当事者の動きが支援方法に成長

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5月の「大人の引きこもりを考える」の講演は不登校情報センターの取り組みを発表する機会になりました。その後で参加者の一人がこういいました。「引きこもり経験者たちから情報センターを仕事のできる場にして欲しい」といってきたのが、何かよかったですね、と。
不登校情報センターが引きこもり経験者から言ってきたことを取り入れ、活動の一部にしていることは多くあります。当事者から見ると自分たちで始めたことが形を変えて情報センターの活動に引き継がれ、生かされていることも少なからずあるはずです。
情報センターの取り組みには、プログラムを用意し、こういう方法で支援するという形はありませんでした。経験者が集まり、そこで関心のあること・できそうなことを一人で始める、だれかと一緒に進めて、知り合い関係になる状態が続きました。
そのなかで彼ら彼女らの発意から何かが動き出しました。主催者である私に提案するものもありました。両者は画然と分かれているのではありませんが、そこから活動内容が生まれてきました。そういう体質と歴史があります。ですから「不登校情報センターを仕事のできる場にして欲しい」ということだけではなく、通所している経験者の動きからできたものが多いのです。

学校・支援団体の情報収集と情報提供は、私の以前からの編集者の仕事ですが、それも「手伝わしてください」というところから情報センターの集団的な取り組みになりました。それをサイト制作にするとなると事態は一変しました。当時はパソコンの技術がまったくない私の手からは完全に離れて、パソコンを扱いなれている通所者がサイト制作の作業を始めるしかなかったからです。
彼らの得意分野とするパソコンやサイト制作と私の情報集めが結びついて、現在のサイト上で学校・支援団体の情報提供作業になっています。これは支援団体としては私の知る限り珍しい方式です。同時にどの支援団体でも可能かどうかはわかりません。この方式を普及させるのに躊躇してきた理由でもあります。

しかし、最近は違う考えも出てきました。引きこもり経験者に技術的な手段を教え、就職の形で社会参加を目指す方法はうまく行っているとは思えないからです。東京仕事センターの案内チラシでは「NPO、ボランティア、農業、在宅ワークなど、企業に雇用される以外の多様な働き方」を謳っています。そういうスタンスは引きこもり経験者にじかに接触していれば早期に理解できることです。不登校情報センターのこれまでの取り組みが参考になるのではないかと考えるようになりました。(太字はチラシによる)
この活動に対しては、これまでは公の支援、助成をいただいたことはありません(民間の助成機関からは支援を受けたことがあります)。政府・自治体の支援方法には該当する項目がないのです。誰かが似たようのことをするにしても、さしあたりは公的な支援は期待できません。
政府と自治体が従来の引きこもり支援策を変更、拡充すればそういう支援も受けられるのかもしれませんが、それを待っていては時間だけが過ぎていきます。先ほどの東京しごとセンターは東京都のセクションです。少なくともそこは変わりつつあるのかもしれません。それを認めたからといってうまく行くとは限りません。ですがそこを外していてはうまく行かない気がします。
結局は、経験者の動きや要望を柔軟に受け入れる条件・スタンスがなければ、彼ら彼女らのもつ能力や気持ちは生かされないのではないかと危惧しています。

それは先ほど紹介した東京しごとセンターの謳い文句の中に、少なくとの創作活動や対個人サービル業が出てこないなかに読み取れると思います。もちろん不登校情報センターの方式がとりわけ優れているとは思いません。何かの参考になるものは見つけられると期待しています。

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