元引きこもりの訪問サポート

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 元引きこもりの訪問サポート
Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]
[`yahoo` not found]
[`livedoor` not found]
[`friendfeed` not found]

引きこもり経験者を、引きこもりの人への訪問活動に起用するという方法は不登校情報センターが採用している方法です。
19日の「ひきこもりサポーター事業に注目」の続きです。厚生労働省はどこかの先行例を見本にしているのでしょう。私たちの経験によれば、経験者による訪問は開始時期にはかなりうまくいきます。もちろん経験者なら誰でがそうなるのではありません。
訪問者が誰であるかに関係なく、訪問に先立つ手続きは想像以上に手ごわいといっていいでしょう。家族・当事者が手順を理解し、たどるのにかなりの時間を要します。
このあとに訪問者を誰にするのかを決めます(実際には並行して準備することもあります)。この過程で引きこもりや不登校の経験者を訪問者にすることがありました。その積み重ねのなかで「引きこもり経験者を、引きこもりの人への訪問活動に起用する」実例も増えてきたのです。

総じていえることは、引きこもり経験者による引きこもりの人への訪問活動は、開始した時期は相対的にうまく行きます。“作為なき訪問”を実現するからではないかとみています。
訪問を受ける引きこもりの人が警戒するのは“何かをされること”です。何かの目的が最終的に自分にとっていいとしても、初めからそれがわかるわけではありません。信頼感がないところでの行為は無力であり、ときには妨害になります。
「あなたのために…」といって訪問を受けるのは、ごめんこうむりたい気分なのです。それがいかに口先だけのものになるのかは、支援者を名乗って訪問する人の多くに当てはまります。
訪問を受けたとき、訪問者がどういうタイプの人でどういう目的の訪問であるのかは、あいさつのしかたではありません。訪問者の持つ全体の雰囲気や身動きによって的確にキャッチされ、演技は無力です。あなたに会ってみたい気持ちを作為なくできるのは作為が有害であるとよく知っている人で、作為なき人に限ります。

私たちの経験では、訪問者自身の到達したレベル(元引きこもりの人が訪問者になる場合は特徴的に)を超えて、訪問先の引きこもり経験者が動く例はまれです。訪問者が引きこもりの経験者であるとき、関係がこの状態にたどり着いたあたりから次のテーマになります。初めは家族以外の人と会えること、それが特定の人には自然にできることが目標です。初めからそこを超えた目標をもつと訪問自体が終わります。それは訪問を受けた方にも訪問をした方にもマイナスになりやすいのです。
当然いろいろな例が生まれますが、このあたりの見通しがつくならば、厚生労働省のいう事業は前進をすると思います。成果を急ぐと失敗が続出するでしょう。訪問者の方が打撃を受ける可能性も少なからずあります。
成果を急ぐのではなく、むしろ時間をかけて引きこもっている人の側からの動きを待っていただきたいのです。訪問し家族以外の人と顔合わせが重なるうちに、エネルギーはゆっくりとふえていくのです。花の成長は力で茎を引いてはダメになるのと似ています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください