第54回社会福祉セミナー

第54回社会福祉セミナー 2017.7.28(金)              於:有楽町マリオン11F 受付9:50~
【基調対談】
《 「変革」を目指す社会福祉の専門性
 ―性という切り口から分野横断的に実践を考える― 》
フリー・ソーシャルワーカー 宮本 節子/立教大学教授 平野 方紹

はじめに
―福祉実践の中での性的生活課題のありよう
 了解を得たので、今年の2月に配信されたある方のフェイスブックの文面を紹介したい。幼い子どもを連れて夫のドメスティック・バイオレンスから逃げ出し、サポートフルな婦人相談員に巡り合い、その支援の下に福祉施設を経て、現在は独立した生活を構築している方である。仕事の傍ら社会福祉士の通信教育を受け、社会福祉士になった。その方の社会福祉に関する率直な感想である。
  「この1年、福祉の試験対策をしていて思ったことは、社会福祉の国家試験の科目には、生活保護や高齢者、障害、児童家庭といったカテゴリーはあるものの、全体をジェンダーの観点から捉えるという視点は、福祉の世界にはあんまりないなあということ。
女性にだけ特化して福祉をやれといっているのではなくて、ジェンダーの視点を持つと、男性の貧困問題の背後にあるものや、その他の社会的弱者のことも、もっとよく理解する手助けになるのではないか、と思うのだ。(中略)女と男で考えれば、一生を通じて、医療、法律、福祉とどの面でも脆弱性を持つのは女性という視点がないと性に中立ではないと思う。でも、残念ながら、そのような観点を持つ専門家の人はどれだけいるのか。とりわけ深刻な被害に遭っている女性は医療、法律、福祉を必要とするのだが、人材不足だなと感じる。福祉の相談職の多くがそもそも非正規で家計補助前提の賃金体系だとうことからしてどーよ、とか思う。」
1 現場実践の変化とソーシャルワークの発展
 ・・ソーシャルワーカーは、誰に、どのように、期待されていたのか
・さまざまな福祉ニーズの発見と掘り起こしとソーシャルワーカーの眼差し
・劣等処遇観の克服
   cf: 生活保護受給者に対するバッシング
・個人が抱え込んでしまった生活課題は自己責任か、どこまで自己責任か
・さまざまな制度の新設
・メニューに合わせて生活課題を探すのか、生活課題の発見から制度を創設していくのか
・こぼれ落ちてしまう生活課題(不可視な生活課題・・女性の抱える生活課題)・・縦割り福祉構造から福祉縦断的組み合わせ的再構築へ
    他法優先から個人の生活課題中心の解決(利用者主体)へ

2 ソーシャルワークの新たなチャレンジとその可能性―性という切り口から
・AV被害者支援でのソーシャルワーカーの取り組みとその可能性
・NPO法人でさえない小さな団体に2012年に1件の相談が寄せられた。
5年後の現在(2017年)、寄せられる相談は推計で、年200件に上るだろう
・性に関わる相談はなぜ可視化されにくいか
・フェイスシートのない初回面接
・ソーシャルワークの新たな可能性
  他の専門職・研究者との連携と有効性
  “連携”するとはどのような事か
3 まとめ
性的な尊厳侵害の社会問題の発見と可視化
性的な尊厳侵害に抗して、ソーシャルワークには何ができるか