共感性に欠けるアスペルガー障害に関して

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 私が保育園(お寺)にいた70年も前のことです。年長組で1年間通いました。あるとき1歳下の男の子が泣いて叫びながら歩いてきます。まさか自分に向かってくるとは思わずお寺の回廊にいたので、押されて転落しました。たぶん何かをやらかしたわけですが、何をしたのかはわかりません。
保育園では自動車の絵を描いてばかりいたように思います。これという友達はおらず、園庭にあるブランコ2つの片側に一人乗っていた記憶があります。

次は高校時代の話です。全校生徒数は700人ぐらいの田舎の学校です。何かの全校行事があり、校庭の片隅で数人が集まっていました。遠くから生徒指導部の先生が大声を出しながら近づいてきます。何を言っているか確かめるつもりで見ていると10メートルほどのところ来て、突然僕の方を見て何か怒った調子で言ってきます。周りを見ると他の連中は事態を察していつの間にかいなくなり、一人残されていました。これはまずいと気づいてその場を離れました。
他の連中が、そこにいてはまずいと早々に気づきすぐに離れたのに、「何を言っているのだろう」の関心を持つ僕だけがそこにいたわけです。しかし、遅ればせながらにそこを離れたので難は逃れました。

このような気質は中学生のころには性格として少しは自覚していたはずです。それなりに対応もしていました。それが「公平」です。誰に対しても公平のスタンスです。かなり賢明に聞こえそうですが、それほどのものではありません。
クラスの学級委員長をしていました。虚弱な女の子がいて、その子にまずいことをしました。アッと思い、その子に丁寧に謝まりました。そうしたら同級の1人が「タケミくんは公平」というのです。虚弱な子は学級内で軽く見られていたのでしょう。その子にも他の子と同じように謝っていた、それを公平と言ったのです。
このことばを聞いてからとりわけ、人に対しては公平を意識したように思います。

これで事態が解消したわけではありません。人の気持ちをよくとらえられない状態は続いていたはずです。20代の大学病院で働いていた時には、「タケミさんは賢いのかバカなのかわかりません」と1年後輩に言われました。30代の編集者に時期に「松田さんは日本人じゃないところがある」と10歳下に言われました。両人とも半ばあきれ半ば本気であったと思います。
60歳を超えたころアスペルガー症候群の学習会があり出席しました。臨床心理士の話を聞きながら、自分の子ども時代の様子を聞かされている感じです。自分をアスペルガー気質の人間とみれば身に起こったいろんな不思議なことの背景事情がわかる、説明できる気がしました。とくに「超然としている」が印象に残っています。
* アスペルガー症候群は、現在では「自閉症スペクトラム障害」にまとめられます。アスペルガー症候群(障害)とするのが特色を際立たせ、わかりやすく思いますが、そうもできない事情があるのでしょう。個人差がありますし、発達障害の他の状態を重ね持つ人もいます。ここは私の自覚した範囲で述べます。

問題の重要な1つは相手の感情をとらえられない点です。これについてネットにある情報を寄せてくれた人がいます。サイコパスとアスペルガーの対比のなかの指摘です(出典は中野信子さんのブログと思われますが、未確認です)。
「アスペルガーは他者の思考を想像する力の障害で、サイコパスは他者の感情を想像し同じ気持になることの障害、と言えそうです。ジェームス・ファロン氏はこれを、アスペルガーは冷たい認知(思考)の障害、サイコパスは熱い認知(感情)の障害と呼んでいます。
さらに突き進めて考えていくと、冷たい認知と熱い認知の両方が正しく働いている共感性というものは、【他者の思考を正しく予測し、他者と同じ気持を自分に生じさせること】と言えるでしょう。逆のパターンでは冷たい認知と熱い認知の両方がうまく働いていないケースもあることでしょう」。共感性とは思考の障害も感情の障害はなく、両方がうまく働いていることです。アスペルガー障害はそのうちの思考を想像する力の障害のために共感性が欠けるというわけです。
* 今回、「松田武己の問題となる弱点」を詳しく書き進めながら、こむずかしくなる「認識論の学習」を飛ばしました。その学習の経験は、「認知(思考)の障害」をいくぶんは補完していたのかもしれません。あとで別に書きます。

引用のブログでは続いて、「アスペルガーは、他者の考えを状況の中で想像することに課題を生じますが、その状況の中で自分が原因となって相手がネガティブな感情になっていることを知らされれば罪悪感や決まりの悪さを感じます。また、ルールについては基本的に厳密な態度で守ろうとします」。ここは対処の仕方を述べた部分です。
当時者としてはここは身に着けるのが難しいです。「その状況の中で自分が原因となって相手がネガティブな感情になっていることを知らされれば」とは、自分からそれを知る方法が提示されていません。周りの人が提示すればわかりやすいと述べているのです。それがない、気づかない限り「罪悪感や決まりの悪さを」察知しづらいのです。
今回、私が「松田武己の問題となる弱点」を考え、周りの人に気づいていることを教えてほしいというのは、これに合致するでしょう。

私が経験したアスペルガー障害の別の面も述べなくてはなりませんが、長くなりそうなのでいったん区切ります。

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