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カテゴリ:松村淳子エッセイ

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こんな夜更けにバナナかよ
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              ボランティアの神髄
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松村淳子
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 ひところはあんなに猛威を振るっていたコロナの第五派もあっという間に感染者数が減ってきて・・・・これはこれで
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「どうしてこんなに急に?」と考えたり、
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「このまま収束して以前の生活に戻れるのでは。」と淡い希望を持ったりと、
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とにかく落ち着かない日々ですね。
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 そんな今でも我が「助走の場・雲」の活動はボランティアの若者たちに支えられて続いています。彼らはコロナの心配やそれぞれの事情もありながらなんとかやりくりをして来てくれています。現在はフリースペースのほかに2人に個別の無料学習支援を行っています。今回はその学習支援のお話を。
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 ひとりは「高知能児」と判断された小学校入学前の女の子。
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 とにかく知識欲が旺盛で周囲がその欲求に対応できず、私たちにSOSを出してきました。 
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 こちらも中高生を想定しての学習支援だったので当初は「お断りしようか。」という話も出たのですが、ご家族の疲弊を目の当たりにして「やってみよう。」という声が上がりました。     
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 最初は普通のやんちゃな5歳児(うれしくて机の下にもぐったりと大騒ぎ)と負けず嫌いな勉強好き(わからないのが悔しくて「もっともっと。」と食い下がってきます。)をどう対処していいか若いボランティアたちは試行錯誤の日々でした。
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 今の若者は核家族化の影響もあり、ほとんど小さい子と接した経験がありません。そんな彼らがそれこそ額に汗しながら必死に対応をする姿は見ていて笑えたり、感心したりの日々です。彼らのおかげでその子もずいぶん落ち着いてきています。その影響か、家族関係も安定してきている様子がお母様の言葉の端々からうかがえるのはうれしいことです。
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 こういうことの確認ががボランティアをしていての喜びにつながり、次への力になるのかもしれません。
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 さて、もう一人は2年前にミャンマーから来た中学2年生の女の子。
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 お父さんはもっと前から日本に来ていましたが、2年前に家族を日本に呼び寄せたようです。今では彼女はお父さんより日本語が上手で漢字なども読めて、お父さんのわからないところをいろいろ教えられるまでになっています。
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 現在のミャンマーの政治情勢を見るとその時に来ていて本当に良かったと思わざるを得ません。お父さんは友人や親せきなどへの心配で話題がそちらへ向くと一瞬で表情が暗くなってしまっていました。
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 ところで、この子とご家族が一番困っていたのが、なんと夏休みの宿題の「読書感想文」!私たち日本人にとっては小学校の時からの宿題の定番ですよね。ところがミャンマーでの教育の中ではそんなことはやっていなかったようで、家族中で首をかしげてしまったそうです。そのうえ、課題図書が「14歳の君へ」という中学生に向けた哲学書と言われた本で原稿用紙5枚!!
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 それをきいて私たちは思わず「絶句」です。
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 「いくら何でもそれは無理なんじゃないの。」とだれもが思ったのです。
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 しかしボランティアの子たちには火が付いたようです。
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 まずは原稿用紙の書き方から初めるという長い道のりに見えました。しかし、その子が本を読んで感じたことを書いてきてくれたのですが、フレッシュな気づきや真摯に自分に向き合う姿が見られ、「この子はすごいぞ。」とさらに火が付いた感じです。
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 漢字や言葉遣いの間違いを直しただけで本当に立派な「読書感想文」になり、提出することができました。
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 こうしてかかわっていくうちに思いもしないところで私たちが受け取れる喜びや気づきがボランティアの神髄なのかもしれません。
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  本題の「こんな夜更けにバナナかよ」(渡辺一史著)
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 は筋ジストロフィーの在宅介助に集まったボランティアたちの話なのですが、うちのボランティアの若者たちと共通する「神髄」の部分も見えてちょっと謎が解けた気分だったのです。
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 しかし、長くなってしまったので、その話はまた今度にいたしましょう。

2021年9月23日 (木) 23:08時点における版


松村淳子エッセイ

  • 助走の会・雲の松村淳子さんが、不登校情報センターの会報『ひきこもり居場所だより』に毎号載せているエッセイです。


こんな夜更けにバナナかよ               ボランティアの神髄

松村淳子    ひところはあんなに猛威を振るっていたコロナの第五派もあっという間に感染者数が減ってきて・・・・これはこれで 「どうしてこんなに急に?」と考えたり、 「もしかしたらもっと大変な第六派が来るのでは・・・。」と考えたり、 「このまま収束して以前の生活に戻れるのでは。」と淡い希望を持ったりと、 とにかく落ち着かない日々ですね。

 そんな今でも我が「助走の場・雲」の活動はボランティアの若者たちに支えられて続いています。彼らはコロナの心配やそれぞれの事情もありながらなんとかやりくりをして来てくれています。現在はフリースペースのほかに2人に個別の無料学習支援を行っています。今回はその学習支援のお話を。    ひとりは「高知能児」と判断された小学校入学前の女の子。  とにかく知識欲が旺盛で周囲がその欲求に対応できず、私たちにSOSを出してきました。   こちらも中高生を想定しての学習支援だったので当初は「お断りしようか。」という話も出たのですが、ご家族の疲弊を目の当たりにして「やってみよう。」という声が上がりました。       最初は普通のやんちゃな5歳児(うれしくて机の下にもぐったりと大騒ぎ)と負けず嫌いな勉強好き(わからないのが悔しくて「もっともっと。」と食い下がってきます。)をどう対処していいか若いボランティアたちは試行錯誤の日々でした。  今の若者は核家族化の影響もあり、ほとんど小さい子と接した経験がありません。そんな彼らがそれこそ額に汗しながら必死に対応をする姿は見ていて笑えたり、感心したりの日々です。彼らのおかげでその子もずいぶん落ち着いてきています。その影響か、家族関係も安定してきている様子がお母様の言葉の端々からうかがえるのはうれしいことです。  こういうことの確認ががボランティアをしていての喜びにつながり、次への力になるのかもしれません。

 さて、もう一人は2年前にミャンマーから来た中学2年生の女の子。  お父さんはもっと前から日本に来ていましたが、2年前に家族を日本に呼び寄せたようです。今では彼女はお父さんより日本語が上手で漢字なども読めて、お父さんのわからないところをいろいろ教えられるまでになっています。  現在のミャンマーの政治情勢を見るとその時に来ていて本当に良かったと思わざるを得ません。お父さんは友人や親せきなどへの心配で話題がそちらへ向くと一瞬で表情が暗くなってしまっていました。  ところで、この子とご家族が一番困っていたのが、なんと夏休みの宿題の「読書感想文」!私たち日本人にとっては小学校の時からの宿題の定番ですよね。ところがミャンマーでの教育の中ではそんなことはやっていなかったようで、家族中で首をかしげてしまったそうです。そのうえ、課題図書が「14歳の君へ」という中学生に向けた哲学書と言われた本で原稿用紙5枚!!  それをきいて私たちは思わず「絶句」です。  「いくら何でもそれは無理なんじゃないの。」とだれもが思ったのです。  しかしボランティアの子たちには火が付いたようです。  まずは原稿用紙の書き方から初めるという長い道のりに見えました。しかし、その子が本を読んで感じたことを書いてきてくれたのですが、フレッシュな気づきや真摯に自分に向き合う姿が見られ、「この子はすごいぞ。」とさらに火が付いた感じです。  漢字や言葉遣いの間違いを直しただけで本当に立派な「読書感想文」になり、提出することができました。

 こうしてかかわっていくうちに思いもしないところで私たちが受け取れる喜びや気づきがボランティアの神髄なのかもしれません。

  本題の「こんな夜更けにバナナかよ」(渡辺一史著)  は筋ジストロフィーの在宅介助に集まったボランティアたちの話なのですが、うちのボランティアの若者たちと共通する「神髄」の部分も見えてちょっと謎が解けた気分だったのです。  しかし、長くなってしまったので、その話はまた今度にいたしましょう。

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