子どもの気質と長期の引きこもりの関係

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子どもの自立:その2
訪問サポートを受けるのを拒否した十代後半の子どもの例が話されました。ときたまあることです。
子どもはいつまでも親のレールに乗ること、親の許容する範囲で動いている状態を窮屈に感じ抜け出したいのです。それは子どもが内に秘めた成長のエネルギーです。
行動型の子どもはこういうときは反抗期の典型的な表現をします。しかし、内向的な気質の不登校の子どもはこういう反応は少ないのです。親の提案する訪問サポートの拒否をどう受けとめるのか、私には特別の関心がわきます。

第一に、子どもには経験の総括や感情の熟成がもやもやした言葉にできないレベルにあると考えられます。仮に自分なりの結論に達していても親を攻撃するような言葉にはしたくはないのです。
そこに今回もまた親から先にレールを敷かれるという不満です。親は自分の状態や特質を理解していないことを思い知らされることになるかもしれません。子どもから強い言葉が出るのはこういうときが多いのではないかと推測します。

第二は、内向的な気質の子どもはこの状態が思いもかけないほど長期におよぶ可能性があります。一人で自室にいるととても安静な落ち着いた気分になります。大勢の中にいるよりは自分のペースが取れますし、子どもの多くは一人で時間を使う方法を見つけ出してしまいます。私が見聞きする長期の引きこもりの多くはこのタイプです。
この状態はときには集中力の驚くべき成果を見せることもありますが、自分なりに納得いく成果を挙げるのは限られた人です。
長期の引きこもり状態とは、対人接触がなくなる、歩かない・運動しない、陽に当たらない……などの成長のための環境条件の劣化です。期間が長くなるとその副作用というべき事態、心身状態の変調が表れます。多くのばあい睡眠障害、対人恐怖、不安感、摂食障害などの精神的な動揺です。生理的には睡眠と食事に出ることが多いでしょう。

こういう状態に入ると副作用的な壁であったはずのものが主な障害になります。外部(ときには家族)との接触が困難になります。内向的な気質の子どもの長期的な引きこもり状態は、家族からの、さらには外部からの適度の働きかけがないと打開しづらい状態になります。
この「適度の働きかけ」の程度・方法・タイミングは個別に条件や進行を見ながら進めなくてはなりません。この見きわめ、判断に迷います。なぜなら子どもの生活や家族関係は安定していることが多いからです。その安定を壊すことにもなります。その反対側では人生の空白が蓄積されます。それは心身の成長の空白として表面化します。
こういう理由で何もしないで待つ方法には無条件では賛成できません。しかし、子どもの何らかの了解なく侵入する方法にも同意できません。可能な接点をそのつど見つける努力と工夫が要ります。ここが難しいのです。

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