1月のセシオネット親の会

12月のセシオネット親の会は、母親3名、ひきこもり経験者1名、それに松村さんと松田の6名でした。親の会にひきこもり経験者が混じる状態が数か月続いています。両者それぞれに得るところはあると思いますが、継続するには何かが足りません。 

親の会はコロナ禍をはさんで変わりました。不登校やひきこもりだった子どもが“ほぼ卒業状態”になっているからです。近しい関係になった同士が交流し、世相の移り変わりの中で、どう対応するかの話し合う機会になっています。

秋口からひきこもり経験者等が小人数で集まる機会を持とうとしています。また個別に話し合う機会も設けようとしてきました。「11月アンケート」が少し役立っています。これらの機会を通して現状をどうよくしていけばいいのかを考えています。こういう取り組みを今年はさらに多くしたいものです。個人的に話したい人、小グループ作りに協力できる人を求めています。

12月28日には子どもさん1名を含めて年末の新宿に集まりました。天候に恵まれ温かいなかを新宿御苑を歩き、そのご8名で食事会になりました。これというテーマで話はありませんが、この小グループがこれからも続いていけばいいと思います。

セシオネット親の会のこれからがどうなるのかは、なお自然な流れを見ながら無理をせずに続けることになりそうです。親側とひきこもり当事者側、両側それぞれから「8050問題」といわれる今日のひきこもり問題に、ささやかですが具体的に関わっていくつもりです。

1月17日の会は新年会を兼ねたものになるかもしれません。予定の取れる方の参加をお待ちしています。 

☆1月のセシオネット親の会  セシオネット親の会の1月定例会は毎月第3土曜日、午後2時~4時です。1月17日(土)14:00~16:00 場所は助走の場・雲:新宿区下落合2-2-2 高田馬場住宅220号室 参加等の連絡は、松村淳子さん(090-9802-9328)までお願いします。

向精神薬への依存を抜け出す方法

12月の親の会で、薬依存(特にウツ)にならない方法を話しました。私の知る範囲では、それからうまく抜け出した人は少ないです。本人の意志で(医師には無断で)、強引に薬を止めてしまった人がいます。ひどい離脱(禁断)症状があったとは聞きましたが、詳しいことはきいていません。今回アンケートは、そのうちの1人に送りました。「えい、やっ!」と気合いでやったと聞いたことがある人ですがまだ回答はありません。

医師とは「徐々に薬を減らしていく」よう相談しながら服用をつづけ、実際は薬が徐々に増え、より強めの薬になり、ついには薬なくては眠れない、ウツが治まらない状態になった人が多いと感じます。なかには目立つレベルのアカシジア(じっとしていられない内面的な不快感)で歩き回る、手を大きく振るように動かす状態になった人もいます。この人たちは薬を変え、入院になりました。

医師にかかると向精神薬を出されるだけで改善しないと、精神科受診を拒否する人もいます。処方された薬を自分なりに調節して(少なくして)服薬するのはその1つの対処方法になっています。うまくいかなかった例はいくつか聞いています。自分なりに調節し減薬を試みてみた。しかし、離脱症状が出て苦しくなった人がいます。本人は離脱症状をなかなかうまく説明できません。吐き気や腹痛、不安感、幻覚、無感情など入りまじった苦しさであり言葉に表わせない状態です。

それで、結局は元の服薬に戻ります。そして徐々に量が増え、より効果の強い薬に移っていき、やがて薬なくては安定しない状態へ入ります。長期の薬服用の副作用も表われていくのです。私は薬を服用しながら減薬していって、ついには薬なくしてウツなどの精神症状がなくなった人は知らなかったのです。

ところが、親の会に参加のある人から、娘さんが「前には服用していたが、今は服用していない」という話をしました。強い関心を持ったのですが、具体的な事情はわかりません。おそらく世には少なからずそういう人はいると思います。その具体的な経過を詳しく知りたいと思うのです。向精神薬の服用を徐々に減らし、ついには薬なくして精神症状から抜け出した実例をまとめたいと思うぐらいです。

親の会で出された意見では、何か熱中する対象があると上手くいくのではないか、といいます。聞いた範囲での方法は、体を動かす/散歩ウォーキング、カウンセリングを受けるなどです。しかしそれがうまくできない心身状態で結局は長つづきしません。理屈ではわかる、しかし実行は超難関です。最終的にはよく理解してその努力にねばり強くつき合ってくれる信頼できる人の存在というのに行きつきました。

精神心理を中心とする心身状態の現状報告

2025年11月作成アンケートの質問はいくつかあります。まずに健康とくに精神心理面に関する内容です。回答は最低30通を目標としておりまだ達していませんので1つの中間報告とします。

健康面では5項目の質問をしました。《ウツ症状、不眠状態、過食傾向、怒り感情、依存気分》です。この項目設定は最適でも最悪でもなかったようです。

コメントを含めた回答からいくつかを紹介します。全体の中心は「ウツ状態」です。その程度が強い、比較的表われやすい人は、継続して仕事に就くのが困難と答えています。それでも短時間就労(週20時間以内)を続けている人がいます。

「慢性的なうつっ気があり、気力が沸かなくて困る」、「気圧によって気分が左右されるような気がする。低気圧接近の時はウツになる」、双極性障害(躁状態とウツ状態がくり返される)の人もいます。

神経症に分類される対人恐怖や社会不安という回答もあります。設問にはありませんでした。「抗不安薬を服用しないと職場に行けない」、外出は母と一緒にする(30代男性)という人もいます。ウツと重なって行動が抑制された状態と考えられます。

発達障害(の可能性がある、境界線にいる)人も数人いて、これがうつ状態に関係すると答えたと思える人もいます。

「不眠状態」が強いという人は多くいません。「睡眠薬を利用しているので眠れている」との答えがありました。

「過食傾向」が強いと答えた人は少なく、意外です。「少しある」人には「ストレスで真夜中に」食べるといいます。

「怒り感情」は、抑制可能の範囲ですが「くすぶっている」「休火山状態」と表現しています。

「依存気分」は、母親が代筆回答した人のなかに数人います。前出の外出に母が同行を必要とする人は母から見れば依存でしょうが、本人にはそうとらえられないのかもしれません。

その他に、ものごとをなかなか決められない、自責の念・自己否定感が強い、極度の緊張(筋肉収縮らしい)で痛みが出るなどで日常生活に支障がある、妄想性がある…などは心理的負担状態とつながると考えられます。「子ども時代からアトピーがある」という人もいます。タバコは一種の精神安定剤という人もいます(アンケート外ですがタバコをやめると服薬が増える人もいます)。

親から心療内科の受診をすすめられながら拒否する人もいます(親の代理回答)。本人はそういう問題ではない」と考えている気がします。自由意見欄に「自身の体調が良いときでなければ、こういったアンケートに答えることも難しい状態が長くありました。福祉関係の調査では往々にしてあることですが、声をあげられるだけの状態でなければ声が届かない、という調査・研究の難しさがあるように思います」と書いた人もいます。これは注目すべき面だと思います。それとともに、私には「自分の問題に深く入って考えたくない気分」がある人もいると思っています。心療内科の受診拒否にはこういう事情があるのかもしれません。

回答内容の他の面(家族関係や住居条件、就労と生活費、国や社会への要望など)についても中間的な報告をする予定です。さらに多くの方からの回答を待っています。

小学校早朝見守り活動

江戸川区の小学校では来年4月から始業前に登校する児童を受け入れる早朝見守り事業を始めます。区立小学校は全部で65校ありますが、そのうちこの事業を先行的に実施するのが9校です。10月から始まっており私はその先行実施校で見守りを担当することになりました。 月曜日から金曜日まで、午前7時20分から8時20分までの1時間。その早朝見守り=子どもにとっては朝の居場所になるはずです。見守り役は原則6人が1日3人ずつ交代で担当します。

先行実施の様子では、児童の参加は少ないです。報告では小学校の8割で、始業前に児童が門前にいる状況だったといわれますが、実際はそうではありません。たぶん年度途中の開始であり、それまでに働く親、とくに母親たちはそれぞれ対応策をとってきたためでしょう。先行実施校では多いところで10名ほど、私の担当校では3名です。実際には毎日来るわけではなく、当日参加者は0名が続いています。

本格的な実施は来年4月からです。先行実施校の対応状況を見て全校実施の具体化をすすめていくものでしょう。ここに別の先行実施例があると知りました。主体はPTAです。児童の登校の安全見守り活動の過程で、校門前待機の子どもがいるのを確認して始めたと思われます。早朝見守りはこの状況を見てとのことと思われます。

見守りは早朝1時間という特別の事情があり、時給は1486円。比較的(?)高いと思われますが、PTAが実施している見守りにも支給されているのでしょうか。ちょっと気になります。

この事業は、働く母親の子育て支援の一端になります。それを高齢者世代が担当し(PTA実施でも高齢者の割合は多い?)、高齢者の働く場でもあります。そして教員の負担を多くしない(もしかしたら減少させる)可能性もあります。うまく軌道に乗ることを期待するとともに、他の地域にも広げていけばいいと思います。これは「子ども世界」の消失、少なくともそれが縮小している時代への対応の1つと考えられます。

福間女流六冠の「妊娠・出産期」に関する要望

「出雲のイナズマ」と知られる将棋の福間香奈女流六冠が、日本将棋連盟に要望書を出しました。タイトル保持者が妊娠や出産のため対局できないときは不戦敗とせず、その期だけの優勝者を決める暫定王者制度を設けてタイトル保持者の地位を保障するなどの提案です。

福間棋士は 2024年4月に妊娠が判明。同年12月の出産までの期間に予定されたタイトル戦で不戦敗となりました。連盟は2025年4月に出産予定日を基準に産前6週、産後8週の合計14週と日程が重なる対局は対局者を変更する規定を施行しました。

要望書は、この規定では妊娠とタイトル戦の二者択一を迫るもので出産に関する事項を自ら決めるリプロダクティブ権を制約すると指摘しています。その上で対局日程や場所を調整し、出産前後でも体調や医師の意見に応じて出場できる規定を要望しています。

この件は将棋界の女性の特別の事例のように見えますが、おそらく社会のきわめて多くの分野で生まれていると思われます。特殊であるから例外ではなく、その将棋界いう特殊性であるために広く社会の注目を集める状況になりました。

福間棋士の要望がそのまま受け入れられるのか、あるいは将棋連盟が別の方式の答えを用意して、両者が共に納得できる新しい規定ができるのか。一人の棋士の要望のように見えて、これは特殊ではなく社会の多くの分野に波及していく「妊娠・出産に伴う時期」の規定になると感じます。世の中はこうして一つずつ女性が負担になっている条件を適切に処理する方法を積み上げていくのです。共に納得できる新しい規定ができることを願います。

今回は女流棋士の内側の問題です。しかしそれは将棋界の全体に、さらには社会全体の男女・ジェンダー平等の基準の参考例になるものと考えます。福間さんは盤上の外で、こういう分野でも出雲のイナズマらしさを示しました。少子化対策を考える官民の関係者は事態を静かに見つめているのではないでしょうか。

家事育児には経済的活動とは別の社会的基準が必要

「家事育児 分担よりも一緒の意識で」は18歳の女子高校生が朝日新聞「声」欄に投書したものです。家事や育児に夫(男性)が参加すると「イクメン」などと称賛されるが妻(女性)はそうではない、おかしいではないかという内容です。男性は家事や育児を「手伝う」や「分担」という感覚ではなく「家族全員が主体的に関わっていく」「よりよい生活を一緒に目指す」そういう当事者意識が当たり前ではないかというわけです。

男女ジェンダーの平等に関して世の中かなり進んできた、その表われがあるというのが私の感想の第一です。私の高校時代や20代のころ、つまり半世紀前までは見かけなかった意見でもあります。

その上で私の感想を2点追加します。1つは「男性だけが家事や育児をすると称賛される状況」は、この移行する時代に見られる現象になるという見方です。人間がものごとを理解するには、移行期というものがあります。多くの人にが一挙に変わるというのではなく、先端部分と中心部分と遅れる部分があり、時代の流れの中で変わっていくということを認めていいと思うからです。

もう1つ私が重要だと思う点があります。家事育児が、経済的・社会的生産活動とは異なった分野として、等位に考えられなくてはならない点です。経済社会的生産は、人間の生活を支える不可欠な部分であり、それは説明の必要がないとしましょう。その社会的生産の労働は20世紀に入って金額という定量的表示を用いる価値基準が生まれ20世紀の終わりにはGDP(国内総生産)に定式化されました。

しかしGDPは国によって、あるいは国内地域や産業分野によっては測るメジャーが異なる不完全、不公平なものです。しかし金額により定量的に表わされるので、便利に安易に比較材料に用いられています。同じように家事育児も人間の生活、というよりも人間が生存する、社会が続くのに欠かせないものです。両者を並べて片側が上、もう片側が下とは言えません。

この理屈はわかっているはずですが、家事育児は社会的生産活動に比べると低位におかれて考えられています。両者は並べて対比すべきものではなく、異なる二つの分野として不可欠であることを認める——現状はそれとは違いますので、その方向に理解をすすめる必要がある。これが私の意見です。

そのためには、家事育児——私はこれを家事と家族内ケアの二つの構成部分の全体と理解していますが——この部分を表わす基準を設けられないかとあれこれ思いをめぐらしています。この基準がなくては男女ジェンダー平等の根拠において、総体として女性の得意分野をおぼろな状態にされたまま判断される事態が続きます。

家事育児はもともと労働ではなく生理活動の中心部分でした。類人猿の時期に道具を用いて労働を始めた後に類人猿は人類に進化しました。人類は労働を発展させる過程で家事育児も労働の一種にまで高めました。それでもなお家事育児の全体は労働とは言えない部分があります。それは労働とは異なる価値基準、その生理的・生活的・社会的な基準で考えられるべきものではないでしょうか。

アンケートは失礼という人もいましたが…

数日前に電話がありました。「人の事情を知らないで、アンケートと言ってひきこもり呼ばわりは失礼ではないか」という主旨でした。怒っていましたし、「すみません。配慮がたりませんでした」と謝りました。

アンケートは合計500通以上ですが数回に分けて送りました。分けたのは作業量が多いのと送料合計55000円を一回で用意できなかったためです。12月15日に最後の100通余を送ったところで、抗議電話は12月10日ですのでその前の投函分です。

今回のアンケートはいろいろ不備がありました。1回目送付の後、内容の不十分さを強く感じて[改訂] 版を作り直し、初回送付した人にも送り直しました。アンケートの名称は初回は「アンケート(回答者名不要)」でしたが、[改訂]では「長期ひきこもり経験者へのアンケート(無記名)」としました。この変更もしなかった方がよかったのです。気持ちを損じた人はこれに関係するかもしれません。4~5回に分けて送付したことも含めて、私一人で実施するアンケートの不十分さが出たのです。

以上の不十分さや礼を失することになった点もありますが、12月15日には最後の100通余を送りました。40代・50代以上になったひきこもり経験者の現在の困難を知るため、連絡がとぎれているので「事情を知るため」の目標があったことが理由です。これまで受けとったアンケート回答にはその答えがあると確信できます。まだ回答はつづいてくると思いますので全体を示すのは来年になりそうです。ここでは〔自由記述欄〕にある3例を示します。

1つは、現在は社会参加されている方からのものです。「40歳で結婚したので子育てと親の介護が重なってしまって、もっと早く結婚できていればと思います。ひきこもりの時間は当時は知識と経験がなくそうせざるを得ませんでしたが、50歳近くなって振り返ると貴重な時間を無駄にしてしまったと思います」。

もう1つは、事情に変化はないと伝える父親からのものです。「ひきこもりも20年を越え、親も80才手前となり、この先どうなるか不安ですが、本人は以前より家のこと(食器の片づけ、ゴミ出し、洗濯物干し、片づけなど)をやってくれている。親が元気なうちに先が見えればと思いますが、本人次第なので、見守ることしか出来ないのが、はがゆいです」。

こういう人もいます。「今まで完全に長期ひきこもりをしたことは経験上ありません。現在はX市にあるB型作業場に週3回通所しています。20数年あまり不登校情報センターに関わり続けています。ひきこもりではなく普通の社会を回避しがちな性格であり、中年間近かな年齢になった今も普通の社会人として生きる自信がなく、日頃より幻想しながら、日々自分らしくありたいと思う気持ちは強く日常暮らしています」。

抗議電話をしてくれた人からその日のうちに落ち着いた二度目の電話がありました。「忘れないでその後の事情に気をかけてくれて感謝している人もいる」と告げると、少し納得してくれたと感じました。

アンケートの回答が何通になるのかは予測できません。アンケート以外で電話により詳しい事情を話してくれた方もいます。アンケート回答はなくて会って話した人もいます。無記名を前提にしますが、記名の人もいます。切手不要としていましたが、切手をはって送ってくれた人もいますし、資金カンパをしてくれた人もいます。不十分な点はあるけれども必要な意義はあると思い、初めに予定した500通を送付したのです。回答を待っています。

複雑性PTSDの記事を紹介します

ある人に会いに行ったところ古い新聞記事を見せてくれました。見ると「複雑性PTSD」の見出しがあります。当人の経験に思い当たるところがあるので持っているのです。今回のアンケート回答の1人の症状に「複雑性PTSD」という答えがあり、しかし「説明することがおっくう」と書いていました。類似の状態を持つ人もいるかもしれませんので、この新聞記事(朝日新聞2023年8月)を紹介します。

複雑性PTSD 治療の焦点は:うつなど精神的な不調が治療を続けても改善しないケースでは、過去のつらい体験による心の傷(トラウマ)が背景に潜んでいることがある。幼い頃に受けた虐待などが原因で、大人になってから感情の制御や対人関係がうまくいかず、社会生活に支障が出る「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」に該当する可能性がある。この病気に焦点を当てた治療法の開発が進められている。

《埼玉県の女性(39)は10年ほど前、職場の人間関係がきっかけで会社に足を運べなくなった。上司に怒鳴られ心が折れた。うつ病と診断されて休職。薬を飲み、回復した。しかし、数年後に再び不調になった。気持ちが張り詰めて眠れず、四六時中いらついた。頭の中はネガティブな感情であふれた。その上、子どものころ、毎日のように親に怒鳴られた嫌な記憶が、わき出してくるようになった。真っ暗な玄関に閉じ込められたり、真冬に家から閉め出されたりもした。絶望の中で耐えていた日々がまざまざとよみがえってきた。

わき出す記憶を自分では止められず、家の中の物に当たり散らした。皿を割り、壁を殴り……。「さすがに異常だ」と思い、改めて精神科を受診した。医師からは「PTSDだと思います」と告げられた。医師によると、子どもの頃のつらい体験が今の不調に影響しているのではないかということだった」。》

複雑性PTSDは2018年にWHOで採用した診断名のようです。私の知る範囲でも、これに似た心理状態、後遺症状みたいな人にも参考になると思います。以前に複雑性PTSDの診断を受けたという人もいます。今回のアンケートは無記名なので同一人かは分かりませんが、この記事全文を送ります。

複雑性PTSDの治療方法として「持続エクスポージャー(PE)療法」が医療保険の対象となっています。また「ステア・ナラティブセラピー」という治療方法もあります。「ステア・ナラティブセラピーを最後まで終了できた7人全員が3か月後に症状が改善し、診断基準を満たさなくなった」という記事内容です。

このような治療方法を実施している医療・カウンセラーはおそらくあまりないでしょう。それに新聞記事を読んで納得したところで何かがよくなるわけではありません。親しく話せる人がいることで、(保障はできませんが)少しは改善できることもあると思います。一方的に自分の悩み苦しみを相手に聞いてもらう(聞かせる)関係ではなく、ときにはよかったことも織り込んで互いに話し合える関係になればいいのですが…。

〔追記:12月17日〕乳幼児期にマルトリートメント(不適切な養育)を受けた人に生じる愛着障害とこの複雑性PTSDは要因も状態像もかなり似ている、ほとんど同じではないかと思うほどです。それはどう違うのか? 2018年のWHOの診断基準とは何か。調べてみたくなっています。

ACTを求めるIchさんのばあい

彼とは10年ぐらい顔を会わせていません(Ichさんとします)。駅改札口で待ち合わせをし、お互いすぐにわかりました。近くのファストフードで1時間余り話しました。

元気そうに見え、仕事は人手不足もあって残業が多く週5日1日9時間ぐらいと聞きました。知る範囲では最長時間レベルです。外回りが多い仕事で20年以上は非正規職員として働いています。不安症状があり、確かめると障害者枠の雇用であり、服薬も続けています。元気にみえたし労働条件で特別の差別的待遇はなさそうなので私から確かめるまでは障害者枠の雇用を自分からは話しませんでした。父母は10年前の相次いで亡くなり、姉一人が家族ですが長期入院中です。Ichさんも姉も50代です。週1回ぐらいで姉に面会に行っています。姉の元彼とはいい関係といいます。

今後をきくと、あまり明確ではありません。ACT(重度精神障害者に対する1日24時間体制の訪問医療)の普及が彼のアンケート回答にありました。姉が退院できる条件を考えているのです。姉は服薬効果が低い「治療抵抗性の統合失調症」であり、他にも手術経験をした内臓系の疾患があります。

ACTをネット上で調べると、地方のある医療機関のHPにこうありました。「ACT(Assertive Community Treatment):積極的地域医療や包括的地域生活のプログラム。重い精神障害を抱えた人が住みなれた場所で安心して暮らしていけるようなさまざまな職種からなる医療チームにより提供される支援プログラム」。国立精神・神経医療研究センター(千葉県市川市)が近隣自治体で実施しているとのことです。ACTが全国的に展開されている状況はありません。基本的には入院対応になっているのでしょう。医療機関が想定している取り組みであり、私の知る範囲では患者団体(当事者側)での提起も知りません。

今の状態は入院対応しかできないので、退院して対応できる条件づくりの運動になりそうです。医療機関側も大変でしょうし、患者(国民)の健康対応策としてできる部分的なところから手をつけることになりそうです。「どういう社会にするのか」というテーマにつながります。Ichさんの住所、姉の入院先も東京都内ですから、東京都に対して何らかの形にして要望を提出する、患者団体/障害者支援団体に訴える。この辺からになると考えました。

自治体(保健所、社協など)職員と顔見知りになる

本人50代、父母80代の3人家族。うつ状態と対人不安を感じる神経症があり、週2日の短時間就労。アンケートを持って来て話をきくことになりました。将来の不安、とくに親亡き後は深く考える気がしないといいます。状況を改めて聞きましたが、ここではアドバイスなるものは苦手な私が話したことを書きます。簡単に言えば自治体の担当者と顔見知りの関係になることです。

(1)自治体広報を見てイベントの参加する。=講演会がある、ひきこもりに関係する人の集まりがある…自分とはあまりつながりがないと思える種類のイベントであっても、体調などをみながら可能なときは参加、出席します。これらの主催はだいたいが保健所(江戸川区を例にすると健康サポートセンターのような名称)、社会福祉協議会(社協)、それに住民の自主団体でありますが、自治体の福祉部が関わっていることが多い。

(2)自分がどういう課題に直面しているのかを話す。=上のイベントに参加していくと、自分はどんな課題(困難、問題)に直面しているのかが自分でわかります。講演会で話す人は「この人は話しやすそう」という印象を持てる人もいるかもしれませんが、いきなり近づきの関係にはなれません。自治体等の関係職員は相談窓口にいる人や保健師、生活指導員などもいます。そういう行けば会える人に相談をもちかけます。これらの人は直接に問題(困難)を解消する人たちとは限りません。それは期待しすぎです。①話しながら自分で自分の持つ問題をより明確にする。②職員に自分が持っている問題を知ってもらうこと。——区民・市民がどういう困難をもっているのかを自治体職員に知ってもらうことです。

(3)職員の対応はいろいろです。自治体(及び国)の制度としてできていることを話される人が多いでしょう。それが役立つことはあります。しかし多くはそういう問題ではありません。国や自治体で設けられている制度は、自分には十分でないことが多いものです。身体症状などの解決策ではなく、周囲の補助的な役割とするものが中心です。そういうものとして聞くのです。

(4)これらを通して、何ができているのかと言えば、関係の職員(一人だけではなく、ときには異なる部門の数人)と顔見知りになることです。「あの人は、~でよく顔を見かける人(ときには名前も覚えられる)」関係になることです。自治体職員以外の関係分野で動いている人との関係ができることもあります。直接に身体症状・生活条件の改善に結びつくことはあまりないかもしれません。それでも自分の周囲の人たちとの関係はできていきます。これらの人全部が自分に好意的とは思いません。人間とはそういうものです。しかし特別に妨害者とか悪人がいるわけではありません。

(5)何が得られているのかの第二の面は、将来に少しの安全を感じられるようになることでしょう。これで完全というものはありません。友人・知人はうまくできなくても、自治体は(配置転換はあっても)職員はいます。そういう関係があれば、話せる相手になるでしょう。生活環境の少しの改善です。