区との協力」というページをつくり、やり取り等を記録していきます。
先日の区長への手紙なども時機を見て載せていくつもりですが、今回の福祉部長あての手紙を最初に掲載しました。
〔ひきこもり当事者の居場所の様態について〕
http://www.futoko.info/…/%E3%81%B2%E3%81%8D%E3%81%93%E3%82%…
江戸川区長宛に手紙を書きました
「拝啓 江戸川区長 多田正見 殿」とする手紙を江戸川区長に送りました。
本文は約5000字(A4版3枚半)です。
宛先とは別にタイトルをつけてはいませんが、「江戸川区をひきこもり対策に取り組む典型的な自治体にする」という文中の提案が骨格になると思います。
手紙の最後はこうしました。
「以上の内容について、区長および相当する部局の担当者と直接にお目にかかりお話しできる機会を設定していただくことをお願い申し上げます。
できれば不登校情報センターにかかわるひきこもりの経験者、ご家族の同席もご了解いただければと思います。ご検討をお願いいたします」。
どのような回答があるのか、あるいは回答はないのか…待つことにします。
先日来の区議会議員への要請は一区切りした後の動きとして考えたことの1つです。
他にも考えていることがありますので準備します。
今回の手紙の全文は適当な時期が来たら発表するつもりです。
〔追記〕
先ほど江戸川区の福祉部長の斎藤さんから連絡がありました。
4月24日・月曜日の4時か5時に区役所に行くことになりました。
区長宛の手紙が届き、それを見ての返事です。
7時に連絡があったので、かなり早く対処していただいたものと思います。
ひきこもりの実数を知る2つの方法を提案
昨年秋、15歳から39歳までのひきこもり数が54万人と内閣府から発表されました。
これは2015年12月に無作為に5000人を調査し、内閣府の基準でひきこもりと判断した回答者1.57%から全体を推計した数値です。
その後、各地でひきこもりの実態調査が行われ、40歳以上のひきこもりの人が全体の30%以上を占めるという報告が続きました。
厚生労働省のひきこもり定義もありますが、個人をひきこもりと確定するものではないので、推測値にとどまります。
実態を調べようがない壁に突き当たり、ひきこもりはどれくらいいるのかの数値がはっきりしません。
行政部門のひきこもり対応が進まないのはこの数値がはっきりしないことが要因の一つと考えられます。
ここで私は2つの提案を考えます。
①、1つは2020年に実施される国勢調査の機会を活用することです。
調査にひきこもりを近似的に把握する項目を設定することです。
職業を書き込む欄があります。
そこに無職、と回答した方に無職の期間がどれくらい続いているのかを書く欄を作ることです。
無職イコールひきこもり(またはニート)とは言えません。
障害で働けない人、高齢による人などもいます。さらに勤務先はなく創作活動をしている人もいますが、その全部が作家とか画家と答えるとも思えません。
それらとの区別は残ると思いますが、厚労省の推測値よりも実態に近くなると考えます。
2020年実施になる国勢調査のための有識者会議が設置され委員も決まっています。
それらを考えて、国勢調査を行う総務省に提案を送るつもりです。
②、提案はもう1つあります。厚生労働省のひきこもり定義はありますが、それを判断する人は決められていません。
医師はひきこもり状態の人を診て「精神障害があるかどうか」を診断しますが、一般にひきこもりの診断はしません。
そのため行政部門の数値はひきこもりの数値がぼやけるのです。
ひきこもりの判断とは、医学的な診断ではなく社会的状態像の判断です。
参考になるのは不登校の判断のしかたです。これは文科省の基準により学校長が行います。
状態像の判断は、基準を設けて判断できる人を決めていくのがいいと思います。
ひきこもりの判断は、厚生労働省のひきこもり定義に基づき、ひきこもりと周辺状態の人に対応をしている、団体機関にしてはどうでしょうか。
その団体機関で一定期間の実務経験をもち、当該対象者と接点・接触が持てる人です。
たとえば保健所の保健師・精神保健福祉士、心理相談室のカウンセラー、福祉機関の職員、民生委員などです。
特に公共機関の実務経験のある職員は、ある程度の期間に数回の接触の機会を持ったあと判断してもらうのがいいと考えます。
相談現場の実感としてひきこもりの人は公共機関との接触や面談的な受け答えをしやすいと考えられるからです(絶対的ではありませんが)。
これにより市区町村単位での該当者の存在がかなり明確になると思います。
行政としてひきこもりへの対応を進める基礎が整うでしょう。
ひきこもりの人も公からの連絡は容認しやすい
いじめを受け亡くなった中学生がいます。自殺なのか殺害なのか事故なのかは不詳です。
その中学生は学校に来ていなかったので(長期の不登校)、地域の教育委員会は長期欠席の生徒の「安否確認」が必要と判断しました。
そして不登校の生徒の自宅への訪問が始まりました。
欠席している生徒を直接に確認するのです。
虐待を疑われる子どもの安否確認をする児童相談所の方法に似ているかもしれません。
このなかで、これまでは誰とも会おうとしなかった中学生が訪ねてきた教育委員会の人と会ったのです。
所属の学校の担任とは違うのが生徒にとっては会いやすかったのかもしれません。
これは母親から聞いたことです。
しかし別の事情も考えられます。
生活保護を受け始めた親子がいます。
子どもはひきこもりで人と会うことを避けてきました。
ところが生活保護を受けるには、福祉課職員の面接(本人確認)が条件になっているといいます。
それを知った20代の娘さんは担当職員と顔を合わせて受け答えをしました。
これは生活保護の担当者から聞いたことです。
この例と上の中学生の例を合わせて考えると別の事情が浮かんできます。
公の制度、または親の意思や都合ではどうにもならないことは、受け入れやすいと考えられます。
例えば20歳になれば、本人宛に年金の説明や支払いの請求が来ます。
子どもがひきこもっていると、親が本人に伝えないまま代わりに払ったり、当面支払えない事情を返すことがあります。
こういうときは結果はどうするにしても、子どもに伝えて決めて返事をするようにしてはどうでしょうか。
年金制度は公のものであり、親の都合でどうこうすることはできません。
親が代わりに支払うにしても、当面の支払いの猶予を申請するにしても、本人の意思を確かめる機会になります。
親子の断絶状態を転換するチャンスにもなります。
私はひきこもっている本人宛の手紙を、親が見て子どもに渡す・渡さないを決めている事例を聞いています。
これはおかしいと思うでしょう。
年金や他の公の機関からのものも同様です。
子どもの年齢にもよるでしょうが、中学校年齢を超えたら本人宛のものは本人に渡して当然だと思います。
よほど心配のことがあれば一緒に見るとか一緒に考えるケースはあってもいいと思いますが、親だけが見て判断するのは行き過ぎになると考えるのです。
それは子どもを社会から切り離していくことです。
今現在そういうものがあれば、それを子ども本人に渡すことから、事態が進む可能性が開けます。
「ひきこもっている子どもとの接点を意図的につくる取り組み方法もあります」と昨日書きました。
この公の連絡をひきこもっている本人に渡す・伝えるというのがそれです。
「公の連絡」はもう少し幅広く考えてもいいと思います。
友達からの連絡、買い物をしたお店からの連絡などです。
「不運が転じた僥倖型ハプニング」を紹介します
ご夫婦で一緒に外出し、途中で別れてご主人一人が帰宅することになりました。
さて自宅にたどり着いたところで鍵を持っていないと気づきました。
自宅の2階にはしばらく顔を見ていない20代がいます。
やむなくその子に携帯で連絡をして鍵を開けてほしいと頼みました。
数か月、いや1年以上途切れている話しかけです(会話ともいえません)。
しばらくして玄関のドアが開き、しばらくぶりに子どもの顔を見ました。
ほんの一瞬のことです。これからのことはわかりませんが、ちょっとした出来事としてお聞きしました。
私はこれをハプニング型、もう少し分析的に言うと「不運が転じた僥倖型ハプニング」と考えます。
このタイプの別の例を挙げましょう。
(1)家業が倒産してこれからどうしようという状態になりました。
しばらくしたら20代のひきこもり中の息子が仕事探しを始めたらしく、いくつかの会社から郵便物が届くようになりました。
そのあと息子が懸命に坂道を自転車をこいで上っている姿を見ました。
「この子も自分なりにがんばっている」という思いで涙が止まらず、その場から動けなくなった。
ーこれは母親から聞いたことです。
(2)自宅近くで、交通事故が発生しました。
ちょうど2階の自室からこの事故の様子を見ていたひきこもりの男性がいます。
深く考えずに事故現場に行ったところ、現場検証に来た警察官に事故の様子を聞かれ、詳しく話しました。
久しぶりに人と話をする機会になり、それが自分が外出し、ひきこもりから抜け出る転換点になりました。
これは30代になった本人から聞いたことです。
(3)部屋で休んでいたら近所で火事が発生したようです。
外は怖いと思っていたのですがそのときは夢中で(たぶん自分に関心は集まらないという予感もして)、近所の火事の様子を見に行きました。
久しぶりの外出でしたが、気になったのは自分の外出用の靴が玄関になかったことです。
「全然外出していないので靴も片づけられていたか」というのが感想でした。
これも母親から聞いたことですが、親のほうも靴の話からこの事情を話してくれました。
こちらはこの外出以外の展開にはならなかったようです。
阪神淡路震災や東日本大震災の時の、ひきこもりの外出や行動もこれと類する例になると思います。
そういう大きなことではなくても日常的なことはときどき発生しているのです。
このタイプは不運や不幸に起因しているので、意図的な取り組みにはしづらいことです。
まずい事態の時には事態を転換するチャンスが隠れているかもしれません。そう考えて対処方法を考えましょう。
ひきこもっている子どもとの接点を意図的につくる取り組み方法もあります。
粘りと工夫とユーモアが必要と思いますが、次にそれも紹介します。
19年前の「通信生・大検生の会」メンバーとやりとり
2月16日に「通信制大学での学び方を紹介したい」を書きました。
19年前に『特修生』という手づくりのパンフを作ったOくんが通信制大学生へのインタビューを載せていたのを思い出し、連絡しました。
かなり前のことでしたがOくんは取材相手に連絡を取ろうとしました。
そして昨日「連絡が取れない」旨の返事がありました。
じつはOくんはインタビューの相手と同じ通信制大学を卒業しています。
特修生とは、高校卒業資格がなくても入学できる通信制大学の受け入れシステムです。
当時の不登校情報センターはまだ固定的な居場所はなく、「通信生・大検生の会」という集まりを繰り返していた時期です。
Oくんは40代の半ばになり福祉系の会社(介護職)の管理的なセクションで働いています。
こちらの会社も働く人が不足しているようです。
何ができるのかを考える材料にするため、会社案内等を送ってもらうことにしました。
ひきこもり大学in下町のお知らせ
第2回 ひきこもり大学in下町の日程・会場と概要が決まりました。
日時は5月7日(日)13時から16時(17時までに完全撤収)。
会場は亀戸カメリアプラザ(江東区亀戸文化センター 5階第2研修室)
東京都江東区亀戸2-19-1(〒136-0071)
JR総武線「亀戸駅」北口のすぐ左手です。
内容は、エンジさんの話「ひきこもりから産廃業界で働く道」
そのあとはいくつかに分かれて話し合い。
エンジさんを囲むテーブル、社会復帰を語るテーブル、ひきこもり脱出して仕事してるけどいろいろあるよねテーブル(年下の上司とどう接するetc)、35歳以上の就労テーブル、フリーテーブルなど
を予定しています。
参加費は一般1000円、当事者500円
定員は50名。
主催 MakotoSaitoh
臨時連絡先 不登校情報センター(open@futoko.info)
同行以上の同席という伴走型支援が発生するでしょう
何人かの人と一緒に精神科・心療内科の医療機関に行きました。
一緒に行くのは同行です。受診者に不安感があり一緒に行くのです。
同行受診もいろいろです。ある時の問診では体調すぐれず私が代わって状態を話したことがあります。
聞かれることが単純なので医療機関に落胆することもあります(嘔吐があるか、幻聴があるか、というレベルのことだったので)。
本人が話したくないことを話したと言って怒られたこともあります。
このあたりは事前の意思疎通だけでは難しいです(問診で何を聞かれるかはわからないため)。
問診というよりは、カウンセラーから詳しく経過や状態を聞かれ、それを本診の医師に回す形にしているところもあります。
この時にも同席したことがあります。問診よりも優れた方法だと思います。
ただ、医療者と受診者の関係の中でどこまでを話せるかの信頼関係に比例する点は忘れないでおきたいところです。
受診者の診療が終わった後、医師に個別に呼ばれて話されたこともあります。
これも医師にとっては1つの方法だと思いますが、「何を言われたのか」と受診者に問われて答えに窮したこともあります。
診療の場(本診)への同席では、ほとんど聞くだけです。受診者の不安を和らげる役割があるかもしれません。
今回、これを紹介したのはひきこもりの医療機関の受診がわかりやすい例になると思ったからです。
例えば美術館に行く、花見に行く、居場所に行くというのにも通じます。一緒に行くだけではなく、その中に一緒に入ることが同席です。
同席はさらにハローワークに行く場合も、役所の窓口に行くにも通じます。同席にも形や状態にはいろいろなものが出てくるはずです。
そしてまだレアケースの枠を超えないのですが、就職面接にも通じると思います。
就職面接に同行以上の同席であることに注意してください。
長期のひきこもり経験者にはそこまでの伴走が必要なケースが生まれる、そうなると予想できる話があります。
「廃棄物現場で働くエンジの話」から働く人3人目
2月7日の「廃棄物業界にいるエンジと就労について考えてみる会」は、徐々に方向を変えるつもりの名称にしています。
気づかない人もいるでしょうが、これまでは「廃棄物現場で働くエンジの話を聞く会」でした。
7日はエンジくんの他に2名。前からがエンジくんと話してきたMtくんを交えてしばらく雑談。
ひきこもり時代の話になりました。そこにSaくんが来たので私は撤退してあとはお任せ。
8日の夕方にMtくんが会社の面接になり、無事に採用になりました。なんと3人目です。
エンジくんの“リクルート活動”を詳しく知らせるのは適当でないのですが、数段上にあることは確かです。
たぶん条件的に広く普及はできないでしょう。
しかし、参考になることはありますが、どこまで明かせるかは迷います。
来月も開きます(日時未定)。関心のある方は参加してみてください。
仕事に就くという条件や気持ちはなくてもいいです。
仕事の現場の話を参考に聞くつもりで十分です。
次の「エンジと就労について考えてみる会」が決まり次第、このブログでお知らせします。