アラフォー世代の人が久しぶりに訪ねてきました。これまでいくつかの職につき、いまはアルバイト生活です。家賃6万円台でほかに最低10万円の生活費は必要です。彼によれば正社員は「乾いたタオルを絞るようにされ」、それ以外の働き方は“ワーキングプア”になる。その状態から抜け出す方法を考えてきたのです。
追い回されない働き方で生活条件を確保し、その片側で副業を始めそれを自営業に成長させるのがいい。このあたりは私と同じです。もともとそう考えていたのでしょう。
ネットで実名を出して活動し、就職時に検索されて失敗した例をいくつか見てきたようです。ネット情報はいいことは載らずどうでもいいことが拡散しやすいものです。これまで働いてきたのはネット関係の業務なので、その実例が印象強く残っているのです。
副業としては問題視されることはしないけれども、屋号を使って始めたいといいます。「不登校情報センター」も「あゆみ書店」も、ここでいう屋号にあたります。ネット上で商品・サービスを告知し、金銭の取引をするときは「特定商取引法による表示」が必要です。そこには責任者の個人名を出さなくてはなりません。それがネックで、それに代わる方法をいくつか検討しました。条件を支障なく満たすものはありませんが、なんとか可能な方法はありそうです。
月別アーカイブ: 2013年3月
文通とボランティアの経過
北国在住の方から「文通ボランティアの募集」について質問の手紙をいただきました。
これまでの経過を要約して説明しました。
文通ボランティアの問い合わせをいただきました。ありがとうございます。できる方法でご参加いただければ嬉しいです。
文通と文通ボランティアの方法や内容は長い間に少しずつ変わってきました。当初は知人・友人関係づくりのきっかけのつもりでした。もともと対人関係が少ない・苦手の人たち向けの企画です。
それなりの役割があったと思いますが、文通に関して言えばいくつかの状態が現れました。それは3年前に実施したアンケート回答に集約されています。
(1)文通自体の持っている役割の限界もあります。それは承知で文通にできることを生かそうとした取り組みです。その意味で失敗ではありませんが、状況を感じながら工夫と改善を重ねました。文通の特徴には女性の参加が多いこと、メールのやり取りと違い主に直筆の手紙です。手書きの文字は人を表わします。メール(活字)などで絵文字が使われるのはそれを補足する意味もあると思いますが、直筆には及びません。
(2)文通の特性かもしれませんが、最初はひんぱんに、やがて途切れ途切れになり、年賀状の交換だけ、または中止の例が続出します。10年以上前から始めたのですが文通として続いているのはきわめて少ないと思います。他の形になっている人はいますし、それはめざしてきたことです。
(3)手紙の内容は精神的な負担や打撃を受けた経験になりやすいものでした。これを“メンタル文通”と称しています。文通の相手によっては“メンタル文通”が負担になり、文通自体が終わりました。互いに精神的な負担を交し合う形の文通も成立しましたが、どちらかの体調・精神状態が落ちると、中断から中止になりました。
(4)文通ボランティアの人は、気づかなかったのですが初めからいたのでしょう。文通ボランティアの申し出が目立つようになったのは、活発に多くの文通が行われた時期をすぎてからです。初めて文通ボランティアのことばを聞いたころは意味がわかりませんでした。文通ボランティアの申し出が続いてくるうちに意味を考え始めました。そして3年ほど前に名前を登録し、文通を希望する人に紹介し始めたのです。
(5)文通ボランティアの人が役割を始めたころ、時たま聞かれたのは「正しいこと・とるべき道」を示してうまくいかなかった例です。それは“メンタル文通”にはとりわけ不要なことでした。書かれていることへの共感、経験の共有、“弱さでつながる”ことが求められるのです。それは人間が物事を理解し納得していく方法に関係します。理論的に正しいといっても、すぐに理解できず納得できず、実際にできないものです。それは人間の弱さではなく、人間の深さや厚さに根ざすので人間の強さに関係します。
(6)こうしてたどり着いた現在は、不登校や引きこもりの経験者にもできる人に文通ボランティアを勧めています。あなたの場合はそれに準ずる意味がありそうなので、その経験を可能な範囲で書いて送ってください。それを「文通ボランティ紹介コーナー」に掲載します(それらは冊子にし同封しました)。
(7)もうひとつはあなたの経験に基づいて「みんなの質問コーナー」の寄せられた質問のどれかにあなたなりの答えを考えてみてください。実例があるとわかりよいでしょう。
ひきこもり国語辞典を作成
『ひきこもり国語辞典』の手作りの本が出来ました。
A5版110ページです。定価400円(税別)、送付するときは1冊500円(送料含む)とします。
これまで「引きこもり生活事典」ページに書き加え、蓄積してきたもので合計276語あります。
主に通所してきた人たちから聞いたことばを私の責任で編集しました。しかし、各ことばのオリジナリティはそれぞれの人にありますから、万一この本が売れたら(可能性は薄いかもしれませんが)、しかるべき原稿料をお渡しします。
問題はその「オリジナリティ」が誰のものかわからないものもあることです。
情報センター内に置かれている「言葉カード」に書いた人は問題なくわかります。それ以外の私が聞いて書いたものは、忘れないようにある時期からは「引きこもり生活事典」に暗号符を振っていたのですが、不明なものも多いです。心当たりのある方は申し出てください。もう1つは「オリジナリティ」が2人以上にある場合です。最初に言った人というよりも、私がピンときたときのものが採用されます。そのあたりにあいまいさが残りますが大目に見てください。
なお引き続き、「引きこもり生活事典」として、ことば集めを続けます。
情報収集の事務はまだ1人
情報収集の事務グループは水曜日・金曜日の午後に作業をすることになりました。
27日(水)は3名が参加しグループになるのかと少し期待したのですが、今回もまた1人でした。
直前に参加できない旨の電話連絡がありました。
「当日になって参加できそうであれば参加してください。水曜日や金曜日以外でも来れそうなときは来てください。そのときは事務作業を一緒にできることもあるしできないこともあります。作業はなくても事務作業マニュアルを参考に話はできます」。
他のだれかと一緒に作業をするよりは一人で始める方がいいと思う人もいるかもしれません。そう考えて電話ではこのようなことを話しました。
作業はそれなりに進行しています。止まらないことが大事であって、速度は求めないこれまでのままです。
かつしか応援ネットの全体会
かつしか子ども・若者応援ネットワークの全体会がありました。
年度末の多忙な時期であり、一連の講座を終了した区切りになる全体会です。
予想通り(?)参加者は少なかったのですが、区の職員が4名参加(うち2名が部署移転により担当を離れますが、参加をしてくれました! ご苦労様でした)していて、もっていった配布資料が1部不足になりました。
テーマは、来年度の企画の概要づくり、会費を含む会則の検討などです。一度にまとまるものではありませんが、提案を受けた状態になります。これからの会合や作業チームのなかで具体化することになります。
私は「各団体の紹介」のパンフレットをつくる課題で1つの案を紹介しました。先月、杉並区社会教育センターがまとめた『不登校・ひきこもり支援 関係各課・団体紹介資料』です。パンフレット作成は広報効果が大きいのですが、費用がかかります。それを作成するにしても手元にその素材となるものがあると有効です。いわばその素材となる各団体紹介をネット上につくろうという提案です。結論的なことは出ませんでした。
日常的な団体内での情報交換をメーリングリストでしていますので、この利用を確認しました。
引きこもりへの訪問目的を思う
引きこもりへの訪問サポート活動の目的を私の経験から考えてみます。
不登校情報センターでは訪問サポート部門にトカネットがあり、組織的に系統的な訪問を続けています。それらに関する事例は私には間接的なものです。
私が直接に訪問した経験から考えます。引きこもりの人の自宅を訪問した場合を訪問サポートにカウントすると、私は40人ぐらいへの訪問サポートがあります。
当然いろんなケースが混じります。1回だけの訪問ケースもありますし、引きこもっている本人と会うのが目的ではない場合もあります。その経験を交えた雑談程度の話しとしましょう。訪問先で顔を合わせる意味が中心になりそうです。
最初のテーマというか、難関は会う目的で行って会える可能性です。会う目的で行って会えなかったケースは2人います。会う目的で行ったわけではないのに(偶然?)顔を合わすことになったこともあります。
1人は、20回ぐらい訪問して1度も会っていません。確実に在宅をしていますが顔も見ていません。家族(主に母親でときたま父親もいる)と話してくる繰り返しでした。訪問サポートを開始する前の手順が粗略ではなかったかと反省しています。
家族の中には私と会って話ができれば動き始めるとでも思う人もいます。不慣れなころはそれに動かされて、目的があいまいなまま顔を合わせたこともあります。
私の場合は、親がどう期待しようと本人を見た瞬間にそれらはどこかに失せてしまう“特技”があります。実際そんなことに左右されていては、本人の持つテーマはわかりません。かといって親の期待(多くは期待過剰になりやすいですが)を横におけば、引きこもりの人のテーマが自動的にわかるわけでもありません。
顔をあわせたとき、引きこもる人の緊張感を計る体内のセンサーが作動する感じがします。相手の緊張感を緩めようと思います。顔を合わせている間に、自然な笑いを感じたら合格の部類です。
なぜ緊張するのでしょうか。いや緊張はむしろ当然です。訪問をする私もたぶん緊張感があります。訪問を重ねるにしたがい、私が訪問のときどうすれば脱力できるかがわかるようになりました。極端な言い方ですが、私のほうが訪問目的を持たないことです。これが脱力できるコツです。
引きこもりの人は訪問を受けるときなぜ緊張するのでしょうか。このときの緊張の発生源は訪問者から持ち込まれます。この訪問者は何をしにくるのか、何かをされるのではないか、どんな人なのか、人の気持ちを理解できずに何かをしようとする人ではないか…これらの緊張を生み出す要素はすべて訪問者がもってくるものです。
一般の人間関係ではここまで緊張はしません。引きこもりの人は対人における感受性が強いこと、対人関係の蓄積が少ないこと、ことに二者関係の対人接触のときどう振舞えばいいのか困ること、経験した対人関係においていい思いがなく、逆にいじめを受けるなどの痛い思いをしたこと…これらが引きこもりの人の緊張する理由です。
しかし、今回の訪問において緊張する原因は訪問者と一緒についてきます。訪問者はこれをいかに低くするのかが大事になります。
訪問者が自分の側にテーマを持っていてはそれがじゃまです。訪問すること自体が引きこもりの人には(十分すぎる)テーマを発生させています。これを言い直しますと、家族以外の人と顔を合わすことです。それで十分なテーマになることが多いのです。それを繰り返すのは対人関係の蓄積です。こういうテーマがすでにあります。これに上積みするテーマを持ち込むことはないのです。私が訪問目的を持たないのはこう考えるからです。
引きこもりの人もいろいろな状態の人がいます。推測ですが引きこもりの人で家族以外と対人接触のない人はかなり多いでしょう。そういう人への訪問を考えるとこの原点から進めたいのです。
訪問先の引きこもりの人にはこの状態をこえた人もいます。そうすると訪問目的が別にでます。聞くことに加えて答えることも出てきます。そのばあい実例で答えるのがいいでしょう。「社会で通用する人間」などの抽象的な原則みたいなことはやめましょう。
実例といっても失敗例がいいです。働き始めて怒られたことや体調がすぐれずどうしていいかわからなくなったことなどです。成功例は自分とは無関係な話に受けとられやすくなります。このような失敗例や苦心談は引きこもり経験者はいろいろもっています。引きこもり経験者が引きこもりの訪問サポーターに適している理由の1つです。
幸か不幸か私は自閉的な気質(アスペルガー的な気質)があり、空回りした経験談や性格に由来する苦しい経験がそれなりにあります。それが話になったときには役に立つことはあります。自閉的な気質は良いとか悪いとかの価値判断の対象ではなくニュートラルなものです。直すとか治療の対象にはなりません。
私の気質として重要なのは引きこもっている人の緊張感や困り感をうけとるセンサー(感受性)が働きやすいのではないかと思います。私がアスペルガー気質は「人の気持ちがわからない」のではなく、「人の気持ちがわかるときと、わからないときの両極端になりやすい」と考えるのはこのためです。特に困った状態の人には強い情動が働くように思います。
訪問サポーターになれる引きこもり経験者は少なくとも、自分の引きこもり経験をいくぶんは客観視できる状態がいります。まだ自分の問題で手一杯のときはその活動は勧められないのです。ここを抜きにして引きこもりの経験者を引きこもりの人への訪問サポーターにするのに疑問を呈しても、意味はないです。社会人の誰もが訪問サポーターに適しているわけではないのと同じです。
しかし、この条件をクリアーした引きこもり経験者のなかには訪問サポーターの適任者は生まれるでしょう。一般に性格や気質に良い悪いはなくニュートラルなものです。うまくいくかどうかはそのときの環境や条件やタイミングによります。いまの日本は引きこもりになりやすい気質の人にはうまくいく社会的な環境が乏しいのです。引きこもり経験者の訪問サポーターはその主体的な条件ができたときにうまく回転するでしょう。
支援団体等の所在確認の作業
学校・支援団体の情報紹介をFAX送信で行っています。
不登校情報センターのサイトには多数の学校・支援団体の情報を掲載しています。そのうち各学校・支援団体から直接に情報提供を受けたものは「詳細情報」として単独のページをつくっています。
この情報は原則として1年毎に更新するのですが、改めて更新の連絡をしようと確認すると数年前のものがそのまま残っていることがあります。
これらの更新の連絡を始めています。この1年以内に新着や更新したものを除いて、2000件以上はあります。その作業をしていると特に心理系相談室にFAX送信できない事態が生まれました。理由を確定的に判断はできませんが、閉鎖等が多いのではないかと思います。そのほかにFAX番号の変更や所在地の移転なども考えられます。これらを確かめることが、情報更新の作業に含まれます。
(1) ネット上で検索する。名称、所在地、FAX番号を含む連絡方法を調べる。
(2) 上のやり方でわからないときは、現在の「詳細情報」に掲載されている電話番号に連絡をしてみる。通じれば所在地・FAX番号などを確認する。
(3) 所在を確認できてもFAX送信できないときは、郵送をする。
この順番は、電話連絡よりもネット検索の方が抵抗感は少ないためです。しかしネット検索は類似の名称のところが出ますし、不登校情報センターに掲載している情報が上位になる例が多い。電話連絡をするにしてもネットによる事情を知っていた方がやりやすいことも理由の一つです。
これらも更新作業の一部になります。まずは調べて確認する作業が発生します。次回からは事務作業メンバーが1人増えそうです。少しずつ進めますがそれでもメンバーはたりません。
創造展と訪問活動発表会を準備
(1)5月に(たぶん連休中に)、第6回片隅にいる私たちの想造展(創作展)を兼ねた集会を開きます。今年は訪問活動の報告と交流会を予定しています。
具体的な日付は、会場に予定している葛飾区新小岩地区センターの会議室がどのように確保できるのか、4月1日までわかりません。
(2)訪問活動の報告と交流は、実際に訪問活動をしているメンバーの実践談、訪問を受けていた人の体験談もお願いします。引きこもりの人への訪問活動はますます重要性が認識されています。厚労省はこれまでとは違う方法の訪問サポートを事業化しそうです。この状況において先駆的に取り組んできた不登校情報センターとトカネットの訪問サポート活動報告はきわめて貴重であり参考になるでしょう。
不登校・ひきこもりの子ども・青年と家族にも参加をよびかけます。新年度が始まったところであり、訪問するメンタルフレンドの募集と説明もします。それぞれの交流や相談の場も設けます。
(3)想造展のほうは出展者が少なく1~2名かもしれません。その場合は太田勝己作品を多く所蔵していますから、それらを工夫して展示発表する機会にします。
また二条淳也さんのブログから選んだ『中年ひきこもり』、引きこもり生活事典を編集した『ひきこもり国語辞典』などの手作り本数点を作品集として新しく発行します。これをもう一つの特色とします。これは電子書籍やネットショップを見込んだ長期的な取り組みの一部です。
事務作業は水金午後に定着
情報収集のための事務作業メンバー参加は1、2名ながら継続しています。
事務作業の手始めは情報更新のための情報収集です。情報センターのサイトに活動内容を紹介するページを作っている全国の学校・支援団体(詳細ページと呼んでいます)で、1年以上更新をしていないばあいに更新の案内をしています。
それが3月22日までに3分の1を終えました(開始は3月6日)。しばらくは続きます。
情報収集はこのタイプの連絡だけではなく、いろいろな角度から連絡やお願いを重ね、また企画していく取り組みです。
事務作業は毎回の作業を一つひとつ説明し、そのあとでとりかかります。どうやら水曜日と金曜日の午後2時ころからに定着しそうです。数名がかかわり、より詳しくなる部分、得意部分と補助的部分を数人が分担する形が理想型です。
毎回の説明のために事務作業マニュアルをつくっています。しかしマニュアルを見ただけでは意味はわかりません。実際の作業と並行しながらすこしずつ理解していくものです。一度に理想型のいい形はできませんが確かに動き始めました。
次回は3月27日、その後が29日です。引きこもり状態の人や経験者の参加を待っています。
面倒見の悪い居場所ですが…
不登校情報センターの居場所メンバーが固定しているのではないか。そんな話しになりました。
居場所といっても、ここはフリースペースというよりは主にパソコンを使う作業場になっています。パソコンをしなくてはいけないということではないのです。
問題は、では何をするのかというと自分で考えるしかありません。面倒見の悪さでは定評がある居場所です。じっとしているにしろ、一人で本を読んでいるにしろ、漢字勉強をするにしろ、はたまたねっころがっているにしろ、一人でいることのできるだけのものがないと、続けられないことになります。
パソコンを習うとか問題集を持ってきて勉強をする人もいましたが、あまり定着はしていないようです。敢えて申し上げます。面倒見の悪さは認めますし、これからもそうなるでしょう。ただ拘束性はさほどありませんので、外出先がない方は一度訪ねてください。少なくともそのときは松田が話しに出ることにしています(日時は連絡をください)。
