入会権による山の幸・海の幸の収穫活動

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家事労働が生産的活動にカウントされず、GDPに入らない点が考えるスタートでした。農家等の自家消費、物々交換(漁穫物のおすそ分けなど)も同じくGDPにカウントされていません。さらに自営業における家族就労者にも該当ケースがあるのを思い出しました。
今回はそれにさらに付け加えます。ここでも私自身の子ども時代の経験談から始まります。小学生のころ秋になると友達と一緒に山に行き、クリ拾いをしていました。同級生KSくんが上着のポケットの底を破って背側まで上着の底にクリの実を入れていた記憶が鮮明です。シイの実も同じです。畑の間にあるイチジクの木に登ってイチジクを食べた記憶も忘れられません。1950年代の山陰の海岸地域ではごく当たり前でした。
イチジクの木に登っていたとき、どこかから「こらっ!」という声が聞こえてきて、数人で丘の畑地域を越えて逃げた記憶があります。畑の所有関係ははっきりしており禁止であるとどこかで思っていたのですが、2歳年上のTさんが逃げたのでひきずられたのです。しかし、その場限りでこの地域では問題になることはありませんでした。
イチジクはまだ市場商品ではなかったのです。1967-68年ごろ大阪の町中でイチジクが店先に並べられ売られているのを見て驚いたほどです。
海側でも同じです。夏休みは毎日のように海に行き、サザエやアワビを収穫し、魚を鉾でついていました。これも特定の子どもだけの生活ではなく、地域の子どもたちのごく自然な生活でした。子どもであるから特に大目に見られた事情もあるかもしれません。
この状態は日本の各地に続いていた慣習法で、入会権とか入浜権が続いているのです。おそらく大昔には山や海の所有権は特定できず、開拓した人などが占有地とし、徐々に私有化(ないしは公有化)したものだと思います。そうでない非占有地は地域住民の共有地になったのです。
クリやシイやイチジクはまだ十分に商品市場で売られていなかったので、とくに問題にされなかったのかもしれません。シイタケなどのキノコ類は比較的早く商品化されたので所有関係がより厳しく、特に成人が「勝手に」山に入って採取するのは禁止されていたと思います。
高校1年の春休み、父と一緒に人里離れた水辺に葦を刈りに行ったことがあります。葦を編んで父の仕事に使う敷物用にするためでした。そういう事情に明るい父は、その葦の「無断採取」を何ら問題にしませんでした。私もそれが「盗み」になるとは全く考えもしませんでした。刈った葦を運ぶ途中で地域の人とすれ違ったこともありますが、「ごくろうさん」みたいな声をかけられただけです。これが入会権です。
海で採ったサザエやアワビなんかも「漁協市場にもっていけば、100円ぐらいにはなる」という話をしたことはありますが(実際持って行った子どもがいるかもしれませんが)、自家消費をしただけでした。戦後の一時、海水から製塩をしていたという話を聞いたこともあります。これも違法ではありませんでした。
ウィキペディアで入会権などを調べてみるとこうあります。「入会権とは、村落共同体等が、主として山林原野において土地を総有などし、伐木・採草・キノコ狩りなどの共同利用する慣習的な物権」としています。
この採取した“山の幸”・“海の幸”を商品として売り出せばGDPに加わりますが、自家消費し、近所で分け合えば(物々交換や土産物として)これはGDPに入らない経済活動になります。ウィキペディアの説明には、1966年に「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律(入会権近代化法)が制定されています。
漁業に関する漁業権・入漁権・入浜権、水源・水路に関する水利権、泉源・引湯路に関する温泉権などもあり、混同できないそれぞれの内容がありますがここでは省きます。これらの物権は、自家消費の範囲では商品・サービスとして市場に入らず、経済活動でありながらGDPにカウントされないのは共通します。
古くから続いてきたこれらの入会権(元々はそういう言葉もなかった)が近代的法体系に加えられたのは、明治になってから、とりわけ高度経済成長期であるのは必ずしも偶然ではないでしょう。
入会権等に関わる活動は総計しても小さいのでGDPを変えるほどではありません。考える点は、商品経済・市場経済は人間の歴史のある時期から表われたことで、その証明の1つが入会権になることです。商品経済・市場経済にもとづくGDP評価も、相対化してとらえられるのです。

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