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(4)第六感としての「心の雰囲気がわかる」感性

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この論文は『不登校・引きこもり・ニート支援団体ガイド』の序文として書いた「引きこもりからどう抜け出していくのか」です。

 

(4)第六感としての「心の雰囲気がわかる」感性

五感が人体の感覚器官によって得られる、内包されたものであるとすれば、その外側あるいは奥行きに、外延的に広がっている感覚があります。
これが第六感です。

国語辞典によると第六感とは「〔五感の働き以外によるという意から〕直観的に何かを感じとる心の働き。勘」となります(『新明解国語辞典』第4版、三省堂、1989年)。
「体調がいいときには、第六感もよく働く」という言葉を聞いたことがあり、これはもっともらしく聞こえます。
五感を超えて五感を総動員しながら把握する総合的な外部情報入手、判断方法なのでしょう。

たとえば、自分が経験したことであっても、歳月とともに記憶に沈んだことが、ある場面で突然蘇り、自然な感情反応のように表出してくる経験も、もしかしたら第六感に入るのかもしれません。
その場ではうまく説明できないけれども、何か確信めいたものがあって、とっさの判断として出でくる反応はどうでしょうか。

これらは、第六感とはいってもおそらく何らかの自分の経験に基づくものがあり(それはその時点での感覚によって得られている)、感覚による外部(周辺)情報の入手とは同じなのかもしれません。
それらの境界は不明ですが、引きこもりの人には、五感も第六感もよく働く人が多いという印象を私はもっています。
この第六感の全体像は私にはわかりません。
単一のものではなくて、いくつかの要素から構成される小宇宙という感じがします。

要するに、引きこもりになる人は、五感や第六感が繊細で敏感であることになります。
私は、これを引きこもりになる先天的要素だと考えています。
そして、日本の現実は、この先天的要因を促進させる環境条件に満ちていて、かつてはこの先天的要因を子ども時代に取り去っていたのに、いまでは思春期からそのまま青年期にかけて持続させ、成長させているのです。
前近代においてならば、貴族的生活者に限定して生じたことが、いまや庶民レベルにまで広がったと言ってもいいのかもしれません。

繊細な感性は、人間としての優れた面と言っていいでしょう。
ところが、これが引きこもり(特にその中心の対人関係がうまくいかない)の要素になるものです。なぜでしょうか。

私は、この繊細な感性の持ち主は、言い換えれば、「ヒトの心の雰囲気がわかる人」であると考えています。
五感や第六感の優れていることとは、このような役割をはたすのです。
そして「ヒトの心の雰囲気がわかる」ことが、対人関係を萎縮させ、緊張させ、回避させるように働くのです。
またそれが周囲にいる人を慎重にさせる連鎖反応をよびおこすのです。

ある精神医学者は、次のように述べています。
この人(およびその著書の訳者)は、私の「繊細な人」の代わりに「小胆な人」(大胆な人の反対語)を使っています。
気が小さいという意味でしょうが、意味するところは「繊細な人」と同義です。

①小胆な人は、平凡な人が気がつかない日常のささいな出来事にいち早く気がつく。
②そのことを小胆な人は、自信をもって外部に力強く発表することはない。
しかし、それを継続して気にかけている。
③小胆な人は、気づいたことによって、自分の心が傷ついてしまう。
何か自分に責任があるかのように葛藤したり、優柔不断になる。

私の周囲にいる引きこもり経験者は、これに、ピタリと一致する人たちです。
繊細な感性をもち、ヒトの心の雰囲気がわかるがために自分のほうが萎縮し、気づいていながらも発表できず、自分の心の世界のなかに向かっていくのです。

しかし、私たちにはこのことを非難がましくいう権利はありません。
このような内面的な作業をとおして、人間世界の重大な問題を提示する人が、このようなタイプの人から現われるからです。
先の「小胆な人」について記した書名が『天才の心理学』であるというのは、著者E.クレッチュマーのライフワークとも言える研究の上に立つ重みのある提示なのです。

(1)引きこもりと不登校、ニート
(2)引きこもりのさまざまな原因・理由
(3)五感が敏感な人たち
(4)第六感としての「心の雰囲気がわかる」感性
(5)自己点検で感情を抑制していく
(6)本人の悩み・訴え・症状と対応
(7)意欲(生命力)を引きだす基本
(8)引きこもりからの回復と母親の役割
(9)反発心が自立には必要
(10)親の「あきらめ(?)」と子どもの自由への復帰
(11)親しい友人づくりと同世代復帰
(12)精神的な健康回復が先行

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