いじめから不登校になった中学生の相談=発達障害の理解

不登校中の中学生のお母さんから相談にあったことです。
学校と教師の対応は時たま聞くお粗末なものでしたが驚きませんでした。
しかし、相談したという臨床心理士さんの次の趣旨の発言には驚きました。
不登校の背景にはいじめがあるのですが、その臨床心理士さんは、「いじめの理由には発達障害があるのでそれを治癒しないといじめはなくならないし、不登校の解決にはならない」と言ったのです。相談をくれたお母さんの聞き間違いか、思い違いであればと思うほどです。しかし、慎重な話しぶりからは、その発言は当たらずとも遠からずのようです。
臨床心理士さんの発言がおかしいのは、
1. いじめはどんな理由があっても肯定できないし、とめなくてはならないものです。(子どもが不登校になる程度のいじめなのですから)そういう視点がないのが最大の問題発言です。母親は「学校にいかなくてもいい」と子どもに伝えています。これが救いです。
2. 発達障害は先天的な要素によるところが大きく、治癒ではなく、その人が成長のなかで生活、対人関係、社会関係の力をつけ支障のない状態にすることです。それが教育であるし、幼年期の療育内容です。一つのことに関心を集中するなどの特徴を生かすことが大事です。臨床心理士さんはそれに代わって“治癒”が出しています。
2012年の春に大阪維新の会が準備した「家庭教育に関する条例案」は、先天的な要素を無視し家庭教育の枠を条例できめるという妙なもので撤回されました。それを彷彿させる臨床心理士さんの発言でした。先天的な要素(本人の意思や裁量では変えられないもの)を無視するのが共通しています。
3.この臨床心理士さんは、相談のあった不登校の中学生を直接にはみていません。一般に見ただけですぐに発達障害と判断できるようなものでもありません。母親の話を聞いただけでこのような判断は驚きです。人の話をうまく聞けないとか、空回りしやすいぐらいの事実確認にとどめ、発達障害の可能性を指摘するのが限度でしょう。
4.最後の点は、不登校の解決は学校に行くことではありません。多様な解決方法があると考えます。この点は、この臨床心理士さんと意見が違っても、意見の違いとして互いに了解しあえる範囲だと思います。ほかの点はこの了解できる範囲を超えています。

一般のおじさん・おばさんが言ったのではなく臨床心理士が言ったのです。資格が万能であるとは思ったことはありませんが、これでは逆に資格が邪魔をしています。

2月19日の『みんなのパステルアート教室』の案内

講師のあべちえみさんからの呼びかけです。

〜・〜・〜パステルアートとは〜・〜・〜
穏やかで温かみのあるパステルのトーンと、
それをパウダー状にして指で描くというアートです。
子どもからご高齢者のどなたでも、
上手い下手に関係なく簡単に描けます。

【日時】 2015年2月19日(木)、13:00〜15:00
【場所】 東京都江戸川区平井3-23-5-101
(NPO法人 不登校情報センター)
※JR総武線「平井」駅南口・徒歩5分
【内容】 パステルアートを用いたカレンダー作り
(桜の絵を描きます/3月用)
【対象】 ご興味のある方
【定員】 3名様
【持ち物】 筆記用具
【参加費】 1,000円(材料費込み)
【ご予約・お問い合わせ】
◆abechiemi.bebe@gmail.com(講師あべちえみ)
◆Mail:open@futoko.info
◆FAX:03-5875-3731(NPO法人 不登校情報センター)
いずれかまで。

皆さんで桜の絵を描きながら、
一足早い春を先取りしてみませんか?

ご予約をお待ちしております。:)

2月の初めの心理相談室などの資料送付の問合せ

2月のはじめに江戸川区、葛飾区在住者を中心に心理相談室などのリーフレットと不登校情報センターの会報などを送付しました。
ある心理相談室から、情報提供に関する要望と共にこのときの様子を問い合わせてきました。
こちらから送付直後に案内書を送付した10団体に〔好意的でない反応を含めて〕報告してほしいと頼んでおいたのです。その結果を問い合わせてきたのです。
問合せのあった心理相談室には、これという反応は届いていません。私からは次のような返事をしました。

2月はじめのリーフレット等の送付は問合せのあったところがありましたが、心理相談室の面談などになった報告はありません。
不登校情報センターの訪問サポート部門の相談に2組3人がきます(1組は22日です)。
受け取った人からは、最近の様子を教えてくれた人が6名いました。
そのうち社会復帰している人からのものが3名います。社会復帰してもそれで終了というのではありません。また一人は継続して情報がほしいといっています。
今回は江戸川区と葛飾区でしたが、他の市区でも送料の採算が取れそうなら企画しようと考えています。

〔追記〕 この企画はかつしか区民大学への参加案内のために思いついたことです。総発送数321件。区民大学への参加申込は2人で、1人は当日来られませんでした。
協力していただいたのは心理相談関係8、サポートステーション2です。これらの協力団体への問い合わせ等は十分な報告はありませんが、何らかの反応はあったものと(勝手に)推測しています。
受け取った側からの反応は少しずつですが、企画者としてはポジティブなものと評価できます。

障害者の就業相談に同行しようとして

ある人(I さんとします)に同行して障害者の就業支援の相談に行くことになりました。
I さんは面識のある人で、ときどき電話で連絡をもらいます。うまく生活管理をできないところがあるのでしょうか、障害者年金の管理は親にしてもらっています。
親以外にこの相談に一緒に行ってもらえる人がいないようです。その親も今回の相談には期待が持てないと感じたのでしょうか、「ウィークデイで休めない、勝手にしなさい」的な返事しかもらえません。
いろいろ電話で話を聞いていたのですが、どうしたいのか迷っているようで様子がよくつかめません。ここはしばらく様子を見る方法も考えました。その一方で具体的に就業支援の相談に行くと言っているのです。他に一緒に行く人がいないと行けそうもありません。ここは私が同行するしかないと、同行を決めました。

大昔のことですが教育書の編集者をしていたころ、尊敬できる教師から“問題児とされる生徒から学んだものが私の宝です”と聞いて、強く印象に残っています。
私が不登校情報センターで相談活動をしてみると、この言葉の通りです。深刻さを感じる、難しいと思う相談こそ大事なのです。今回もそういうものと考えたわけです。

その日が近づいたところでまた電話連絡がありました。I さんは私の交通費を出すと父親に相談したのです。
そうしたら父親は「トラブルのもとになるのでそれでいいのか確かめたら」と答えたのです。それで私に確かめる連絡をしてきたのです。
I さん「交通費を渡したいのですが」
私「ありがとう。交通費はあれば嬉しいけれども、なくても大丈夫だから」
………これを父親に伝えています………
I さん「父が、いまどきそんな優しい人がいるわけがないと言っている…」
私「特別に優しい人じゃない、と言ってくれ。交通費はたいした額じゃないから」
I さん「父と話してもらえますか」
私「話すのにいい機会なのでそうしよう」
………
I さん「父は電話に出たくないと言っています。松田さんがよくわからないので自分が一緒に行くと言っています」
私「結果オーライでよかったね。お父さんによろしく」
ホッとした面よりも、お父さんと話ができなかったのが残念に思う面が強い結果です。
障害者の就業支援への相談は中途の1つであり、これからの道のりには家族の協力が不可欠だからです。それでも一歩前進でしょう。

ひきこもり当事者からの準公式の問題提出

1月27日、KHJ関東ブロック・東東京支部・学習会「ひきこもり問題の社会的理解・支援の促進」において、Zくんが当事者として報告を行いました。
会の性格、報告の内容から見て、これはひきこもり当事者による準公式の性格をもった発表であると考えました。
一般的なひきこもり支援団体が進めている内容とは、微妙にニュアンスの異なる面があります。公式筋が求める(進める)ひきこもり支援策を全面的に否定するつもりはありませんが(決定的な支援方法はまだ生み出されていませんから)、当事者側からの重要な問題の提出になると思いました。
どう発表するのかはまだわかりませんが、こちらのサイトの「体験者・体験記」に仮置きとします。関心のある方は見てください。

就業支援中心と居場所中心がブレて情報発信される事情

11日の事務作業グループでは、「社会参加の準備施設」の仕分けもしました。
似たような情報提供用紙ですが3種類あります。
(A)就業支援・自立支援する機関
(B)居場所・当事者の会・イベント開催者
(C)不登校・ひきこもり・発達障害の親の会(当事者の会を生みだすことがある)
もともとこの3種類は同じ用紙を使っていたのですがそれを細分化してきました。紹介用紙の内容には重なる部分があります。
特に(A)と(B)の区分けが難しいのです。
先日から調べた「社会参加の準備施設」のうち、愛知県の2つのミニポータル「名古屋市ひきこもり支援ガイドマップ」と「愛知県精神保健福祉センター」に紹介されている団体を、区分けしてみることにしました。
すでに不登校情報センターのサイトに紹介している団体を除く数十件が対象です。どの情報提供用紙を送るのが適切なのかの視点での仕分けです。

ここで支援団体側の事情が浮かび上がってきました。
紹介内容を書くと、就業に取り組んでいるウェイトが多くなり、自己表現やコミュニケーションの紹介が少なくなります。実際は対人関係づくりの役割が多いのですが、それに関する紹介が削られます。
仕分けをするときに(A)分類にしたくなるような内容が並びます。ところが実際には遊びによる自己表現や対人接触の機会をどうつくるのかその工夫が重要です。これは親や行政側や、当事者にも就業支援内容を望む人がいて、それに引きずられて紹介しているのです。なぜハローワークとは別にサポートステーションが必要になるのか理解していないのしょう。当事者であればこそ指摘できる視点ですし、不登校情報センターの居場所においても確認できることです。
メンバーが(A)分類にしていたものを、こういう背景を話しながら、かなり(B)分類に直しました。この区分による情報提供依頼は支援団体に対するささやかなアピールになります。といっても、それが功を奏するか裏目に出るかは別問題なのですが。

株式会社による就業支援を想定する企画会議

株式会社による就業支援にどのような情報提供依頼をすべきかを話し合いました。
事務作業グループの企画会議です。
「社会参加の準備施設」用の情報提供の依頼文書と情報提供用紙をベースにします。それをどう変えるのかを考え、意見を出してもらいます。ひきこもり経験者の視点では及ばないこともあるし、逆にその立場だからこそ思いつくものもあります。
(1)就職した後のフォロー、就職後に戻る人への対応
(2)就職までの中間過程(対人関係・技術や資格・社会的訓練)
(3)受け付けてから就職になるまでの期間はどの程度か
(4)長期的なブランクを埋める方法
(5)中間過程における居場所、相談業務はあるか
(6)当事者への接触で気をつけている点
(7)担当職員の専門性は何か(業種や資格名など)
(8)インターンシップ・研修体制・疑似OJT
(9)業務に活用できる公的な援助・助成制度はあるのか
(10)官公庁はどこが対応窓口になるのか
(11)当事者が関係した学校(卒業生)、行政機関との協力
(12)就業援助を受ける側の費用負担または利用料金
(13)紹介先企業の業種などに特徴はあるのか
(14)障害者雇用との違いはあるか
(15)利用対象者への告知・広告・募集手段
(16)社会へのアピールしたいこと
(17)その他、業務上に特段の努力を求められること

出てきた意見を順不同で並べてみました。重複することもあり、整理が必要です。しかし、NPOや福祉団体が取り組むものとは違う視点もありそうです。そこを業務現場から様子を聞くことになります。
話しの中では、職業紹介(人材紹介、職業仲介)と労働者派遣との違いが出され、労働者派遣業におけるニート・引きこもりへの対応を調べるテーマが新しく出てきました。

『不登校ガイドマップ(東京都東部版)』の進捗状況

『不登校親子応援ガイドマップ(東京都東部6区版)』作成のミーティングでは、入力したページを基に全体構成や並べ順を確認しました。原稿の未着分がありますが60ページぐらいに抑えるためにかなり圧縮する作業がありました。中心になっているHさんがどんどん進めてくれています。
私は、葛飾区と江戸川区内でお願いした団体と教育委員会の原稿の照合(校正)に集中していました。3月末には完成する感じがつかめてきました。
1000部作る予定ですが、どう渡していくのか、どう活用するのか、などを話しました。5月に作成に関わった人に集まってもらい具体化することになります。発行に合わせたイベントになりそうです。

精神科の受診を続ける理由(わけ)

ある精神科の受診者から聞いた話です。
医師との関係は悪くはないのですが、この医師には私の本当のところはわかってもらえないと思います。薬をもらうために通院を続けているのでもありません。確かに薬がないと不安になることはありますが、それに頼っているのでもないし、それで治癒するとも考えていません。
ではどういうつもりで通院を続けているのかというと、医師が私のこういう状態を少しずつわかるようになるのをお手伝いしている感じです。通院する主な理由というよりも、そういう面もあるのです。
そのための診察の予約日にそなえて体調を整えようとします。逆に言えばそこに気持ちの“ハリ”が生まれています。もしかしたら医師はそういう状態を見て治療効果が出ていると判断しているかもしれません。
もしそうなら、完全に医師の思うつぼにはまっているわけです。担当医がそこまで高等戦術をつかっているとは思いませんが、結果的に思うつぼにはまっていてもいいわけです。
こういう複雑な気持ちで精神科の受診を続けています。まだ続きます。

情報集めとサイトで情報提供するメンバーを募集中

「制作メンバー等を募集中」として、上記の固定ページに掲載します。

不登校情報センターのサイトに学校や支援団体の情報紹介ページをつくりはじめてから10年が過ぎました。出版物の情報提供からネットの情報提供に場を移したのです。ネットの特性を生かして常に情報を集め、掲載の仕組みを考える状態が10年続きました。
いまは学校・支援団体のページは3000か所以上、都道府県単位(と市区町村)ページ、支援団体の種類別のページ、解説するページ、支援者の個人紹介、質問に答えるページ、不登校情報センターと松田武己のページ、ブログ、イベントの紹介…など関連や裾野部分や検索をしやすくするページも加わりました。ページ総数は2万ページを超えます。
何かを紹介するとき、ベースになる部分(カテゴリ)が既にあります。そこの基準に従い加えます。これが重なるとある時期にその基準が不十分に感じられて編制替えを考えます。これが企画の一つです。
2014年はいくつかの編制替えが重なった時期です。細かく分かれていたものをある程度集約しました。事務作業グループが情報収集を2年間取り組み、情報収集の幅が広くなった成果です。これは今後も繰り返していくはずです。

松田武己(理事長)が全体を見ているのですが、サイト制作に関する基本的な技術面をよく知りません。見よう見まねで作成していますが、不都合も発生し、不安もあります。遅ればせながらそこをカバーする条件をつくりたいと考えています。
それ以上に(それと重なると言った方がいいかも)、サイト制作メンバーを増やさなくてはなりません。今年の目標は、サイトの充実とともに、収益の上がるサイトに成長させることです。パソコンを収益の上がるものにするのが目標です。
これまでの技術的なこととは別の要素が必要です。その点でわかってきたのはネットの広告業界が展開している方法を取り入れることです。
先日もLPという言葉が返ってきて何のことかと迷いました。LandingPageというのだそうです。その前はバナー広告の提案があり、承諾してそのバナーを貼りつけたのですが、実際はカウントされる状態になっていないこともありました。このサイトを「CSR(企業の社会的責任)表示に活用してみませんか」という提案を受けてもいます。これも準備しています。
これらは“やや進んだ”技術・知識でしょう。それらに直面したら、教えられながら、一つひとつを理解し、処理していきます。それを一緒に考えていくメンバーが必要です。
だれかがすぐにわかるわけではありませんが、不登校情報センターのサイト制作は大っぴらに“素人集団”を名乗って活動しています。社会正義に反しない限り、不十分でも活動できます。
何しろ10年の(出版の形では20年以上の)情報収集と情報提供の経験があります。NPO法人として当事者と家族の利益を最優先するニュートラルなスタンスがあり、それが信頼につながっています。技術的なことは後追いですが、内容面は先行しているのかもしれません。

サイト制作に必要な情報集めとサイト制作に参加を呼び掛けている対象者は、仕事についていない(時間的な余裕ありすぎの)20代~30代の人です。もともと対人関係が苦手な人が集まってメンバーになっています。かといってひきこもり当事者限定でもありません。
パソコンに触れていながら、検索して何かを見る・読むだけの状態を超えてみませんか。調べる・探す、まとめる・企画する、作成する、一緒に学ぶ、もしかしたら教える…。そういうメンバーを募集しています。

関心のある方は、
(1)相談に来てください。お名前、年齢と希望相談日時を教えてください。どんなことをしているのかを話します。どんなことを希望するのかを聞きます。
*家族の方の相談から始めるのもいいと思います。
〔TEL03-5875-3730、FAX03-5875-3731、メールopen@futoko.info〕
(2)事務作業グループというのを週2回開いています。そこを見学する(?)ところから来ていただく方法もあります。水曜日と金曜日の午後2時から4時までの2時間です。当日、何をするのかはその日によって違います。事務書類の作成やパソコンを使う作業のどちらかであることが多いです。
(3)ある程度経験して、これからも続けられそうと感じたときに、会員になってください。入会金3000円、年会費6000円です。会員には作業量に応じて作業費を支払います。その日の作業は一人ずつ「作業日誌」に記録します。作業費はこの「作業日誌」により計算します。
(4)個人でブログページをつくり、書き続けている人もいます。これも一つの方法です。読者数がある程度のレベルになれば、別の可能性も出てきます。
(5)不登校情報センターに通うのに抵抗がある人がいるかもしれません。以前には訪問をしてサイト制作を進めていた経験もあります。この方法に定式化されたものはありませんが、実現する条件を考えます。希望する人がいましたら、具体的な状態・条件を聞き、取り入れると可能な形が見えてくるように思います。