1970年代以降―資本主義史(3)

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 1970年代以降―資本主義史(3)
Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]
[`yahoo` not found]
[`livedoor` not found]
[`friendfeed` not found]


〽ひきこもり 平成時代とまるかぶり
ある人が自分を省みての川柳です。平成時代は1989年から2019年までの30年余です。不登校情報センターにかかわる人の多くはまさにこの時期の不登校やひきこもりの経験者です。ひきこもりが社会問題に取り上げられたのは平成の後半、2000年ごろからです。
なぜ彼ら彼女らはひきこもりになったのか? ほぼ全員が気付いたらそうしていたのです。社会の変化をキャッチした反応でしょう。彼ら彼女らはほぼ1970年以降の生まれです。そしてこの時期に資本主義は歴史的な変化を迎えていました。
私は以前に、どなたかの意見に納得して、1970年を日本が高度産業社会に到達した年と書いたことがあります。到達したということは、そこから新しい展開が始まったということでもあります。1970年代初めに資本主義に何があったのでしょうか?
日本の高度産業社会の到達について、水野さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』では次の指摘があります。
「資本主義は1970年代半ばを境に「実質投資空間」のなかで利潤を上げることができなくなった」、「たとえば、日本の交易条件が大きく改善したのは…、1955年から72年までです」。1人あたり粗鋼消費量のピークは73年度0.834t、「鉄の消費量は近代化のバロメーターで…(これ以降の)40年にわたって、日本の内なる空間で需要が飽和点に達している証拠です。…大量生産・大量消費社会が1970年代半ばにピークを迎えたことになります」(106p)。他にもいくつかの例を挙げています。
資本主義の新しい展開とはなにか? 前回「金Goldと紙幣Money(ドル)の結びつきが切り離されます。実物経済と流通する通貨量が離れていきます」と書いた点です。これはニクソン・ショックと言われ1971年のことです。かつて1ドル=360円と固定していたドルと円の交換相場は変動制になりました。最近では1ドル=108円とか毎日、毎時間変化しています。これが実体経済と離れたマネーゲームの世界をつくり、資本主義の虚構性を深めています。
これ以上の詳しい説明は避けましょう。この時代の変化を感じるのは、日常的に通貨の為替相場を扱う人たち、それが経済活動に影響するの見つめている人たち、そして「政界や実業界で実権を握る人」でしょう。

他方では生物的な感覚で雰囲気をするどくキャッチする人たちがいます。その人たちが思春期を迎えた1980年代から不登校やひきこもりとして、社会状態のゆきづまりの危険信号を発し始めたのです。 「近代システムの弊害を見えるがゆえに」、いや皮膚で感じるがゆえにでしょう。
政界や実業界で実権を握る人はこの虚構社会にしがみつき、ひきこもりはこの社会から距離をとる。まさに「倒錯日本」と言えるのです。
〽ひきこもり 平成時代とまるかぶり Thank Heaven! と叫びたい気持ちです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください