「手詰まり感」

引きこもり事典=通知6」=「引きこもり生活事典」に登録することばを紹介します。

手詰まり感(てづまりかん):それほど多くのことに挑戦してはいませんが、自分のなかでは何をしてもうまくいかないという予測がつきます。知識、常識、技術、容姿、特技、好感度などいろんなことに何一ついいところがないのです。他の人からはあれがいい、これがどうと言われてもまったく実感がありません。次に何かをする手がないのです。

男性タレント(だんせいたれんと):*男性は女性と一緒の集まりのとき、好みの女性タレントの名前をポンポンと挙げます。女性は聞く側に回って「かわいいよねー」とうんうんうなずいていますが、それほど興味があるわけではありません。それよりも好きな男性タレントの話題を持ち出したいくらいですが、面食いだと思われたくないので我慢しています。女性だって若いイケメンが嫌いなわけではないのです!

神社まいり(じんじゃまいり): *心のままに動いていくと、やけ食い、なげやり、ほったらかし気分が高まり自分が堕落しそうになる気がします。そんな自分を清めたい、自分を守りたい気持ちでときどき神社に行きます。清浄な気持ちを取り戻すのです。

編集部から〕引きこもりを経験した人の感性・感覚等を辞書にしています。個人差がありますし、一般人にも共通することもあります。引きこもり理解に役立つはずです。ここで紹介する辞書ことば(意味の説明を含む)を募集します。表記は編集部の責任で行います。
open@futoko.info」事典 までお寄せください。

不登校情報センターのサイト案内=「体験者・当事者の関するページ」はトップページの「体験者」をクリックするとつながるページです。特に不登校・引きこもりの経験者と家族に見ていただきたいページです。「引きこもり生活事典」もこのなかのページです。

次の目標は信頼性を得ること

高年齢引きこもりへの対応(その5)  さてこのシリーズの次のテーマに移ります。当事者と訪問者が会えるようになったときの状態、関わり方、話すこと、作業をすることなどのテーマです。これは当事者の興味・関心が大きく作用します。家族はここを可能な範囲で子どもの様子を注意し観察していてほしいものです。それが訪問して何をするのかの決め手になることがあります。
誤解が生じるのはここです。引きこもっている当事者をすぐに外に連れ出すと期待することです。そういうこともありましたが、それはレアケースです。初めからそれをめざす訪問サポートは、その1回で事実上終了になりかねません。そればかりではなく、次に何かを始めるのがいっそう困難になります。本人は意に沿わないことをされたという印象が残るからです。

私の訪問活動では、当事者の外出につながったものばかりではありませんが、そういう強引なやり方はできません。そういう当事者の意思や感情を無視したやり方は、いい結果をもたらさないと思うからです。しかし、どのような方法、当事者とあって何をするのかは、簡単なことではありません。研究の余地のある難しいテーマであることは理解しておかなくてはなりません。
この難問のテーマでとにかくはっきりしていることがあります。それは当事者から信頼を得ることです。信頼関係は種類または程度があります。それをどう確認できるのかも大事です。
①この訪問者は自分の意に反したことはしない。
②この訪問者は自分のおかれた状態や、性格や好みを理解しようとしている。
③この訪問者は、自分のようなタイプに対してどういう方法が最もいいのかを提示しようとしている。
たぶんこの3つの要素が組み合わさった姿勢になると思います。
私はもちろん初めからこういうことがわかっていたわけではありません。この視点が最終的に到達した必要要素と考えているわけでもありません。むしろ自然体というか、出たこと勝負の気持ちで訪問を重ねることがいまでも多いのです。
こちらが何かのテーマを持って与えようとするのではなく、当事者が表に出してきた気持ちやことばを感度よく受けとめ、引き出そうとするとそうなります。そうする気持ちの奥にあるものを引き出して言えば、このような3つぐらいのものになるのです。
これを私の教育的な方法と考えています。自分から否定的なものが少なくなってきたときに意欲とエネルギーが浮上します。そういう引き出そうとする方法、これが教育的な方法です。教育というのは「教」すなわち教えること、そして「育」すなわち育てることです。教育は「育」が難しく、また肝要なのです。教えることは一夜漬けでもできますが(失礼! 言いすぎです)、育てることは自分の全体を向けても届かないことが多いのです。全力で向かうと巧拙にかかわらず伝わるものがあると思えます。信頼関係をつくろうとする時期には、これが似合いのスタンスです。

*訪問活動についてはこれまでもいろいろな機会に書いてきました。比較的まとまったものは2008年夏から年末にかけて書いたものがあります。「引きこもり生活者への訪問活動」(その1)(その2)(その3)(その4)です。参照し今回と比較してみてください。

まんが『闘う女医(上)』を読む

『闘う女医(上)』という50ページのまんがが送られてきました。美健ガイド社・発行、A5版、定価525円(税込み)。
お礼のメールを送りましたので、それを紹介しておきます。また「良心的な病院(医師)の選び方」のチェックリストが掲載されていますので、紹介します。

ナチュナルクリニック代々木・神津健一 様
まんが『闘う女医(上)』を受け取り、さっそく拝見しました。
日本における精神科医療の現状をこの形で知らせるのはいい方法ではないかと思います。
まんがの中の神津先生はちょっとかっこよすぎて、読まれるご本人としてはどんな顔をしていればいいのかいささかご同情を致すところです。
ともあれ、このまんがは不登校情報センターのサイトでも紹介いたします。
ナチュナルクリニック代々木がこのまんが普及により多忙すぎる状態にならないようにも祈るしだいです。  2012年7月2日 不登校情報センター・松田武己

*「良心的な病院(医師)の選び方」(チェックリスト)
□自分の症状(病気)に対する専門医がいるか?
□最新の検査及び治療施設が整っているか?
□他の代替医療についての説明があったか?
□投薬に対する詳しい説明と副作用の説明があったか?
□担当医が患者の顔を見て話をするか?
□病気の原因が明確でないのに、取り敢えず、薬を処方していないか?
□家族のこと、仕事のこと、食生活等に対する説明やアドバイスがあったか?
□理由を説明せずに採血や採尿、その他の検査を一方的にしようとしなかったか?
□セカンドオピニオンを勧めたか、セカンドオピニオンに対して耳を傾けたか?
□診療、検査、投薬、その他治療にかかる諸費用について、事前に説明があり、患者の了解を得たか?
□待ち時間が長いか、短いか?
□診療時間が15分以上か、以下か?
□入院設備のある病院の場合、以下の4項目はどうか?
1、環境。2、当直医と看護師の数。3、室内の設備。4、食事の内容。
□症状が急変した時、救急の設備と態勢が整っているか?
□通院するのに交通の便はどうか?

ま、100点満点とはいかないでしょうが1つの参考になるでしょう。