チャンスはピンチと共にくる

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引きこもり経験者の結婚問題とともにJさんと話したことがもう一つ残っていました。
長い引きこもり生活になっている人には、家族の中で平穏な生活が続いている人もいます。家庭内がひどく荒れた時期がある家族では、このままの平穏がベストとは思わないけれども、しかし家族内が荒れた時期を思い返すとうっかりしたことができない思いもあります。
気にはしているけれども言葉にはできず、時間は過ぎていきます。心の奥にある漠然とした不安感は消せません。それは家族にとっても当事者にとっても同じです。
こういう状態のときに、保健所や医療機関やいろいろな相談先に行ってもラチが明かない感情を持って帰る人は少なくないでしょう。かくいう不登校情報センターの松田武己に相談して同じ感覚を持った人も多いと推測します。
理由はいろいろです。解決・改善策が個人特性により多様であり、個人をよく知らないかぎり改善策はわかりません。改善策に一般的な定式はなく、仮に持ち合わせていてもそれに当てはめるのは無理です。実際に働き始めた人はいますが、その多くは規格化された改善策ではなく本人が何とかした類のものです。情報センターからはなれて社会に入った人の多数はそのような人です。
相談がうまくいかないと思える背景には親が即決を求めることがあります。例えば「自立をしてくれれば正社員でなくてもいいんです」といいます。親としては大幅な譲歩をしているつもりでしょうが、これは引きこもりをほとんど理解していない証拠です。それが本人にはどれだけのことを要請されているのかを親には想像できないのです。

このような平穏状態はいつか越えなくてはなりません。それを自然の成り行きではなく、家族の側からの動きによって迎えようとするのはかなり厳しいことです。
長期の引きこもりの子どもを持つ家族のうちどれだけの人が家族外のところに相談や支援を求めているのかを知れば、相談が頼れない事情がわかります。厚労省の推計70万人のうち長期の引きこもりは2、30万人としましょう。医療機関を含めて相談にいっているケースは10万人にも満たないのではないかと推測します。もちろんこの数は70万人にしても2、30万にしても10万人以下にしても、そのまま信じられる根拠はありません。明瞭なことは引きこもりの実数ははっきりわからないのです。それこそ、引きこもりの本人・家族の多くがどこにも相談に行っていない証拠です。

主にどこにも相談しない・してもうまくいかないと感じている家族に、見ていただきたいのです。家族外に相談にいけないのならば家族内で心がけていただきたいことがあります。引きこもる子どもを攻めるのではなく(むしろいい面を探しながら)家族が本音で話そうと試みほしいのです。引きこもっている本人を攻撃するのではなく本音で話すのです。
それは親が引きこもっている子どもの状態とは無関係な将来像を押し付けるとか、働け・自立しろ、という言葉とは違うものを見つけることです。子どもがいましていることを見つけ出し、それに形式を整えることです。
パソコンをしている人が多いと思いますが、親が子どもからパソコンを学ぶ状態をつくることがそれに当たります。そうすれば子どもはいましていることを認められ、親にそれを教えるという状態をえるのです。子どもがしていることを認めなくてはできません。
そうすれば子どもはそのうち外に出て働くようになるのか。そう考えるのが短絡的な発想です。赤ちゃんに言葉を覚えさせるのは子どもを語学の先生にしたいためではありません。そうなるかもしれないですがそうならないことが多いでしょう。必要なことはいま出来ることをすることです。
親にできることは“待つ”ことですが、待ちくたびれた人が多くいます。子どもの状態を認めそこに肯定的な面を見るのが親の役割であり、親の能力を高める課題があると思います。パソコンにかぎらず子どもがしていることのなかに肯定面を発見してください。
そうすることで「何でいまさらそんなことを言い出すのだ!(これまではさんざんけなしてきたではないか)」という声が子どもから出てくれば一つ前進です。子どもが動くときの表現はほとんどが怒りや斜に構えたことばです。それを受けとめられるのが親ではないでしょうか。子どもを攻撃し否定してこんな言葉が返ってきてもうまくは行きません。肯定した言葉によって子どもから反発する言葉を得たいのです。
これは親子・家族間の危機です。危機とは危険と機会の両方の意味があります。ピンチはチャンスともいえます。チャンスばかり求めていてもチャンスは来ないです。チャンスはピンチとともにやってくるからです。

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