20歳前後の無業者のスペースが必要です

20歳の青年の父親が来られました。
高校は卒業していませんが、現在のフリースクールを続けるには他の子どもたちと年齢差がありやりにくいようです。
そこを“卒業した”あと、どこか行く場所はないのかと探しているのです。
これは高校を卒業したあとで進学しない、就職しない、職業訓練しない人たちの行き場がないということの延長線上にある状態です。実は進学しないのではなく進学できないのです、就職しないのではなくて就職できないのです。職業訓練を受けないのではなく受けられないのです。
それは高校を卒業しているとか、卒業していないとかはほとんど関係しません。
通信制高校の卒業生の45%が無業者であるといいます。その人たちのなかにもこういう人が少なからずいます。
共通しているのは、対人関係ができない、社会的な関係が結べないのです。
アルバイトなどの仕事をするにしても、わからなすぎるし、できなすぎる状態です。

高校時代までにそういうものはできているはずというのは1つの思い込みです。
現実はそれのできない多数の青年がいます。
その人たちに適した居場所ないしは教育スペースが求められているのです。
この日来られた父親の話は、そこに高校卒業というテーマのある人です。
これまで見聞きしたなかには、軽度の精神障害領域に入っている人もいます。
高校は卒業しているけれども実質的には読み書きに不便を感じるほど学力のついていない人もいます(たとえばそれが負担になり、役所に何かの証明をもらいにいくのを躊躇することもあります)。
学習塾に通いながら進学や就職に結びつかないまま20歳前後になった人がいるように思います。
様子は個人個人で少しずつ違いますが、共通性はあります。
おおよそ18歳から20代前半の年齢でこのような状態にいる人たちを支援する場所と人が必要ではないかと思います。
そういう人のための社会塾と考えられます。
私は以前に高校を卒業した後も、4年生、5年生を設けてはどうかと提案したこともあります。
それらを含めて真剣に考えてみるときがきています。

日の丸、天皇、神社、そして閾値

今年も卒業式の季節が来ました。学校の卒業式などに日の丸、君が代を強制する条例がいくつかの自治体で導入されています。
平成天皇はかつて、春か秋の園遊会のおりに「(日の丸、君が代は)強制はしないのがいい」趣旨の発言をしています。
また日本で天皇制が長く続いたことに触れて、これまでの歴史において天皇が政治の前面に出ない時期が長かったかったことをあげました。昔から天皇制は、現在の象徴天皇制のようであったと言ったこともあると思います。
政治的な発言は慎重に避けているなかでの表現ですが、そういう天皇制であるから長く続いてきたというように聞こえました。

日本の歴史のなかで、天皇制が一貫してそのようなものではあったわけではありません。
ことに明治期以降から戦前まではそうでしたし、天皇中心に歴史が展開しているとする皇国史観が思想統制に使われました。
アジア太平洋戦争の時代においては、いわば当時の昭和天皇の思いを超えて天皇制が軍国主義に利用されたと私は推察しています。すなわち絶対主義的な天皇制として利用され、振る舞った時代があります。
昭和天皇がその時代に、国際問題を外交的に解決する平和主義者であったとはいえないまでも、近隣諸国を軍事的に征圧する方針の主役ではなかったことを示す多くの材料があります。
戦後は象徴天皇制を積極的に推進していると見受けられます。
平成天皇はそれを受け継ぎ、それが天皇制継続の要諦と考えているかのようです。
私はそのようなものであれば、象徴天皇制は続いてもいいのではないかと思います。
絶対主義的な天皇制は認められないけれども、象徴天皇制ならば甘受できるというものです。

同じことが日の丸や君が代にも当てはまります。
国の法制として「国旗国歌法」ができたのは、その意味ではすでに行きすぎなのです。
昭和天皇は戦争のA級戦犯といわれる人たちが祭られるようになって以来、靖国神社には参拝しなくなったと聞きました。平成天皇も同様の立場をとっているようです。天皇の立場において真摯な戦争責任を示したものと考えます。靖国神社は天皇の思いとは違う方向の対処をしたように思います。
同様に、君が代が強制的に歌わされ、日の丸も強制的に掲揚されるようになれば、これは天皇の思いを超えたものになると推察されるのです。
このような動きをする右翼的といわれる人たちは、天皇をして復古的な社会制度をつくりだすのに利用しようとしていると見えます。すなわち天皇の政治的な利用です。
これらが顕著になると、いつもは穏やかに眺めている人たちも、君が代や日の丸やさらには天皇制に関しても“アレルギー反応のような”拒否感を持ってしまいます。人の姿は押さえ込んでも、心を制圧することはできません。そのような押さえ込みは逆効果でしょう。
学校や社会のいろいろな場面で君が代や日の丸に拒否反応を持つ人の多数は、戦争時代に現れた絶対主義的な天皇制の下での君が代、日の丸への拒否反応が継続しているのです。
デザインとしての日の丸、音曲としての君が代ではなく、政治的・思想的な付着物が受け入れられないのです。
むろん君主制ではなく、人民主権に基づく国家・社会関係こそが日本社会のあるべき姿であるという立場からの天皇制への反対もあると承知しています。そういう人でも天皇制が甘受できるのは各人の思想・信条が守られる条件においてです。「強制的な要素」は天皇制までも否定的な感情の対象にし、心理的な“アレルギー源”にしてしまいます。

私はここで神社を挙げて対比したいと思います。靖国神社のような政治目的から生まれたものは例外として、日本に万単位あるという神社には一般にそういう強制を感じさせるものはありません。神社が思想的・歴史的あるいは宗教的に天皇制とつながっていることは確かですが、普通はそこに強制を感じることはないし、自然信仰的な日本人の感情に溶け込んでいます。
明治のころには皇国史観の風潮のなかで「神仏判然の令」により寺院を神社に統合する動きが全国的に展開されました。これが続いていれば神社も別の“アレルギー源”になっていたのかもしれませんがそうはならずに止まりました。
それに比べれば日の丸や君が代はかなり汚れてしまいました。汚れを洗濯するにはそれにふさわしい振る舞いと時間を要するものです。君が代、日の丸の法制化や強制はそれとは逆の働きです

“アレルギー源”になるのかならないのか、その境目は自然な感情にとどまるのか、それを超え自然な感情を超える領域にまで閾値を高めるのかにかかっています。
日の丸、君が代の制度化、強制の動きが強まれば(それは天皇の政治的な利用が強まればと言い直してもいいでしょう)、国民のなかに批判的気分・感情が広がります。おそらく平成天皇の言葉の背景にはそのような状態を好まない気持ちがあるのではないかと思います。
確かに強制やその背景になる法制化は、天皇制の存続を危険に向かわせる要素になるのです。

杉並進路相談会で入手できる学校案内書

3月18日「不登校・中退生のための進路相談会」が近づいてきました。いろいろな準備を進めていますが、当日入手可能な学校案内書を紹介します。
3月12日現在の状況です(学校名などは都道府県別)。
全日制高校13、通信制高校39、技能連携校・専修学校高等部24、通信制サポート校38、フリースクール17、中学校5、海外留学3、山村留学3、家庭教師3、相談機関3などに分けられます。

東京都=梧桐学苑、青山ビューティ学院高等部、アミータ福祉教育学院、和泉自由学校、インターパシフィックハイスクール・ジャパン、大森家政専門学校、親と子の相談室SORA、鹿島学園高等学校、学研のサポート校WILL学園、カルぺ・フィデム、キズキ教育塾、国立音楽院高等部、クラーク記念国際高等学校、グローバルスクール、芸術工芸高等専修学校、恵友学園、Kenビジネススクー ル、孝学舎、江東服飾高等専修学校、晃陽学園高等学校東京校、国際製菓専門学校高等課程、国士舘高等学校、このはな学舎、渋谷高等学院、渋谷高等学院町田校中等部・高等部、J-Web School、情報学館、新宿情報ビジネス専門学校、数学塾むれ、杉並高等専修学校、スプラウツ、精華学園高等学校町田学習センター、第一高等学院東京四谷校、大智学園高等学校、WSOセンター、TerakoyaBAB School、東海大学付属望星高校、東京共育学園高等部、東京国際学園高等部、東京コミュニティスクール、東京シューレ葛飾中学校、東京ネットウェイブ、稲門高等学院、日本航空高等学校東京サテライト、日本文理学院高等部、日出学園高等学校、ファッションカレッジ桜丘、二葉ファッションアカデミー、不登校情報センター、フリースペース・コスモ、フリーバード学園高等部、文化高等学院(さくら国際高等学校北多摩学習相談センター)、ポケットフリースクール、北海道芸術高等学校東京池袋キャンパス、三鷹富士学院、武蔵野東高等専修学校、八洲学園大学国際高等学校、八洲学園高等学校、 代々木アニメーション学院高等部、代々木高等学院、両国第一高等学院、わせがく高等学校。
北海道=札幌中央義塾高等学院、北海道芸術高校、北星学園余市高等学校。
岩手県=盛岡スコーレ高等学校。
宮城県=くりこま高原若者自立塾、チャーチスクール・シューブ、西山学園高等学校、
茨城県=ウィザス高等学校、鹿島学園高等学校、東豊学園つくば松実高等学校。
栃木県=国際情報ビジネス専門学校高等課程(TBC学院宇都宮校)、国際TBS高等専修学校。
群馬県=学芸館高等学校、白根開善学校高等部、中央高等専門学院。
埼玉県=浦和高等学園、大川学園高等学校、大宮予備校、彩星学舎、自由の森学園中学校・高等学校、すくーるYOU、東京国際音楽療法専門学校高等部、東京西武学館高等部、日々輝学園高等学校東京校、プロ家庭教師埼玉。
千葉県=開進学園、柏高等技術学園、旭日学園高等学院部、興学社高等学院、橘学園高等部・フリースクールあおば、千葉モードビジネス専門学校、東葉高等学校、中山学園高等学校、パリ総合美容専門学校柏校、フロンティア・インターナショナル、文理開成高等学校、明聖高等学校、勇志国際高等学校、ゆうび小さな学園。
神奈川県=岩谷学園高等専修学校、エデュベル学園、楠の木学園、湘南国際学院、星槎学園高等部、星槎国際高等学校、ヒューマン・スタジオ。
新潟県=葵高等学院、新潟中央学院。
山梨県=エスペランス(青森山田高校山梨校)、自然学園高等学校、駿台甲府高等学校、日本航空高等学校。
長野県=いのちの森の学校、さくら国際高等学校、信濃むつみ高等学校、どんぐり向方学園・天龍興譲高等学校。
静岡県=オイスカ高等学校、笹田学園、ハルハウス、飛龍高等学校三島スクール。
愛知県=黄柳野高等学校。
三重県=愛農学園高等学校、伊勢理容美容専門学校高等課程、ウィッツ青山学園高等学校、代々木高等学校。
滋賀県=アットスクール。
大阪府=デスクスタイル・フィール。
兵庫県=相生学園高等学校、生野学園中学校・高等学校、神戸YMCA高等学院。
和歌山県=高野山高等学校、国際海洋第二高等学校。
岡山県=吉備高原学園高等学校、希望高等学園、明修高等学園。
広島県=広島舟入商業高等専修学校。
徳島県=四国高等学院。
高知県=仁淀川町池川自然学園。
福岡県=福智高等学校。
大分県=竹田南高等学校。
沖縄県=珊瑚舎スコーレ。
*合計:143学校・教室、もう少し増えそうです。
*案内書が少ししか残っていないところもあります。