「手紙でつながる」新企画に質問がありました。やり取りをする手紙を「手紙チーム」が内容を読む意図はどこにあるのかという趣旨です。
内容がアドバイスになっているのかどうかです。説得する、誘導するようなアドバイスでは、引きこもり当事者との交流が始まらない、始まる前に終わってしまう可能性を強く感じるからです。そこに留意したいのです。
手紙の内容はその人の経験や個人的な性格などが表現されて当然です。それがなければ典型的な回答例をつくり、配布をすれば事足ります。それでは感情的な共感は生まれません。つながるのは個人と個人です。理論のやり取りではなく経験に基づく感情的な交流です。
これはいくつかの経験に基づきます。
当事者のネット相談コーナーを作り、数件の相談事例がありました。ここで生まれた相談は親からのものであり当事者からのものではありません。
ネット上の相談に当事者がネットと通して答えました。このとき私は仲介として問い合わせもそれへの回答も転送の前に読みました。読んでもまったく支障がなかったのです。
回答した当事者は2名ですが、いずれも私と面識があり回答内容には事前に安心感がありました。いや、実際の回答は私の予測を超えて的確であり、丁寧であり、なによりも自分の経験に基づくものでした。問い合わせてこられた方への自然な共感がありました。
今回の企画は手紙で答えようとする人を広げます。そうしないと取り組みが広がりません。私の知る範囲でさえ多数いる引きこもり状態の人との接点ができません。そこではいろいろなタイプの人の参加を必要としています。善意でありながら指導する人もいるかもしれません。
大事なことは手紙を書く人も書きながら理解し、自分にとって有益なものできることです。以前に取り組んだ『ひきコミ』文通はそれができませんでした。参加者は800名近くいたのですが、何が起こったのかはよくわからないままです。始めてから10年後に状況をアンケートで調べもしました。60人余りの方から回答をいただき、そのうち文通をしていたのは37名です。文通を伸ばしていくには“何かがたりなかった”のです。そのたりなかった何かを、親しくしていた名古屋の木村茂司さんの手紙を生かして引きこもりの人とつながる取り組みに教えられました。
たりないものはメールの時代における文通の「明確な目標」です。「不登校・引きこもり・対人不安の人から発信する個人情報」(『ひきコミ』の発行スタンス)の文通を一歩進めた「引きこもりの人とつながる」ことです。他にも明確にしたいと思うことはありますが省きます。
この目標をみすえて、企画全体を考え、手紙チームをそこの組み込んだのです。その意図は上に書いたとおりです。
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引きこもりへの手紙活動の参加申し込みがありました
10月1日に書いた「引きこもりの人と家族への手紙活動」を、3日に発送しました。たぶん4日か5日には到着しているはずです。
10月8日、さっそく「手紙活動に参加する自己紹介」が1通ですが返ってきました。ずいぶん早いと思います。これがどの程度の人数の参加になるのかはまだ予測は付きません。数人分まとまったところで「手紙で交流しませんか-手紙活動参加者名簿」の冊子を作ります。
その冊子を引きこもり当事者・家族に届け、手紙交流の案内をします。このような活動に関心を持つ人には、活動の方法と申込書を送っています。多くの方の参加を期待しています。特に引きこもり経験のある人の活動参加をお願いします。
19日(土)午後には、説明会も予定しています。
引きこもりの人・家族との手紙活動に取り組みます
引きこもり状態の人と家族に手紙でつながる取り組みを始めます。関心のある人に企画書などをお送りしますので連絡をください。〔メール:open@futoko.info、FAX:03-5875-3731 松田〕
手紙活動参加希望者のための説明会を10月19日(土)午後1時30分から3時30分まで開きます。場所は不登校情報センターです。
手紙の送り先(手紙を受け取りたい人)は、主に家族から相談を受けた引きこもり状態の人です。その当事者は必ずしも手紙をもらうことに同意しているわけではありません。開始のときは家族の同意が必要条件です。引きこもりの家族が希望されるときは家族と手紙交流をすすめます。
手紙活動参加者の自己紹介を書いていただき、数人分まとめて「手紙で交流しませんか-手紙活動参加者名簿」を作ります。それを引きこもり当事者・家族に届け、手紙交流の案内をします。引きこもり経験のある人の活動参加を期待します。
引きこもり状態の人の様子は「手紙を受け取りたい人」の家族に書いていただき、それを冊子にして手紙活動参加者に送ります。それを参考に手紙を書きます。当事者が自分の様子を書くこともあると思います。そのときは当事者との手紙交流になります。
手紙の交流は「あゆみ書店手紙チーム」(不登校情報センター)を仲介して行います。
手紙は「あゆみ書店手紙チーム」が発送前に読みます。初回は「あゆみ書店手紙チーム」の添え書きをつけますし、以降も必要に応じて添え書きをつけます。この取り組みは以前の『ひきコミ』誌による文通を発展的・組織的にする性格になります。
手紙活動参加者が書くとき気をつけることは、①個人的な体験談がよく、過去の困った経験や失敗談が入るといいと思います。②アドバイスや説教的なものは読む気をなくしますので歓迎できません。外出や人の中にはいるのを強要せず、共感する内容をめざしてください。③書き方によっては書き直しをお願いすることもあります。④手紙は手書きの直筆だけではなくパソコンを使うことも認めます。⑤これらの理由から引きこもり経験者がいいのです。
この取り組みに参加する「手紙を受け取りたい人」は有料です。入会金3000円と手紙の到着1回(または到着月単位)1000円です。手紙活動参加者の参加費は不要です。手紙を書くと1通400円で、3000円以上になったら渡します。これは試験的な金額です。
手紙活動参加希望者のための説明会をします。10月19日(土)13:30~15:30。定員5名、参加費無料です。説明会に参加しなくても手紙活動に参加できます。
引きこもりの本人と家族への手紙活動を企画中です
親しくしています名古屋の木村登校拒否相談室の木村茂司先生からの質問の回答に、引きこもり状態の人に手紙を書く取り組みの例がありました。
不登校情報センターでは、引きこもりの人への訪問によるメンタルフレンド活動を続けています。メンタルフレンドは、訪問活動の開始まで、本人と会えるようになるまで、その後の展開などいずれも多くの課題があります。木村先生の手紙活動を見て、引きこもっている人に手紙でつながる方法もすすめたいと考えました。訪問と手紙がうまくミックスすれば活動全体が向上すると思えます。
そこで文通ボランティアの方に、この引きこもり状態の人への手紙活動への参加をお願いすることにしました。継続的な取り組みにするにはある程度の仕組みや基準づくりがいります。仕組みが決まればこれまでの文通ボランティアの方以外にも参加を呼びかけます。
手紙活動の説明会も必要になりそうです。
文通ボランティアの問い合わせ、今度は大阪の人から
文通ボランティアの問い合わせがありました。大阪在住の人からです。最近状況をお答えしました。
文通と文通ボランティアは続けていますが、あまりうまく働いていないのが正直なところです。
うまくいっていないのですが続けている理由は2つあります
(1)文通ボランティアを希望される方の中にはご自身が不登校や引きこもりを経験した方が多いと思われます。そういう方にご自身のこれまでの経験を体験手記のような形で書いていただくようにお願いしています。
その体験記を見て「この人に手紙を書いてみよう」と感じられる人が現れるのを待っているのです。体験者の多くは文通ボランティアを自称するだけではその方に手紙を書くだけの気持ちは起きてこないのではないか。そう考えて昨年あたりから始めた方法です。文通ボランティアを実際に動くものにしたいのです。
(2)もう一つも同じような理由なのです。「質問コーナー」をつくりました。不登校情報センターには本人や家族や時には支援者から問い合わせが入ります。
それに対して答えてきたわけですが、私一人が答えるのではなく活動分野の異なるほかの支援者や体験者の経験の基づく回答も寄せていただこうと始めたのです。これは今年の春になって始めたことです。
特に体験者の経験の基づく回答を重視したいと思います。すでに100項目ぐらいの質問を整理したのですがこれなら答えられるというものがありましたら、回答をお願いしたいのです。
1例を挙げますと、「〔質問01〕不登校・引きこもりに共通する強さや能力は?
不登校・引きこもりにわりと共通する特殊な強さや能力はありますか。」というものがあります。
自分ならどう答えるのかを考えてみてほしいのです。質問例はいろいろですが、関心があるようでしたら他にも送ります。
●不登校情報センター>質問コーナー>質問例 で見ることもできます。
問い合わせに答えたことにはならないかもしれませんが、これが実情です。このような文通ボランティアに参加していただければ歓迎いたします。
メール交換の提案を受ける
文通交換に関する1通のメールを受け取りました。紹介します。
「スマホでのメール文通交換ではダメでしょうか?
私は難聴を抱えていて同じような方とメールでお話をして気持ちの発散のお役にたちたいのですが…」
メール文通交換を実現するには、文通ではなくメール交換の体制をつくることになります。ネット上での文通呼びかけとメール交流を比べて考えてみました。
(1)呼びかけ文を掲載する⇒基本的に同じです。
(2)メール交換に参加する人の本人確認⇒これは健康保健証などによります。
(3)受取人のメールアドレスを知らせる方法⇒はじめは不登校情報センターが仲介するか、呼びかけに答えてメールを送る人からアドレスを開示することになります。不登校情報センターとは別の運営する人がいいでしょう。
(4)メール交換の開始と終了⇒終了の条件を守らないとメールアドレスを変えるしかなくなります。これがネックになるかもしれません。(3)の点も加わり仲介者の負担が多いと継続できません。
(5)以上とは別の方法でメール交換ページを設定できるかもしれません。それを含めて「不登校情報センター」サイト内にメール交換ページを設定し、運営する人はいませんか。
文通は「ひきコミWEB版」に呼びかけを掲載しています。文通ボランティア自己紹介も載せています。別に「メール交換」ページをつくることになります。
文通ボランティア、名古屋から
文通ボランティアについての問い合わせがありました。
珍しく名古屋市市民活動推進センターという公共機関からの問い合わせです。すでにネット上で不登校情報センターの文通ボランティアについて調べているようです。現状を次のように答えました。
(1)文通自体はあまりうまく行っているとは思えません。文通希望者の多くは、精神的にかなり追い込まれた状態の人が多いと思います。文通ボランティアの人は善意なのですがアドバイス的なことを言いやすいのです。これは非常に高い割合で「私にできそうもないことをやらせようとする人」に感じ取られます。その結果、そのときで文通が終了することが多いのです。
必要なことは、文通者の状態を受けとめることです。「あなたはそのままでいい」ということを文通者の言葉の中から文通ボランティアが引き出すことができるかどうかにかかっています。それを力量とすれば文通ボランティア希望者にはそういう力量が必要であり、ここをわかっていただくのはそう容易なことではありません。
(2)現在、不登校情報センターが勧めているのは、文通ボランティア希望者自身のなかに引きこもり等の当事者、半当事者がいますので、その人たちに自分の経験したことを紹介していただくようにお願いしています。既に数人がその要請にこたえてご自身の体験を書いていただいています。
(3)もう一つは、新しく「不登校・引きこもり質問コーナー」というページを立ち上げました。いろいろな質問が寄せられていますが(約80項目の質問に整理して載せています)、そのうち自分の経験から答えられることに答えてほしいとお願いしています。こちらは3名が参加しています。さらに参加者を募っています。
(2)にしても(3)にしても、ともに自分の経験を語り、答えることを求めている企画です。自分の経験を抜きにして、相手に対して何かを答えるというのは「あなたはそのままでいい」というスタンスにはなりにくいのではないでしょうか。
名古屋市市民活動推進センターの方は、その地域にいる人からの問い合わせを代行したものと思います。これまで名古屋周辺から文通ボランティア希望者は現われていませんので、歓迎する旨を伝えました。この取り組みは全国的なものです。東京や関東周辺の人だけではなく北海道や大阪などからの参加者がいます。
訳ありさんが文通ボランティア
文通ボランティアさんが1人ふえて7名になりました。ハンドルネームをrumi
さんと言います。
「文章好きのわけありです」のタイトルで紹介しています。
体験記を書いてもらいました⇒「騙されてたまるかと発奮」
不登校・引きこもり質問コーナーの回答も1件寄せていただきました⇒「真面目なタイプの勉強苦手の生徒」への回答。
このような不登校や発達障害などによるわけありの人の参加を歓迎します。
メール(open@futoko.info)で送ってもらうのがいいかもしれません。郵送などで本人確認をしますので、ご住所も書いてください。
文通とボランティアの経過
北国在住の方から「文通ボランティアの募集」について質問の手紙をいただきました。
これまでの経過を要約して説明しました。
文通ボランティアの問い合わせをいただきました。ありがとうございます。できる方法でご参加いただければ嬉しいです。
文通と文通ボランティアの方法や内容は長い間に少しずつ変わってきました。当初は知人・友人関係づくりのきっかけのつもりでした。もともと対人関係が少ない・苦手の人たち向けの企画です。
それなりの役割があったと思いますが、文通に関して言えばいくつかの状態が現れました。それは3年前に実施したアンケート回答に集約されています。
(1)文通自体の持っている役割の限界もあります。それは承知で文通にできることを生かそうとした取り組みです。その意味で失敗ではありませんが、状況を感じながら工夫と改善を重ねました。文通の特徴には女性の参加が多いこと、メールのやり取りと違い主に直筆の手紙です。手書きの文字は人を表わします。メール(活字)などで絵文字が使われるのはそれを補足する意味もあると思いますが、直筆には及びません。
(2)文通の特性かもしれませんが、最初はひんぱんに、やがて途切れ途切れになり、年賀状の交換だけ、または中止の例が続出します。10年以上前から始めたのですが文通として続いているのはきわめて少ないと思います。他の形になっている人はいますし、それはめざしてきたことです。
(3)手紙の内容は精神的な負担や打撃を受けた経験になりやすいものでした。これを“メンタル文通”と称しています。文通の相手によっては“メンタル文通”が負担になり、文通自体が終わりました。互いに精神的な負担を交し合う形の文通も成立しましたが、どちらかの体調・精神状態が落ちると、中断から中止になりました。
(4)文通ボランティアの人は、気づかなかったのですが初めからいたのでしょう。文通ボランティアの申し出が目立つようになったのは、活発に多くの文通が行われた時期をすぎてからです。初めて文通ボランティアのことばを聞いたころは意味がわかりませんでした。文通ボランティアの申し出が続いてくるうちに意味を考え始めました。そして3年ほど前に名前を登録し、文通を希望する人に紹介し始めたのです。
(5)文通ボランティアの人が役割を始めたころ、時たま聞かれたのは「正しいこと・とるべき道」を示してうまくいかなかった例です。それは“メンタル文通”にはとりわけ不要なことでした。書かれていることへの共感、経験の共有、“弱さでつながる”ことが求められるのです。それは人間が物事を理解し納得していく方法に関係します。理論的に正しいといっても、すぐに理解できず納得できず、実際にできないものです。それは人間の弱さではなく、人間の深さや厚さに根ざすので人間の強さに関係します。
(6)こうしてたどり着いた現在は、不登校や引きこもりの経験者にもできる人に文通ボランティアを勧めています。あなたの場合はそれに準ずる意味がありそうなので、その経験を可能な範囲で書いて送ってください。それを「文通ボランティ紹介コーナー」に掲載します(それらは冊子にし同封しました)。
(7)もうひとつはあなたの経験に基づいて「みんなの質問コーナー」の寄せられた質問のどれかにあなたなりの答えを考えてみてください。実例があるとわかりよいでしょう。
以前の投稿や古い文通相手
ネット上の文通よびかけ「ひきコミWEB版」により、文通を始めるケースが少しずつ続いています。それは歓迎すべきことなのですが、10年以上前の投稿も掲載されています。それは今では文通のきっかけというよりは、一人の記録のようになっています。実際にある人は自分の投稿の記録を「日記代わり」(?)にしていると言っていました。
それでも住所等がわかるかぎり転送いたします。ただそういう古い投稿文には、事情が変わっている人もいます。お返事をいただく可能性は低くなるものと受け止めていてください。
もう一つの例です。以前に文通をしていて、それが中断して長い時間がすぎた(ご本人の記憶では10年以上)。相手も数人いて、その相手を思い出せないけれども再開したいのでわかりますか、という問い合わせがありました。
この方には、ご自分の以前のご住所(転居しています)、相手の方のお名前や掲載された『ひきコミ』の号数やペンネームなどのうちわかるものを手がかりにしたいのでお送りいただくようにお願いしたところです。これにより1人でもわかるかどうかというところです。
以上何かの参考になればと思います。